日本では、社会保障費の増大が深刻な問題となっている
そんな中で、「高額療養費制度」の自己負担上限引き上げ
について議論されていますが
私はこの動きに明確に反対だ
健康保険制度の目的は、
予測不可能な困難な病気や事故などや
健康問題が起きたときに
経済的負担のリスクを下げることを目的にしている
すなわち、高額な治療費制度こそが健康保険の根幹であり
それを弱体化させることは非常に危険だと思う
自己負担の上限をそのままにしても
深刻な病気や事故による多額の医療費を
払えない患者が増加し
治療を諦める人間や自己責任に追い詰められる家庭が
出てくる恐れがあります
命に関わる問題を恐れる人間たちを
追い込むことが
当面は正しい医療費削減策と言えるのでしょうか
医療費削減を進めるためには
具体的に何をするべきでしょうか
UCLA標準教授・医療政策学者の津川友介医師は
『国民の健康を犠牲にして、2.3~7.3兆円の医療費削減が
実現可能な「5つの医療改革」』を頑張って取り組んでいます
その中でも、私は特に次の提案を支持します
「証拠に基づく予防医療を保険対応とする」
病気を予防することで
医療費が発生しないようにすることが重要です
現状では、予防医療はほとんどが自費であり
国民が積極的に取り組みにくい状況にあります
ただし、根拠に基づいて有効な予防医療を
保険適用することで
長期的に見て医療費を大幅に削減する可能性があります
病気を「治療する」よりも「防ぐ」ことに力を入れれば
医療費は持続可能な範囲に収まるのです
予防医療に力を入れている長野県の医療費が低いのは
そのことを証明しているように思います
また、高額療養費制度の上限を上げる前に
まず取り組むべきは、患者の健康を改善しない
あるいは効果の乏しい無駄な医療です
・70歳以上の窓口自己負担割合の見直し
・OTC類似薬の保険適用特典
・無価値医療の保険適用特典 など
根拠に基づいて無駄を削減することが最優先です
医療費削減のために真っ先に取り組むべきは
「命を守る仕組み」を弱体化させることではなく
「無駄を排除する仕組み」を強化することだと思います
そのような方向に医療制度が進むことを願います