そして加藤勝信さんを安倍さんが褒めていたことも、思い出しました。
再登板後の政権で安倍総理は、加藤さんを官房副長官のひとりに起用したのでした。
「なんかさ、反り返って歩く癖があるからね、やっぱり元大蔵官僚だ、偉そうにしてるんじゃないかと誤解されることもあるんだけどさ、すっきりした奴だよ。能力は抜群に高いよ。副長官にしてみて、よく分かった」
そう仰っていました。
安倍さんはみずから任命なさった大臣や官房副長官らの月旦 ( げったん。人物評 ) をわたしになぜかよく話すのでした。利害関係の無いわたしに話すのが、ちょっとしたストレス解消だったのかな ?
それも『反回想 わたしの接したもうひとりの安倍総理』に盛り込んでいます。
総裁選の討論で、加藤さんはいちばん積極的に拉致事件を採りあげ、保守派のイメージが無いにもかかわらず選択的夫婦別姓制度は必要ないと言い切り、さらに能登の重なる被災について岸田総理の「予備費だけで対応」という取り組みを否定して「 ( もし総理になれば ) 補正予算を組む」と明言しました。
主権者から「青山さんは候補者の人間性を見てくださいと言うが、私たちは話す機会も無い」という声も届きました。しかし、わたしも加藤さんとはほぼ話す機会はありませんでした。
それでも政策の優先順位や中身に、指導者となろうと欲する人の人間性がありありと滲みます。
それだからこそ、国政にかかわるとき人間性は大切なのです。
階段を5階、6階、7階と登って行くにつれ、カレーの臭いは薄れ、そこはかとなく緊張感が伝わってくるようになりました。
わたしは『これまで考えてきたとおり、第1回投票は加藤さんに、決選投票は高市さんに』と最終的に決め、8階に上がりました。
加藤さんについては、安倍さんの積極評価の記憶にも押されていました。ただし主としては、討論に顕れた人間性です。