晴れときどき風

ノンキな主婦が時に風に吹かれながら送る平凡な毎日。

「チーム・バチスタの栄光」面白かったよ。

2007年05月24日 13時57分01秒 | 趣味
海堂尊著。2006年「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。
読み始めてすぐ「これ絶対面白いはず!」と思ってしまいました。

物語は出世欲がまったくなく万年平講師で「不定愁訴外来」責任者の田口公平の一人称で語られています。

東城大学医学部付属病院が誇る「チーム・バチスタ」。アメリカから招聘した桐生恭一を中心に組まれたバチスタ手術専門(左心室縮小形成術)チームで成功率100%。
ところが3例立て続けに術中死が起こった。
たまたま不運が重なっただけか。または医療事故。それとも悪意によるものなのか。
病院長からその調査という貧乏くじを引かされた田口は・・・。

まず「田口公平」という人物がおもしろい。
茫洋とした雰囲気で(これは私の想像)それでいて頭の中はくるくると働いている。その思っている事の表現方法が楽しい。
田口がギブアップしたところに登場する役人「白鳥圭輔」。ものすごく強引且つ傍若無人なロジカルモンスター。あくが強すぎますよ。
彼が登場してからの田口センセはサポート役というのもおこがましい位置に成り下がり、アホ面下げて彼の独特なご高説に耳を傾けるばかり・・・。
私としては「頑張れ!田口センセ!」な気分でした。

現役のお医者様が書いているので内容は医学的、医学を取り巻く環境・問題点など、私にはちんぷんかんぷんの箇所もずいぶんありますが、そこはサザアーと目を通す程度で読み進めます。
白鳥の言っていることも、まったくもって分からない。(私は本物のバカなのだろうかという疑念にさいなまれました。) 一生、白鳥みたいな人とは出会わないだろうからこやつのいう事が理解できなくとも困らないぞ!と言い聞かせて読み進めます。

そんなこんなにも関わらず、とても面白かった。
田口公平はとても魅力的だったし、煮ても焼いても食えない高階病院長もいい感じ。
桐生は清清しいし鳴海の繊細さも捨てがたい。

思うに登場人物がみんななかなかいいのだ。いい奴と言う意味ではありませんよ。
それぞれの個性がちゃんと描かれていて、それがグイグイ本の中へ引っ張ってくれているのだと思う。

けれど、殺人の動機は今ひとつ納得いきませんでした。
そこに持ってっちゃったら何でもありになっちゃうよ~。

今、現実が本当に「何でもあり」みたいな様相を呈しているので余計そう思いました。