ポリ乳酸(PLA)
私はポリ乳酸は生分解性プラスチックとして認識していたが、著者は「偽の生分解性」という。
私の目にPLAがいわくつきに映るのは、一般的な生活環境の条件下では生分解しないのに、「生分解性」とされていることである。微生物がこのPLAを分解するには、数ヶ月の間60℃以上という定められた温度を保つことが必須条件であるこの条件が満たされた状態で相当の時間をかけなければこの物質は炭素の自然サイクルに戻っていくが、自然な温度条件下ではそうはならないのである。したがってこの物質は、残留するプラスチックには分類できないし、自然環境下で分解する生分解性物質というカテゴリーに収まらないのである。
私たちがゴミを捨てるとき、このPLAの曖昧さを理解して、うまく対処するのはとても難しい。PLAのゴミは堆肥化可能とされているが、庭に埋めても決して自然には生分解しない。
このプラスチックも生分解されないプラスチックと同じように長く残って、いつか同じように北極の氷の中で発見されることになるだろう。
プラスチックと歩む
その誕生から持続可能な世界を目指すまで
ナタリー・ゴンタール
エレーヌ・サンジエ著
臼井美子監訳
生分解性プラスチックがどのような条件下で分解できるのか、理解しなくてはいけない。
今後のゴミ分別はプラスチックの種類ごとに分けることが必要になりそうだ。