大学ボクシング部1年の時の練習中の話です。
全部員が3~4基くらいのサンドバックの後ろに並び、数10秒交代で次々にマシンガン連打を行う練習をしていたのですが
ぼくが打っている時に4年の先輩から
「もっと強く打ち抜け!」
と背後からケリを入れられました。
実はぼくはこの時、拳を痛めていたのでハンドスピードに意識を切り替え、
高速の軽打を繰り返していたのですが
もちろんそんな言い訳もできず
サンドバッグに抱きつくように倒れこみ
押忍、すみません!としか言えませんでした。
スポーツに怪我はつき物です。
でも個人競技ゆえ周囲は全員ライバルであり
あそこが痛い、ここが痛いなんて言っていたら干されて出遅れます。
そんなある日の練習中、ぼくは激しいスパーリングの末に顎を骨折しました。
だけど骨折しましたなんて白状したら練習に参加させてもらえないので黙っていたのですが
実は同じ階級に当時の日本代表でオリンピック候補選手のA先輩が居まして。
数日後の練習中にコーチからA先輩とスパーリングをするよう命じられました。
A先輩とは高校時代から数え切れないくらいスパーリングで拳を合わせてきましたが
さすがに顎を骨折した今の状態では闘えないので
指名して来たコーチに対し、やんわりと断りをいれたのですが次の瞬間
そのコーチの右手の平が飛んできまして
フルスイングで頬を張り飛ばされました。
次にそのコーチの口から出て来た言葉が
馬鹿野郎
スパーリングもできねえのかこの役立たずが
お前なんか他に何もできねえくせしやがって
静まり返る道場。
ぐうの音も出ませんでした。
当のA先輩は表情を変えず佇んでいたと思います。
ちなみにこのコーチはA先輩の実の父親でした。
時は令和
いまやコンプラ全盛の時代です。
今までが異常だっただけとも思いますが
逆に少し反応し過ぎでは、と思う事例もあります。
その結果もう何も言葉を発せないような窮屈な世の中になってしまいましたが
あの時代を経験した立場からしたらそれも仕方ないかと思います。
ぼく自身その後社会に出てからも若手の頃は様々なハラスメントに苦しめられました。
そういう時代でしたから。
でも自分が年長者になった現代では当時行われたほぼ全ての行為がアウトです。
要はやられっぱなしで終わり、という事で。
ぼくらの世代はただのやられ損でしたね。
ま・・・いいです。
はは
では皆さん良い週末を。(^_-)
押忍