「サクランボと大男」
むかし大男がいた
今でいうと背丈は
三階建ての家ぐらいはあった
悪いことでなければ
頼まれたことは何でもしたので
優しいだけの男
だと村人はバカにした
踏んづけられると怖いので
近寄らなかった
遠巻きにしながら
池を掘ったり運河をひいたり
しんどいことを手伝わせた
戦争のときには彼を盾にした
そのせいでもあるまいが
サクランボぐらいのほんのり朱い
とても小さな悲しみを
大きな体は抱えてしまった
大男が死ぬとき
疲れてしまったのだろう
海のむこうまで聞こえる
すごいいびきをかいたそうだ
神様がやってきて
そんな痛いのを持ったままでは
天国へはいけません
わたしによこしなさい
小さなものの面倒をわたしがみましょう
と夢のなかでおっしゃった
しかし大男は神様に口答えをした
僕一人で天国なんか行くものか!
とうとう握った手を開けなかったんだ
だから、大男は天国へ行ったさ
地上から持ってきた
サクランボの種を蒔き大切に育て
今じゃ平和な桜の園
小鳥がいっぱい鳴いているよ
むかし大男がいた
今でいうと背丈は
三階建ての家ぐらいはあった
悪いことでなければ
頼まれたことは何でもしたので
優しいだけの男
だと村人はバカにした
踏んづけられると怖いので
近寄らなかった
遠巻きにしながら
池を掘ったり運河をひいたり
しんどいことを手伝わせた
戦争のときには彼を盾にした
そのせいでもあるまいが
サクランボぐらいのほんのり朱い
とても小さな悲しみを
大きな体は抱えてしまった
大男が死ぬとき
疲れてしまったのだろう
海のむこうまで聞こえる
すごいいびきをかいたそうだ
神様がやってきて
そんな痛いのを持ったままでは
天国へはいけません
わたしによこしなさい
小さなものの面倒をわたしがみましょう
と夢のなかでおっしゃった
しかし大男は神様に口答えをした
僕一人で天国なんか行くものか!
とうとう握った手を開けなかったんだ
だから、大男は天国へ行ったさ
地上から持ってきた
サクランボの種を蒔き大切に育て
今じゃ平和な桜の園
小鳥がいっぱい鳴いているよ