釋守成の転居物語(旧タイトル・GONTAの東京散歩)

またまた転居を目論んでいます。
5年間で5回の転居。
6回目の転居の経緯を書いていきます。

なぜ化け猫に相撲取りが出てくるのか?

2013年06月05日 16時14分58秒 | 日々雑感
昨日から腑に落ちないことが有馬す。

そうそう「有馬の化け猫」の話です。

なぜ、相撲取りが出てくるのか?

戦国時代から大名家は力士に俸禄を与えて家臣として召抱えていました。

江戸時代になって諸大名は競って力士を抱えるようになりました。

その中でも松江松平家は雷電爲右エ門をはじめ多くの力士を抱えていました。

その雷電の好敵手が化け猫騒動に出てくる久留米藩有馬家お抱えの小野川喜三郎です。

その取り組みは預かりになったこともあるほどの好一番で、江戸の庶民に知らないものはなかったようです。

この化け猫の話は上手く作られています。

時代は二人の力士が活躍した頃に設定され、有馬家の殿様も当時の八代藩主頼貴公です。

物語では、頼貴公の正室は出雲松江藩から嫁いでいますが、実際は長州藩毛利家から嫁いでいます。

実際に松江藩から嫁いでいるのは四代藩主頼元公の正室です。

このように、有馬家と松江松平家の確執話に仕上げているのです。

主人公の猫の飼い主は、松江から嫁いできた姫づきの女中でした。

その女中に殿様のお手がつき、愛妾となります。

それによって、もともとの有馬家の女中と松江松平家の女中の対立が起こり、そして愛妾の自害。

そして愛妾付きの女中の仇討。

このあたりは「加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)に瓜二つの話です。

(いじめる老女の名前が岩波・・・加賀見山は岩藤)

それに加勢する怪猫。

ここまでは、怪猫で済むのですが、それからどうもこの猫は血の味を覚えたのかたくさん人を食い殺すのです。

人食い猫ですな。

唐突ですが、そのころ、雷電に負けてしまった小野川。

意趣返しに雷電を待ち伏せて襲いますが失敗してしまいます。(アンフェアーじゃないですか?)

で、殿様から出入り禁止。

それでなにか手柄を立てなくてはと化け猫退治をするわけです。

言ってみれば、有馬家の小野川が、松江松平家の化け猫を退治した話なんですね。

そうすると有馬と松江松平の対立軸がはっきりします。

相撲と大名の奥向のスキャンダル、江戸人が好む二つを取り入れて、さらに怪談話に仕立てたこの物語の作者は本当にすごいですね。



明治になってからの有馬屋敷があった中央区立有馬小学校、水天宮の近隣です。




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