尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

詩「魚のいない水族館」

2013年11月17日 00時40分30秒 | 新詩集
夜明け鳥の鳴くころ

まるいたましいは
鏡の前に座る

髪の毛のない髪をとき
唇のない紅をひく
息のない
ため息のままに

水色の鏡は
誰も映さないので
部屋は魚のいない水族館

身体のないたましい
わたしを驚かさないよう
ゆっくり鼻のない顔で振り返る

「そして、抜け殻!」

お前はわたしを
抜けてきたくせに
誰が誰の抜け殻?
お前はわたしの わたしはお前の

夜明け鳥の鳴くころ
夢を見るとは
たましいが鏡に
おのれを映し出すこと

馬のように
ゆっくり振り返ること
永遠に木霊させること
「そして、抜け殻!」


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