ちゅう年マンデーフライデー

ライク・ア・ローリングストーンなブログマガジン「マンフラ」

300円の楽しみ方「坊ちゃん」

2005年12月26日 | 
 いわゆる近代文学の名作は文庫で安く買える。夏目漱石「坊ちゃん」は新潮文庫で税込300円だ。300円均一ショップで買える物って、やっぱり300円均一ショップで買える物だけれど、同じ300円でとても充実した買い物をした気になってしまう。
 
 約100年前の明治の時代を、坊ちゃんと一緒に戯れることができるのも、漱石のつくりだす世界が実に鮮やかだからだ。これは90分のスタンダードサイズの映画を観た心地よさと快感に似ている。
 
 坊ちゃんが赤シャツに誘われて船釣りから帰ってきたときの1シーン。
 「港屋の二階に灯が一つついて、汽車の笛がヒューと鳴るとき、おれの乗っていた舟は磯の砂へざぐりと、舳をつき込んで動かなくなった。御早う御帰りと、かみさんが、浜に立って赤シャツに挨拶する。おれは船端から、やっと掛声をして磯へ飛び下りた。」
 まるでジョン・フォードの映画の1シーンを観ているようではないか。あるいは江戸落語のような軽妙な語り口を味わおう。このテンポのよさと無駄がない文体が「坊ちゃん」のすばらしさだ。
 
 痛快な青春小説の代表のようにいわれるけれど、仕返しの仕方は決して痛快というものではない。田舎もんには付き合っちゃーいられねーやってけつまくって東京へ帰る、いわば若者の勇み足と挫折の物語だ。それにしても、坊ちゃんが遭遇する世の中の構造は1世紀たってもあまり変わらない。私もあなたもいまや赤シャツや野だいこかもしれないじゃない。中学・高校生だけに読ませておくのはもったいない小説だ。
 
 漱石39歳の作。その10年後に漱石は亡くなってしまう。小説家としての人生は短かった。来年は没後90年、ロシア革命の前年に亡くなっているんですね。来年はなんか漱石がはやるのではないかと思う。
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轟沈!有馬記念

2005年12月26日 | アフター・アワーズ
 JCの走りっぷりがよかったので気にはなったハーツクライ、その激走故、有馬は消し、リンカーンはもはやこのメンバーではないかなと思っていたら、入っちゃいました。
 
 追い切りの様子からディープの1着ははずして、3-6-15の3連単でしたが、みごとに沈没のクリスマスでした。

 それにしても、ゼンノ、デルタはひどかったなー。デルタはペリエの名前に惑わされてしまった。ハーツクライが勝ったというより、やはりディープだけが不調(とはいえ2着)で負けた今年の有馬記念というほかはないということでおしまい。
コメント (2)
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