娘が埼玉から帰ってくる日。
1つ どうしても払いきれない心配があったのだが
今のところ 何の連絡もないし
無事 済んだのかな と 思っていた
娘の名義で通帳を作っておくと 良からぬ者に奪われそうだったので
埼玉のお母さん名義で 通帳を作り
娘が産まれてからずっと 貯めておいた僅かな貯金があった
娘もバイトをするようになり
貯金も順調に増えて 私よりもお金持ちになった娘
もう高校生だし 自分で管理させようと
娘の名義に変更してくるように 埼玉に大金を持たせていた
お母さんがどのようにして作った口座か判らなかったので
埼玉に行くしいい機会だと思い
いちお 印鑑と 身分証明を二通持たせ …
帰ってくるなり 変更はちゃんとでいたか すぐに聞いた
そしたら 身分証明がなくて―… と 云うではないか
身分証明は 一緒に渡したぞ と すぐにカバンの中身を確認すると ある
とりあえず 埼玉じゃなくても他の方法でできるというので
全額下ろして封筒にお金が入っていた
やばすぎるだろ これ
何故かって 元旦那が娘をここまで送ってきたからだ
これが発見されたら 即 奪われる!
神経質すぎない? というひともいるだろうが
私の心配事は的中することになる
おかえりー と 久々の再会を喜んでいると
いきなり元旦那が 今乗っている車が 故障し
いつ止まってもおかしくない状態にあると云いだした
(そんな危険な車に乗せてくるなんて きっと裏があるに違いない!)
私は凍り付いて その先の言葉を待った
そしたら 案の定だ
「車の修理にお金がいるんだけど 母ちゃんに相談しても
自分でなんとかしろって云われるし 困ってるんだよね」
つまりもう 彼は娘の所持金を把握していたのだ
「そらに相談したら 貸してくれるって云うんだけど」
瞬時にして パニックに陥った
あれ程 お金の事はパパに云うなと云ったのに
娘は云ってしまったようだった
「そらのお金はダメ! 諦めて!!」
お願い そらのお金だけは…!
私は過呼吸になりながら 叫んだ
「もうやめて! 私から全部奪っていったくせに
今度は 娘からも奪うの!?」
「なにも貰うって云っているんじゃない 借りるだけ」
「そう云って 10年以上も私のこと騙したくせに!」
「は? なんのこと? お前に金借りたことなんてない。
逆じゃん。お前が俺の親に お金どれだけ出させたんだよ」
「勝手に会社辞めて パチンコして 女作って
昔の借金は闇金で膨らんで そういうのがあって生活費も入れないで
私が何か悪いことして 親に迷惑かけたわけじゃないじゃん!」
全部自分が原因で 家庭も守れない男が
自分の両親に迷惑をかけ
私の 親戚 友人 私自身にまで払わせて
それって 全部 若い頃に背負い込んだ借金が2000万以上にも膨れ上がって
その尻拭いだった
尻拭いをさせながら 自分は パチンコから離れられない依存症
最後には 毎月◯◯万 時には◯◯◯万のお金を請求され
遂には 家に借金取りがきた
ポストにケチャップをぶちまかれたり
鍵穴にアロンアルファを入れて使えなくしたり…
演技なのか 本当なのかは知らないけれど
彼は そういう修羅場をきれいに忘れていて
全て 私の思い込みだと断言した
確かに あの頃の私はおかしくなっていて
お酒と 薬の両方を手放して生きていける状態じゃなかった
でも あの頃の恐怖は今も時折 フラッシュバックする
それ程恐ろしく 頼るのは 彼のご両親だけだった
今日中に250万用意して! 殺される!
と云われた日
向こうのご両親と お金を引き出すのに
何件もコンビニを回ったこともあった
その事について 私が 責められることもあった
私は 何もしていないのに
多分 親御さんも 何かに当たらなきゃやりきれなかったのだろう
結果 親が2000万
私が 800万近くの財産を失った
生活費にまで手をつけられ
日々の生活もギリギリ
その中で さらに病んで 死ぬしかないと 想ったあの日々
それが 全部 私の妄想だと!?
頭 腐ってるんじゃないの!?
親が 子供のお金を奪ってゆくことが どんな悲劇か
頭がおかしくなっている私の妄想ではないことを
他の誰かに云ってもらいたくて お母さんに電話したら
もう 私の悪い事ばかり
酒のみで 気が狂ってて ろくに働けないのに 俺に頼ってくる
みたいなことを云われ
娘が キレた
「パパは 困ってるのに どうして助けてあげないの?
お金なら 貸してあげるよ!」
「戻ってくるか判らないんだよ?」
「戻ってこなくても また バイトして貯めるから いい」
でもね
娘が産まれたお祝い 友人がくれたお年玉 市から贈られた支援 …
持っていかれるのは そういう 尊いものなんだよ
そういう 尊いものを 15年も護ってきたんだよ
500円だって 1000円だって どれほどの重みがあるだろうか
そのものが持つ 価値を無駄にできなくて
ずっと 貯めてきたものなんだよ
簡単に 云わないで … !
でも 結局は 娘のもの
娘が 納得する使い方をするのが 筋じゃん
「貴女のものなんだから 貴女がしたいようにすればいい」
そんなことしか 云えなかった
そして それは 奪われた
娘は 愛するパパのことだから
絶対 返してくれる と 思っているようだ
私は 彼が持ち去った後 悩んで 考えて 悩んで …
もう
彼を 信じるしかなかった
悔しかった
最後に お金が手に入って良かったと 気を良くした元旦那に
頭を撫ぜられたとき
「触るんじゃねえ!!」
と 牙をむくしかできなかった
こうして 春休み前半が 終わった。