plainriver music: yuichi hirakawa, drummer in new york city

ニューヨークで暮らすドラマー、Yuichi Hirakawaのブログ

ピアノトリオの日

2005年12月29日 | 音楽
毎週火曜日にビレッジのArthur's Tavernという店で自分のバンドで演奏している。ここ数週間は上の画像に写っている二人とやっている。ピアニストがSoren Moller君、ベーシストがMiles Brown君。来月もこのメンバーで演奏することになっている。この画像は瀧浦浩さんに撮影してもらいました。

火曜日のこのライブは4年ほど続けてきたけれど、何週間も同じメンバーで演奏するのはこのトリオが初めて。短期間に何度も演奏するうちに、演奏中の意思疎通もスムーズになり、マンネリにもならず、良い具合になってきた。週明けの平日夕方7時の早い時間だから普段はあまり繁盛していないけれど、昨日はクリスマス直後のせいか、多くの人達に聴いて貰えた。

年明け早々の火曜日1月3日も演奏していますので、近郊にお住まいの方、是非お立ち寄り下さい。

やっと地下鉄が動いた!

2005年12月25日 | 音楽
たかが3日間だったけど、ニューヨーク地元民にとっての「非常事態」は終わった。取りあえずこれで通勤前後に何時間も歩く、なんてことをしなくて良いのだ。

大勢の、定時で働く人達が体験した徒歩出勤に比べたら僕のはまだ楽だったが、一つだけ予想していなかったダメージについて書いておきたい。それは車の排気ガス。

普段だったらあり得ないが、一度に1時間から1時間半歩くのには別に文句無い。実際の話、自分のペースで小一時間歩くのは、程よい運動だ。問題は歩く環境。今回のスト二日目に、イーストリバー上の橋を車道の直ぐ脇の歩道を、20分強かけて歩いた。その時の車道は、車のすし詰め状態。当然全台のエンジンは掛かっている訳で、その時の橋上の排気ガス量は半端では無かったはずだ。しかも、あいにくこの日は殆ど無風。おかげで寒くはなかったけれど、排気ガスはあまり散ってくれない。

この翌々日の午後、急に胸に鉛を入れられたかのような圧迫感が数分続いた。日頃の高カロリーな食事だけが原因とも思われない。でもまぁ、パーティー続きで暴飲暴食が続きがちなこのクリスマスシーズン、僕は仕事ばかりしていたので、良いダイエットになって……ま、いいか。

橋越え、後ギグ2本

2005年12月23日 | 音楽
結局地下鉄はまだ動かず、車で移動しようにも、マンハッタンに入る橋は2時間待ちの渋滞。という訳で、クイーンズボローブリッジを歩いて渡って出勤しました。時刻は午後3時。まだ日も照っていたし、ラッキーな事に風が殆ど無かったので、吹きさらされることは無かった。早朝出勤した人はさぞ凍える思いをしたことと思う。

橋越えの所要時間約25分。自宅から目的地のスタジオまで、約1時間半。その後さらに小型ドラムセットをハンドトラックで押して、25分間で18ブロックほど移動。約1時間の演奏の後、今度は35分間で20ブロック移動。そしてニュージャージー州が運営するPATHトレインに乗り込み、ハドソン川の底を通って、ニュージャージーへ2本目のギグへ。帰りはこのギグで一緒だった、ニュージャージー在住のベーシストが親切にもマンハッタンミッドタウンのスタジオまで運転してくれた。たまたまマンハッタンに帰る彼のお友達を送るついでだった。ベーシストとそのお友達に感謝感謝。ミッドタウンから自宅へはさすがにタクシーに乗り、帰宅したのが、午前2時。運動不足の身体が悲鳴を上げていた。




ギグのダブルヘッダーはこの日に始まったことではない。時にはトリプルヘッダーだってあった。しかし今回程体力を使ったのはそう滅多に無い。

こんな1日の終わりに乗ったタクシーでさらに体力を消耗する事が。必要以上の料金を払えという運転手と、乗車してから降りるまでずっと言い争いをしなければならなかった。

今地下鉄とバスのストの対処策としてタクシーの料金制度が変更になっている。マンハッタン内を大まかに5つ程のゾーンに分け、その他のボローはそれぞれ1ゾーンにし、ゾーン内は一律10ドル。一つゾーンを超える度に5ドル増し。ただこれは「上限」なのであって、交渉すればそれ以下の料金でも良い。これはもう、誰もが知っている周知のルールなのだが、それでも余計に料金を取ろうとする運ちゃんが多いらしい。僕がこの日に乗ったタクシーの運ちゃんもその一人だった。orz

ミッドタウンで乗り込み、行き先を告げた途端、「いくら払ってくれる?」いくらもへったくれもない、もう決まってるだろ、ていうのに……。その事を告げると語調を激しくし、自分は昼間マンハッタンで規定よりも少ない料金しか受け取ってない、とか政府が決めた区域決めはおかしい、などとまくし立て、だから時間のかかるクイーンズに行く僕に余計払え、と。君の勝手な判断のツケをなんで俺が払わないかんの?と突っ込みそうになる。そのうち運ちゃんは「俺がこのルールが分からんくらいバカだと言うのか!」とかキレるし…。うん、これだけ簡単な英語で書いてあるこんな簡単なルールを分かっていないんだから、お前は馬鹿だ!とはさすがに言わなかったが、明らかに事実と違うことを言ってふんだくろうとするから、もう呆れた。

別に今のニューヨーク市政が完璧だとは思わないが、この非常時にマンハッタン内でのタクシー運賃は高めに、それ以外の広い地域では低く設定するのは道理だと思う。そうでもしなければ、あの狭いマンハッタンの道路は本当に渋滞だらけになってしまう。一方普段2ドルかけてブロンクスやクイーンズ、ブルックリン、スタッテン島から通勤する距離で正規の運賃を払ったらとんでもない額になってしまう。普段こういう地域からえっちらおっちら地下鉄で通勤する人達にはそんな正規運賃は大金だ。でも運ちゃんは往復に時間が掛かるマンハッタン外に行くのは嫌なのだ。儲けが少ないから。

別にストライキ中でなくても、例えば週末の夜半前など、マンハッタンからクイーンズに行ってくれるタクシーを捕まえるのは至難の技。そうやって日頃からあまり真っ当に運転していない輩が多いというのは分かっているが、こんな時にさえもまだ庶民からふんだくろうとは、まったく、とんでもない話である。その一方で乗客から普段の料金を訊き、それと同じしか請求しないという良心的な運ちゃんもいるということも記しておきたい。本当に様々な人が居る訳です、ニューヨークには。

ニューヨークの地下鉄が止まった日

2005年12月22日 | ニューヨークあれこれ
月曜日深夜に終わったギグからの帰路の途中で、地下鉄が無くなった。いや、線路はあるけど、動かす人たちが消えたのです。

翌日火曜日もギグだったが、何しろ交通手段の選択肢の中に徒歩数時間なんてものがあったのでキャンセルに。今日水曜日はミッドタウンで夕方から一本、その後ニュージャージーでもう一本。小型ドラムセットを引きずっての移動である。どうなることやら。因に本日の気温、華氏28度、摂氏だと零下2.2度。吹きさらしの橋を徒歩で渡らなければならない。寒いだろうな~。

デュオジャズ@Sweet Rhythm

2005年12月13日 | 音楽
週の半ばの木曜日、ドラマーのルイスナッシュ、サックス奏者スティーブウィルソンのデュオを聴きにビレッジにあるライブハウス、Sweet Rhythmへ。ピアノやギターなどのコード楽器はおろか、ベースすら無いバンドだ。ジャズというスタイルでリズムが大きな比重を占めているから成り立つこの編成、ドラマーの力量が大きく問われるというもの。

当代随一のドラマーとサックスマンが数年かけて演奏してきた「バンド」なので、一曲一曲がしっかりとした作品に仕上がる。一番の聴き所は、「相手がこう来たら、こう返す」というジャズの掟を熟知しているプレイヤーだけができる会話を、もう即興の余地は無いのか?と云うくらいとことん踏襲しつつもやはり即興を繰り広げるところ、だと思う。元来ジャズは複数の文化から産まれた。そしてそれなりの掟ができた。しかし今でも新しいスタイルを取り込んで変化している。即興のネタは尽きない。

この日の演奏はドラムが刻む一定のリズム、その上にベースラインがあってさらに別の楽器がソロを奏でる、というサウンドではなかった。ひょっとしたら一般のジャズファンには最初取っ付きにくいかもしれない。けれどお馴染みの「会話」が盛り沢山なので、少しでもジャズの楽器間のやりとりに詳しい人だったら何度もニヤリとするだろう。存分にジャズを楽しめると思う。

再び太平洋を超えて

2005年12月05日 | アメリカあれこれ
もう何度となく経験してきた。数年来発着地も発着時刻も同じなのに。でも時差ボケは、やっぱり簡単には失せてくれない。日本からここ北米東海岸に戻ってから数日、酷い時は2週間ほどは身体のリズムが元に戻らない。

もともと時差ボケしているような、不規則な生活をしている訳だが、それでも眠くなったり空腹になる時刻は殆ど同じだ。多少ズレても、次がいつか予測できる。だけれども12時間半の間、太陽が動く方向に逆らって飛行機に乗ってきた後にしばらく襲ってくる睡魔は、決まってありえない時間に現れ、一度襲われると並大抵の気合いでは跳ね返せない。そして結構しつこく「再見」してくる。orz

そんな状態だと普段起きないような時間に目が冴え、そしてお腹が空く。そこで先日、時差ボケで眠りが切れたのを幸いに、開店早々のピータールガーにランチを予約、ゆったりとNYで一番旨いハンバーガーを食べに。日本から帰ってしばらくは、アメリカのシンプルな食べ物が美味しい。昼食にこんなヘビーなものをかって感じだが、ピータールガーのランチで腹一杯にして腹がもたれたことは無いので、まぁたまには良い、でしょう。行程のブルックリン・クイーンズエキスプレスを走行中は、今日のいい天気の下、マンハッタンが良く見渡せた。

東京ライブ その6 TUBO

2005年12月03日 | 音楽
いよいよ帰国ライブ最後の夜。京王線の調布駅の手前、千歳烏山にあるTUBO(つぼ)というお店。昼間は自然食レストラン、夜はお酒が美味しく呑めて生演奏が聴けるバーになる。

お店のドラムセットをお借りした。60年代後半から70年代前半に作られたラディックというアメリカ製のドラムなのだが、サイズが小さめでコンディションが良い。バスドラムの口径は一般的なジャズドラムと同じだが、深さが2インチほど短い。僕は普段から小さくて浅いバスドラムを使っているので、叩き易かった。

予定では従来のカルテットのライブだった。しかし前日からサックスの臼庭が体調を崩し、当日もあまり回復しなかったので、急遽ツインギター、オルガン、ドラムという編成で臨むことに。余裕を持って打ち合わせできるように予定より早く会場入りした。結局臼庭が気合いで会場に駆けつけ、クインテットでの演奏になった。

演奏開始までは「今日は体調悪いから、平川喋ってよ。」と臼庭は言った。たった一つの話題を喋っただけで戸塚G-Clefをし~ん、、、とさせた僕に任せようとするとは、臼庭の体調は相当悪いのだろうか?後から本人に訊いたら、確かにこのままぶっ倒れるか?ていうくらい酷かったそうだが。実際演奏が始まると、しっかり演奏し、しっかり喋り、ステージを進行させていた。プロの中のプロである。

TUBOのマスターKUMAさんご夫婦からファーストセットの途中に、オルガンの須川さんに誕生日プレゼントが贈呈される。会場のスペースが許す限り大型のレズリースピーカーを持ち込む須川さんは、この日も車を運転。プレゼントのお酒は、帰宅後お楽しみになったのでしょう。

須川さんと同じくこのお店にはお馴染みのギタリスト永井さんとは2度だけの共演だった。彼のキャリアからしたら単なる若僧でしかない僕にも、ステージの上でもオフでもとても気さくに接して頂く。

もう一人のギタリスト、バンド最年少の高瀬君とは当初この日は共演する予定では無かったけれど、彼が加わってくれて結果としてより楽しいステージに。

今回の一連のライブでは本当に沢山の人にお世話になり、沢山の人に励まされた。聴きに来て下さった方々、演奏させて頂いたお店の皆様、そして一緒に演奏してくれたバンドメンバーの皆さん、本当にありがとうございました。