法律における明文上の「支払不能」の定義とは
“債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済にあるものにつき
一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう”とあります。
これはさらに次のように解釈されています。
・債務者…弁済をする義務のある人、つまり借金をした人
・「支払能力を欠く」…財産、信用、および労務の収入によるいずれをとっても
債務を支払う能力がないこと。
ただし、返済の見込みがたたない借入等を行うことによって
“表面的”に弁済能力があるように見えている場合であっても
“客観的”に弁済能力が欠けていれば、これに該当することになります。
・「その債務のうち弁済期にあるものにつき」・・・弁済期の到来している債務の
支払を問題とするものであって弁済期の到来していない債務を
将来、弁済できないことが確実に予測されても
弁済期の到来している債務を現在支払っている限りは
支払不能には該当しません。
・「一般的」…弁済ができない債務が債務の全部
または大部分を占めていることを意味しており
一時に多数の債務が請求されて支払える状態や
一個の巨額の債務を請求されて支払える状態は該当しません。
・「継続的」…一時的な手元不如意(ふにょい:経済的に苦しいこと)により
弁済できない場合は支払不能から除外されます。
・「状態」…債務者、債権者が払えないと思うような主観ではなく
客観的な状態を意味しています。
単に“お金がなくて支払えない”時に使う「支払不能」も
いざ法律の場で取り上げられる時には、こんなにも面倒な話になるのです。