御年78歳のドラマー/バンドリーダー、ポール・モチアンのトリオを聴きにヴィレッジ・ヴァンガードへ。
ドラムスとピアノとサックスという、少し変則的なトリオ。開場直後に着席し、今か今かと待ったセカンドセット、つまり最初のシンバルの音が鳴ってから最後の曲後のメンバー紹介まで、の小一時間はあっと云う間に過ぎた。でも聴いた後しばらくは何度も何度も、各曲が頭の中で響いていた。
まず選曲と曲順が聴く側の関心をそそる。一つのテンポには収まらない不思議なリズムで奏でた、スタンダードっぽいオリジナル曲あるいは意訳したスタンダード曲の次は、ジャズ好きにはお馴染みのスタンダード(この日は"Our love is here to stay")やモンクのブルースをまっとうに演奏、そしてまた不思議リズムでという風に。聴いているとまるで現代的な摩訶不思議ゾーンと、古き良きジャズの世界を交互にタイムスリップするかのようだ。
ジャズビートの背骨的部分を低音で担うベース無しでも、このトリオは勝手にそして見事にスウィングする。ポール・モチアンがドラムを叩く限り、どれだけ違うスタイルのジャズマンがどの楽器を演奏していようがお構い無しでビートを刻み、ある時は緩やかに、またある時はいきなり音の強弱を変えながら音楽を創ってゆく。
彼の音楽的感性がそうさせるのだと言ってしまえば話は早いが、この場合リズム感、曲の理解力は云うに及ばず、長いキャリアに裏付けされた音へのこだわりとバンドリーダーとしての才覚が大きく反映されている。
その中で特筆すべきは、目まぐるしくテンポを変えるから通常の「ノリ」は感じられないドラムビート。そしてジャズドラマーなら誰でも知っているスウィングビート。この二つのビート、まるで性質が違うのだけれど、ポール・モチアンが叩くとどちらもサマになる。
2枚のライドシンバル、ハイハットシンバル、5つのドラムだけで奏でられる音色の幅広さは半端ではない。この日のドラムは、ベースが居る時と比べて若干低めの音になっていた。だから低いドラム音が出るのは勿論だけど、皮の端っこ緒と枠を同時に引っ叩くと甲高い音も出る。
いずれにせよ一発聴いただけで「あ、この人のタイコだ」と即座に判るところは、今も昔も変わらない。
ドラムスとピアノとサックスという、少し変則的なトリオ。開場直後に着席し、今か今かと待ったセカンドセット、つまり最初のシンバルの音が鳴ってから最後の曲後のメンバー紹介まで、の小一時間はあっと云う間に過ぎた。でも聴いた後しばらくは何度も何度も、各曲が頭の中で響いていた。
まず選曲と曲順が聴く側の関心をそそる。一つのテンポには収まらない不思議なリズムで奏でた、スタンダードっぽいオリジナル曲あるいは意訳したスタンダード曲の次は、ジャズ好きにはお馴染みのスタンダード(この日は"Our love is here to stay")やモンクのブルースをまっとうに演奏、そしてまた不思議リズムでという風に。聴いているとまるで現代的な摩訶不思議ゾーンと、古き良きジャズの世界を交互にタイムスリップするかのようだ。
ジャズビートの背骨的部分を低音で担うベース無しでも、このトリオは勝手にそして見事にスウィングする。ポール・モチアンがドラムを叩く限り、どれだけ違うスタイルのジャズマンがどの楽器を演奏していようがお構い無しでビートを刻み、ある時は緩やかに、またある時はいきなり音の強弱を変えながら音楽を創ってゆく。
彼の音楽的感性がそうさせるのだと言ってしまえば話は早いが、この場合リズム感、曲の理解力は云うに及ばず、長いキャリアに裏付けされた音へのこだわりとバンドリーダーとしての才覚が大きく反映されている。
その中で特筆すべきは、目まぐるしくテンポを変えるから通常の「ノリ」は感じられないドラムビート。そしてジャズドラマーなら誰でも知っているスウィングビート。この二つのビート、まるで性質が違うのだけれど、ポール・モチアンが叩くとどちらもサマになる。
2枚のライドシンバル、ハイハットシンバル、5つのドラムだけで奏でられる音色の幅広さは半端ではない。この日のドラムは、ベースが居る時と比べて若干低めの音になっていた。だから低いドラム音が出るのは勿論だけど、皮の端っこ緒と枠を同時に引っ叩くと甲高い音も出る。
いずれにせよ一発聴いただけで「あ、この人のタイコだ」と即座に判るところは、今も昔も変わらない。