American-size packages 2023年05月11日 | アメリカあれこれ 気が付いたら今年になって5ヶ月が経とうとしています。 先日こちらのコストコ(発音はコスコ)で買ったクリームチーズは1.34Kg入り。 30年以上この国に住んでいてもこのサイズにはたまげます。 隣のベーグルだって結構大きいんですが、それ以上の存在感。
Warm one day, freezing next day 2011年02月20日 | アメリカあれこれ 一昨日と昨日では気温の差が激しかった。まるで違う土地に居たのではないかと思うくらい。 最近、演奏もレッスンもしない金曜日がたまにある。いくら貧乏暇なしのフリーランスドラマーとはいえ、この歳で一週間ぶっ通しで働くのは辛いのであります。 そのような貴重な金曜日には、近所を散歩することが多い。一昨日は快晴ではなかったが穏やかな天気で、頑張らなくてもTシャツ一枚で外出できるほどだった。空にはうろこ雲の出来損ないや霞があってまるで春先のよう。夜になるとまるで春一番か、という強風が吹いた。強風に乗って来た訳ではないけれど、帰宅途中の連れ合いが偶然鉢合わせた近所の友人が加わり、ウチ飯を楽しむ。このように、良い意味でのイレギュラーな日だったので、普段はあまり飲まない日本酒を熱燗で頂くことにしました。 翌日も強風が吹き荒れたが、前日とは打って変わってなんとも身が縮むように冷たい風だった。そのためか陽が高くなるにつれて気温が下がる。普段とは逆さま。結局夕方には零下を切り、夜には-6℃にまで冷え込んだ。そんな時は家でじっとしていれば良さそうなものだが、諸々の流れで近所のスペイン料理屋に行くことに。向い風に向かって両手を拡げると、手袋をした手のひらで空気のボールを掴んでいるかのよう。そんなにしてまで出向いたおかげで、とても美味しいワインとチーズ、そしてバレンシア風にしてもらった極上パエリアにありつくことがでました。
One-day trip to see autumn leaves 2010年11月05日 | アメリカあれこれ 先月の都会脱走旅行では味わえなかった紅葉を求めて、今度は日帰りの旅へ。 季節柄お化けカボチャの風船が空港に飾られていた。この日から約10日後のハロウィーン当日に、風邪気味で演奏した店が酔っぱらいで大混雑し大変だったのだが、この時は知る由もない。 ホワイト・ストーン・ブリッジからブロンクスへ渡り、ハッチンソン・パークウェイを北へ進む。 パークウェイ疾走開始後間もなく、ちらりほらりと紅葉した木々が両脇に見えてくる。時折場所によって曇りはしたが、日中の空は殆ど真っ青でいてくれた。 まず向かった先は、ニューヨーク市から北へ車で2時間ほどのHyde Parkという街にある料理の専門学校、C. I. A. (Culinary Institute of America) 。アメリカ版料理の鉄人でお馴染みのCat CoraやMichael Symonなどを輩出している有名校だ。校内6つのレストラン全ての料理と給仕を生徒が担当している。 予約の要らないアップルパイ・ベーカリー・カフェで昼飯を食べる。プロシュート、ブリー・チーズ、アルグラのサンドイッチを注文。 まず焼きたてのフランスパンが美味しい。具のプロシュートは塩分控えめでこれまた美味。ビネグレットのドレッシングで和えたアルグラとブリーの相性も良い。付け合わせなのかメインなんだか判らないくらい存在感のあるポテトチップスは自家製。これも塩が控えめでよろしい。次に写っている、2ドルもしないチョコチップ・クッキーは見た目そのまま、手に余る大きさ。甘さも少々手に余る。でも味は本場っぽくて良い。 相方はサワードーのパンにポルタベラマッシュルーム(でっかい肉厚のきのこ)とゴートチーズのサンドイッチを注文。僕のより大きかった。付け合わせは大麦入りのサラダ。これまた主役に迫るボリュームだ。 食後、学校から少し北上し、適当なところで川っぺりへ向かう。突如雲が立ちこめてくるが、隙間からの陽射しで対岸が部分的に明るくなる。川沿いに敷かれている線路は、1958年までハドソン川鉄道が定期的に運行していたそうだ。 ハイド・パーク駅。一度廃駅になった後、地元の有志の力で復旧が続けられ、現在駅としては機能していないが展示会などが催されている。 最初に訪れた料理学校から真北に5マイル行き、ヴァンダービルト・マンション国立史跡へ。見学できるのは日本の「OOXXマンション」ではなく、英語で言うところのマンション=豪邸。でも気分は紅葉狩りモードだったのであまり興味が湧かず、中に入る代わりにしばらく広大な敷地内を散策する。現在史跡として見学できるのは、かつてヴァンダービルトがハイドパークの別荘として所有していた土地の1/3に過ぎないそうだが、それでも庶民には縁遠いほど広い。今でも敷地内を小川がせせらぎ、林には木が生い茂る。また専用鉄道の線路沿いは手入れが行き届いているのだろう、落ち葉が殆ど無い。 午後になって一段と冷え込んできた川っぺり。史跡に来てからかれこれ小1時間が過ぎていた。 タコニック・パークウェイ沿いの紅葉を楽しみながら帰路に着く。午後の日に照らされた紅葉で覆われた丘が鮮やかに広がる。この広大でのどかな風景が目の前で流れて行く間中、先輩のミュージシャンと電話で音楽について真剣な話をする。非日常の風景の中を日常の時間が流れて行く。 走行しているうちに段々と街の気配が濃くなる。そしてとうとう、普段の生活圏に突入。渡る橋の主塔が、日常と非日常を区切る門に見えてくる。夕焼けのタイミングも絶妙で、いかにも旅から帰ってきた、という感じだ。 僕にとっては生活圏でも他の人には旅の目的地でもあるニューヨーク。写真だとカメラの角度を変えれば違った絵ができる。日常生活もちょっとしたことで違って見えてくることがある。
Trip to a national park and other towns Day 6 of 6 2010年11月04日 | アメリカあれこれ ヴァージニア・ビーチでも夜明け前に起床。まず部屋のバルコニーでコーヒーを飲み、まだ暗いうちから浜辺に出て水平線から登る日の出を待つ。山間での日の出とはまた違った美しさ。 旅の最終日。ここからは全ての行程が帰路になる。まずビーチから30分ほどの所からチェサピーク・ベイ・ブリッジ-トンネルを北に駆る。 チェサピーク湾を南北に渡す橋とトンネルを合わせた距離およそ7kmで、水上建造物としては世界最長。 橋を渡り始めると左右は海しか見えず、まるで水の上を飛んでいるかのよう。途中トンネルの出入り口と展望台がある人工の小島が4つある。 南側から進むと終点の直前に、水面からひときわ高くなった橋が二本、平行に走っている。 その先にはフィッシャーマン島という自然保護区域がある。そこを素通りし、チェサピーク湾の東側を形づけている半島の南端に着く。途中煎り立ての地元の落花生を買ったり、古びた線路を見つけては写真を撮る。やがて今回の旅で5つ目の州、メリーランドに入る。 60マイル弱走行したメリーランド州の次は、デラウェア州を50マイルほど走行。風景はよく見るアメリカ郊外のもの。のどかな田舎ではないけれど、都会の喧噪というものもない。 デラウェウア州内を小1時間走った後、ルーズという町にあるフェリーの発着所に到着。ここからニュージャージー州のケイプ・メイまでフェリーで渡る。 乗船時間は1時間25分。出発前から甲板に出て、雨雲からたまに顔を覗かせる太陽でほんの少し明るくなった風景を撮影する。後は客室で煮詰まったコーヒーを飲みながらメールをチェック。 夕方に着いたケイプ・メイ発着所から車で走り出した途端に雨が降り始める。 間もなく「ニュージャージーへようこそ」の看板が目に入る。 にべも無く日常に引き戻されたこの一瞬は忘れがたい。ニューヨーク市に住んでいると、ニュージャージー州とコネチカット州は近郊であり、旅先ではない。 もう川を見ても心がときめかない。旅の終わりが近づきつつあるのだ。 しばらく雨が続いたが、束の間ふと目を引く青色に染まった東の雲に少し和む。 旅の締めくくりにまたもや楽器屋に行く。立ち寄ったのは、カジノの街アトランティック・シティーからさほど遠くはない一軒のチェーン店。以前からこの店のウェブサイトで中古ドラムやシンバルをチェックしていた。しかし唯一のドラム担当店員に10分も待たされた挙げ句、何もそそるものが無く敢え無く敗退。チェーン店だから仕方ないか、と勝手に思いつつ今度こそまっすぐ帰路に。でもお腹が空いていたので、途中ジョージ・ワシントン・ブリッジ近くのニュージャージー側にある韓国料理屋でチゲを食べる。久しぶりの東洋の味に心底ホッとしながら。 この旅では往路帰路ともニュージャージー州以外では天候に恵まれ、山と海の両方の自然に触れられた。おかげで都会の垢は充分取れたと思う。ただせっかく紅葉が見事な山地に行ったのに、ちょっと時期が早かったようで殆ど色付いていなかったのが心残り。なので後日日帰りで紅葉を見に行くことになった。その様子はまた次回。
Trip to a national park and other towns Day 5 of 6 2010年11月01日 | アメリカあれこれ この日もまた移動日。往路とはまるで別の国道85号線を東北東に進み、ヴァージニア・ビーチを目指す。 シャーロットを出発してから2時間半ほどで、デューク大学に立ち寄る。 ダーハムという街にあり、全米でも屈指の名門市立大学。キャンパスは巨大過ぎて、どこからが街でどこからが構内なのか見当がつかない。間違いないのはキャンパス内に「町」があるということ。この時ちょうどお昼だったので、キャンパス内のカフェテリアで、ルーベン(Reuben, with corned beef, swiss cheese, sauerkraut)サンドイッチを食べる。そこに置いてあった地元のフリーペーパーの表紙にはノース・キャロライナ州出身のジェイムス・テイラーが載っていた。 ダーハムからヴァージニア・ビーチまで約4時間。基本的に平らな土地をただひたすら走る。 目的地まであと30分というポーツマスのダウンタウン・トンネル。 帰宅ラッシュ時が始まる頃に通ったので、入る前に若干渋滞に巻き込まれる。何時間も田舎道を走っていたせいか、こういう風景に軽いカルチャーショックを受ける。 秋の夕方の砂浜。まず宿のバルコニーから海を見渡す。 風が強いので何枚も重ね着をして浜辺に降りると、水上バイクに引っ張られて水上スキーをやっている人や泳いでいる人がちらほら。こちらは足も濡らさず、夕日がすっかり沈むまで散歩と写真撮影と瞑想(?)に専念。
Trip to a national park and other towns Day 4 of 6 2010年10月30日 | アメリカあれこれ ノース・キャロライナ州シャーロットは近年、金融や保険機関が移設して来て経済的に活気がある都市。しかし音楽シーンでは今回あまり興味をそそるものが無かったので、ライブなどには出掛けなかった。その代わりにと言ってはなんだけれど、主にシンバルを見るため、シャーロットから北東に車で1時間40分ほど離れたグリーンズボロという町で楽器屋巡りをした。 今やアメリカ地方都市にある楽器屋の多くがチェーン店傘下になっているが、なかには個人で頑張っている店もある。そんな店からは店の構えや店員の態度、品揃えなどにチェーン店には無い個性が感じられる。実際この日はニューヨークにもあるチェーン店にも行ったのだが、何も印象に残っていない。どんなシンバルを見たかさえ忘れた。 その一方、おそらく今は使われていないだろう線路の踏切近くにある個人店で、最近売り出し中でコスパの高い中国製シンバルを勧められた。まぁまぁの音だったけれど叩いて直ぐの余韻に、ただひん曲がった鉄板を叩いた時の音が混じっていたのでサクッと退店。 また別の、やけに幅広で古風な白塗りの木の扉を開けると、店内にはいい感じにツヤが取れた木の床がある個人店ではナイスガイな店員がいた。その彼に1枚の定価が700ドルもするライドシンバルを、4割強引きのチェーン店価格からさらに100ドル引きでどうぞ、なんて言われた。かなり心が動いたが、このシンバルを手に入れると当然一緒に使う他のシンバルが要る。手持ちのシンバルには、どうもこのお宝シンバルとうまく合いそうなものが無い。かといってこれに合うクラッシュシンバルやハイハットシンバル一式を揃える気にはならない。結局何も買わず冷やかしだけで終わったが、色々見て廻ることができた。
Trip to a national park and other towns Day 3 of 6 2010年10月27日 | アメリカあれこれ 今回訪れた地理的に南部に含まれるバージニア州のシェナンドー国立公園には、客にも従業員にも東洋人やヒスパニック系が多くみられた。そのわりには食事のメニューは洋食だらけ。全米中どこででも食べられるChinese foodすら載っていない。ましてやsushiやタコスなど言うに及ばず。 という訳でこの日の朝食も、オムレツにホームフライ(ジャガイモ95%とピーマン、タマネギ5%のソテー)にビスケットという、正統派アメリカンブレックファスト。 この日は移動日。北口ゲートから60マイル地点のBig Meadow Lodge を午前中に出発し、時折展望台から広大な眺めを楽しみつ、106マイルに及ぶスカイライン・ドライブを走破。シェナンドー国立公園を後に次の目的地であるノース・キャロライナ州シャーロットへ向かう。ちなみにスカイライン・ドライブはここで終わり、そのままブルーリッジ・パークウェイに接続する。このパークウェイは全長469マイルあり、ノース・キャロライナ州の南西端まで続く。フランクリン・ルーズベルトが大統領だった1935年に工事が始まり、全て完成したのが1987年。ここでも広大な山脈の景色が楽しめる。
Trip to a national park and other towns Day 2 of 6 2010年10月23日 | アメリカあれこれ 旅2日目。夜明け前に起床し、日の出を拝む。 この日の午前中は一度山(国立公園)から降りて、ルーレイという町にある鍾乳洞へ。 場所によっては天井が頭に付きそうになる。かと思えば大宴会場として使われた広場もある。この広場にはオルガンが置いてあり、昔々何百ものぶら下がった岩の柱を根気よく叩いて廻った人達が音階順に整理してハンマーをつけ、オルガンの鍵盤と直結した。時折奏でられる自動演奏の間、簡単なメロディーが広場内に響き渡る。 この洞窟への入場券で隣りにあるクラシックカーの歴史博物館にも入場できる。開拓時代からの幌馬車や木炭車、初期のキャデラックなどが展示されている。 午後は山に戻り、公園内のトレイルコースをトレッキング。手始めに通常往復40分のお手軽コースに出掛けたが、日頃の運動不足が祟ってか、滝を見た帰路の登り道では息が切れた。 ところで今回紅葉シーズンで(実際にはまだ早かった)混雑していたため、事前に一晩目の部屋しか予約できなかった。それでも出発当日の朝に電話し、同じ公園内のもう一つのロッジの部屋が取れた。しかしチェックインしてみると、なんと前日の部屋の約1/3の広さ。所謂屋根裏部屋で天井はとても低く、その一角は屋根の梁によって角度が付いている。前日は大きな窓とバルコニーから星空と眼下の町の灯が眺められたのに、この部屋には1メートル四方の小さな窓が雑木林に向いているだけだった。なんだか旅館の布団部屋にいる気がしたけれど、部屋が取れただけでも万々歳。それに午後のトレッキングと高カロリーの夕食のおかげか、さっさと就寝したので、結果オーライ。
Trip to a national park and other towns Day 1 of 6 2010年10月22日 | アメリカあれこれ この夏は結局まとまった休みが取れなかったので、もうすぐ秋本番という今月初旬、体内に溜まった都会の垢を落としに数日間だけニューヨークから脱出した。 南西から近づいていた低気圧に向かうような格好でニューヨークを出発。ペンシルヴァニア州に入るまで天候はイマイチ。 酪農地帯が広がる風景の中を走る事2時間あまり、ようやく青空が見えてきた。 実質30分以内で通過したウェスト・ヴァージニア州。 この日の目的地、シェナンドー国立公園に到着。休憩無しならニューヨークから6時間ほど。 公園内を南北にスカイライン・ドライブという山道が尾根伝いに走っている。その全長は106マイル。ところどころの展望台から緩やかに広がる山の風景や眼下に点在する町を眺めながら、1日目は北口ゲートから47マイル地点にあるスカイランドリゾートというロッジに宿泊。この晩は冷え込んだけれど、部屋のバルコニーから満天の星空を堪能できた。
長い冬 2010年05月11日 | アメリカあれこれ 今朝、ここしばらく聴いていなかった音で目を覚ます。5月中旬だというのにシュー!という音を出して暖房が入っていた。冬はまだ終わってなかったのだろうか? 確かに今年の冬は寒かった。あまりにも寒いから、真冬には地下鉄駅構内の線路上に氷柱が垂れていた。その具合が丁度電車の屋根の形どおりだったのには思わず笑った。 例年より早く八重桜が咲いたと思ったら、すぐに強風と大雨で散ってしまった。あれから少なくとも10日は経っている。 いつもニューヨークでは、寒さが過ぎるとあっと言う間に暑くなる。でも珍しく今年は三寒四温を繰り返したので、あまり着られなかった春用のジャケットやパーカーで出かけられたのが嬉しい。 暖房が入ったとはいえ、このように野いちごの花は咲いている。あとはこの春がしばらく続いてくれたら言うことはない。
今年になってからの町並み 2010年01月07日 | アメリカあれこれ 年末から急に冷え込んだニューヨーク。近所の八百屋に行くのにも帽子、マフラー、手袋をしっかり着用しなければいけないけれど、晴れた日のツンと澄んだ空気は気持ちが良い。 このような作りかけのビルを見ると「これが完成させると、その裏の景色は当分誰も見る事ができない」と思い、つい撮影してしまう。この段階ではなんだか積み木みたいに見える。 まるで屋上をひん曲げたかのように取り付けられた、太くて黒い管。そのままこのアパートをさらに歪ませそうな気がする。 八百屋で見た野菜。日本語ではなんという名前なのだろう、少し変わった形をしている。 近所の商店街では年明けから7日経ってもまだこのようにクリスマス用の飾りにしっかり照明が灯り、夜になるとまだBGMが流れ出す。ここ数年少しだらけているのだろうけれど、12月25日を境にクリスマスから正月に慌ただしく模様替えする町並みで育った身には、まだ寒いしそれもまた呑気で良いか、と思えてしまう。風邪を引かないようにしましょう。
グランドサークルの旅その9 2009年04月02日 | アメリカあれこれ 吹雪と晴天の両方を身体全体で体験したブライスキャニオンから、車で約一時間のザイオン国立公園に。ここが今回の旅の最終目的地になる。 国立公園に近づくにつれ、地層の色が赤茶色に変わってくる。 長いトンネルの中に、所々景色が見渡せるよう開けた所がある。 今回旅した大自然は、日本で生まれた身では別の星に来たかと思う程異質だった。特にそのスケールの大きさが。おかげで素晴らしい気分転換になり、狭い空間での都会生活の中で少しずつ溜まっていた、身体の中の澱のようなものが取れた気がする。 この旅からニューヨークに戻って以来、改めて大都会で生活するということについてよく考える。そして複数の異なる土地という点から飛躍して、自分が生まれた街と自分が生きて行く街とについても。 壮大で開放感に溢れるグランドサークルと、身近に日常生活に必要なあらゆるものがあるニューヨーク。生まれた時から慣れ親しんだ風景や人情がある東京と、音楽活動の場があるニューヨーク。自分の中の生理的に必要なものと精神的に必要なものが複数の場所にある以上、頻繁に行き来していられるようにしたい。
グランドサークルの旅その8-雪のブライスキャニオン散歩記 2009年03月23日 | アメリカあれこれ 一夜明けても前夜からの雪は止むどころか、吹雪と言っても良い程になっていた。 アメリカ国立公園の掟として、天候が悪すぎると立ち入り禁止区域ができる。この日早朝の時点ではまだそういう区域はなかった。とは言え、このまま雪が止んでも積雪が凍ると間違いなく立ち入り禁止区域だらけになる。実質たった2日足らずしか滞在できないのだから、と朝食後まだ雪が降りしきる中、比較的短距離のトレイルをゆっくり降りてみることに。 手で掴み上げてフッと息をかければ粉々に散ってしまう粉雪だから、積雪が強い風で吹き散らされる。トレイルの半分程は、上から見下ろしたらジグザグに見える切り返しの道。それに20センチ弱の雪が積もっているから正確にどこが道なのかよく見えない。足跡一つないその切り返し道を、積雪の凸凹具合で見当をつけて降りて行く。 斜面がどれだけ急だったかは、少し降りた後に振り返ればよぉくわかる。 展望台から見たら細長い岩の一つ一つが、近くでは巨大な壁になる。 その壁の僅かな間を歩く地点、ウォールストリート。ニューヨークのダウンタウンにあるのとはえらく違う。 ようやくトレイルを降り切る。後は同じ高さにまで登らなければ。登り道沿いの壁は片方にしかないので、見晴らしは良いが吹きっ晒し状態。降りた道より高く雪が積もり、道の形が一層判りづらい。 終点の展望台が下から見えてきたころ、降雪が穏やかに。 無事到着。時刻は昼の1時頃。雪に突っ込んで冷たくなった足を暖めに、そして昼食のため宿に直帰。その後天気は良くなっていったものの、氷結した積雪を理由に公園内の殆どのトレイルが通行不可に。やはり無理してでも降りておいて良かったと思いつつ、陽の光が岩に遮られる頃の夕刻に、朝散歩した辺りを訪れる。 下の画像は翌日の風景。太陽に照らされた峡谷は、前日とはまるで別世界。数千個あると言われる独特の岩の色も形も鮮やかに見える。公園の標高は2633メートルから3033メートルもあるので、岩の周囲も見渡せる。地平線近くには人工湖パウエルが。この時でもまだ強かった風が吹く度に、足下の粉雪が煙のように舞い上がる。前日の散歩では息が切れていたけれど、この浮き世離れした夕方の景色を見れば大満足。
グランドサークルの旅その7 2009年03月20日 | アメリカあれこれ アンテロープキャニオンに潜る前、近くに雨雲が迫っているのを確認。何しろこの周りの空は360度見渡せるものだから、どす黒い雨雲が自分の居る所に近づいているのは2時間くらい前から知ってはいた。 そして次の目的地ホースシューベンド(コロラド川が馬蹄の形に蛇行している所)に着いた頃、遂に雨雲が上空に。 岩が切り立った所に腹這いになって、馬蹄の形をした部分の全貌を撮影。同じように川の蛇行部にあるグースネックと比べて岩の色がぐっと赤い。 ここで通り雨に遭った後、人工湖パウエルへ。ダムの排水口の上に架けられた、長さ500メートル程のグレンキャニオン橋を徒歩で渡る それから再び、晴れと曇りと雨と雪の全てを含む広い空の下を疾走。 上の画像撮影30分後に下の画像を撮影。あられがカチカチっと車のフロントガラスを叩く。 更にその15分後の路傍には残雪が。 この後大雪になり道路には凍結した部分が多くなったので、通常より時間をかけて慎重に移動。日没2時間半後に、ブライスキャニオン近くでは最も老舗の宿ルビーズ・インにチェックイン。荷物をただ部屋に置いて、とにかく「飯」。日中の半分以上の時間は車で過ごし、残り半分は常に凸凹した所を歩いて過ごしたので、この日の遅い夕食のメニューは、当日消耗した体力回復と翌日の荒行に備えるためにリブアイ・ステーキ。 上の画像はデザート。バニラアイスの玉4-5個の上に一辺5センチ厚さ2センチのブラウニーがやはり4-5枚、それら全てを覆い隠すホイップクリーム、最後に砕かれてまぶされたオレオ・クッキー。ウェイトレスのおばさんのアドバイス通り、一つだけ注文して数人で堪能。おかげで非常に栄養価の高い食事になった。
グランドサークルの旅その6 2009年03月16日 | アメリカあれこれ 怪しくなった空模様の下、ロウアー・アンテロープキャニオンにもぐり込む。平らな地表にある狭い亀裂の下には不思議な空間が横たわっている。画像にあるような小さな階段で少しずつ下へ。 靴一つがやっと入るほど狭い箇所があちこちに。歩みを止めて見上げるたびに、摩訶不思議な景色があらゆる角度で迫っている。この時は閑散期だったので貸し切り状態。すっかり異次元を満喫した。