ふくろう親父の昔語り

地域の歴史とか、その時々の感想などを、書き続けてみたいと思います。
高知県の東のほうの物語です。

カテゴリー追加

2009-09-05 22:51:32 | 建造物入門
 カテゴリーを追加することにしました。

建造物入門となずけました。概ね人間が作った物ぐらいの意識です。
 
 特に建物なんですが、物に係わるカテゴリーがなかったものですから、追加することにしました。
 もともと人が好きで、物を見ても、場所を意識しても、そこについ人を見てしまうのですが、やはり物は物として発言する必要がありそうですから、追加することにしました。

 物を作ろうとした人は、財を出し、時間を経て自分の満足するものを造るのですから、出来上がった物には作ろうとした人の意思が反映されているものだと考えているのです。だから商家など業種によって家の形が違うということになります。

 建物を含めてその形から造った人の考え方なり、望む機能を推し量ることで、色々と話が展開できそうです。

 もちろん、その時々の風潮なども現在の形に影響を与えているのです。

 またたとえば民家にしても、本来は自分を含めた家族が生活する家を作るのですが、結果としては累代の子孫がその恩恵を得ることになります。
 現在残っている登録文化財として認定されている物件にしても、50年以上も前に同様に施主としての人が生み出した造形です。さらに「家」のために作られた家屋なのです。「思いの家」と言って良いのかもしれません。
 施主として家を作る者にとって、子孫に誇れる家が造れることは、誇らしいことであったことでしょう。

 そうしたことにも、思いをはせながら建造物入門を書いてみたいと思います。

 もちろん勝手な解釈でしょうがね。

 

商家の代表。

2009-09-05 13:57:11 | 建造物入門
 明治36年3月の建築だそうです。

 創業寛政7年(1795)の商家で屋号を「増田屋」、かつては造り酒屋と質屋を営んでいたのですが、現在はすぐ近くですが、別の場所で呉服屋を営んでおります。
 この建物は、主屋が通りに面して立ち、その背後に大蔵と蔵が立ち並んでいます。主家に入ってすぐ、通り土間をまたいで、近在では見たこともないような大きさを誇る梁があります。松材で長さ12M、52cm*42cmにたっしているのです。もちろん柱にしても、しっかりとした太さを誇っております。
 奥に向かって伸びる土間は、はば120cm。奥にある大蔵から酒樽を転がして外に出せる横幅とされています。
 入ってすぐの格子は、質屋を営業していたときの名残です。

 外観は1階になまこ壁、2階には両端に袖壁のみを前方に突き出したうだつがついています。さらに主屋正面の、窓の上にも水切り瓦がついているのです。
 押し出しの強い、記憶に残る建造物です。

 この家の特徴はやはり、かま屋と庭の間に造られた、アール状の塀でしょう。
 客間から庭を挟んで直接かま屋が見えないよう、ブラインドの役割を持たせているのですが、造形に工夫が見られます。
 下部の石垣と上部の板塀が高さを変えており、徐々に曲がっていることから直角に曲がることなく、流れているように見えるのです。視覚的な工夫が見られるのです。途中にガラスをはめ込んで池を望めるような工夫もされています。

 技術的なものではなく、デザインの勝利と言ったところでしょうか。

 写真は濱田家住宅(増田屋)主屋の正面です。