現在、こうして巷を賑わわせているエネルギー論議がすべて
人間一人が像9頭分(!)のエネルギーを自然界からかなり強引に入手して
それを消費することで人類を豊かにすることを前提にしているのですから
かのハイデガーも述べていたように、これはもとを辿れば近代欧米がもたらした「業」であり
今の人間社会は本質的に「反自然」と言わざるを得ないと思うのです。
もともと自然に対する一つの傾向として
西洋では自然と人間を完全に分離した考えを持っていますが
東洋、もちろん日本では人間は自然の一部と捉えられています。
例えば、それぞれの庭園を見て分かるように
東洋では自然をそのまま再現しますが、西洋では
自然界には存在し得ない幾何学模様に
自然物を人間の能力で並べる作りをします。
つまり、西洋では人の知性は基本的に良きものであり
それによる判断に沿わない自然のあり方はこの判断に立つ限り悪なのです。
そして、欧米崇拝思想を丸ごと取り入れた日本もまた、明治時代以降
欧米では18世紀まで、日本でも19世紀後半の江戸時代までの永きに渡って
脈々と祖先が歩んできた「自然と共存する生活」を放棄したのです。