生命保険と健康保険における自殺の扱いをまとめてみます。
【生命保険】
「契約者」ではなく、「被保険者」が自殺の当事者であることが前提です。
法律(商法)上は自殺による死亡は免責となっていますが
保険会社各社が免責期間(現在は加入から3年)を設定し
その免責期間を過ぎていれば自殺による死亡でも死亡保険金(病死)が支払われます。
一応最高裁の判例でも免責期間が過ぎた後については
特段の事情が無い限り、支払われるべきとされています。
ただ、最近は保険会社によっては、約款上に
精神疾患が原因(薬の暴飲や異常行動など)での自傷、傷病、死亡(自殺だけではない)は免責
としているところもありますのでこの場合は当然支払われないことになります。
逆に、精神疾患が原因の場合には
免責期間にかかわらず支払われることもある、と書かれているところもあります。
すべては契約している保険の約款に記載されている内容に寄ります。
参考までに、基本的には加入した時期により
自殺の免責期間は次のように異なります。
1)1996年3月以前に加入の場合・・・1年間
2)2007年3月までに加入の場合・・・2年間
3)2007年4月以降、現在加入の場合・・・3年間
そして、自殺は災害死亡・傷害死亡(不慮の事故死)ではなく
“心の病”による普通死亡(病死)扱いとして「受取人」に死亡保険金が支払われます。
【健康保険】
大手一流企業によく見られる自社の組合
または中小零細企業が集まって作った組合による健康保険
その他企業が加入する政府管掌健康保険
自営業者や個人が加入する国民健康保険のどれも
自殺未遂に対する治療に関しては適用しないことが定められています。
つまり、現場で死亡が確認される社会死状態でない限り
病院に搬送されて受ける治療については、結局病院で死亡したとしても
全額自由診療による治療費を請求されてしまうのです。
この治療費は“保険診療の10割負担”という意味ではなく
その病院の時価であることに注意が必要です。
ただし、予め精神疾患を罹っていた場合にはどの健康保険も適用されます。
【これら保険のことを考えて自殺するとしたら…】
1.まずは自殺でも保険金が下りる生命保険に変更または新たに加入する
*申し込み時にすでに精神疾患になっていれば
保険加入そのものができませんので、2の“治療の前”にしなければなりません。
2.その後、精神科に行き「うつ病」として健康保険で治療を受ける
*この際、仕事上ではなく、家庭問題(夫婦、親子間不和等)の悩みを原因として挙げると良い
理由は“仕事上”とすると労災保険との絡みが出てきて面倒になることがあるからです
*最悪、うつ病と診断されなくても何度か診断を受け、その事実を残します
3.免責期間3年の経過を待ち自殺を実行する
結果
↓
・社会死状態で発見される…治療費は一切発生しないので生命保険金を満額受け取れます
・未遂で搬送され死亡…健康保険が適用され1~3割の自己負担が生じますが生命保険金で賄えます
・未遂で搬送され生き延びてしまう…生命保険金は手に入らず治療費の1~3割の自己負担が発生します
また、2の精神疾患の治療も受けることになるかもしれません
(注意)
この記述に関しては、これまで学んだことを分かり易くするためのストーリーに過ぎず
不謹慎であることをお詫びしつつ、どこかに見落としがあってこの通りにコトが進まなくても
私が責任を負うことはできないことを申し添えます。