■1.記事への反応と影響
「『心理カウンセラーお断り』の貼り紙」を記事にしてから、2週間が過ぎました。
「『PSW研究室』炎上の弁明」を先週記し、僕なりの意図を説明させて頂きました。
しかし、記事はネット上にどんどん際限なく拡散しており、終息は見えません。
改めて、これまでの経緯をまとめ、現時点での僕の率直な意見を記したいと思います。
これまで「PSW研究室」の訪問者は、毎日300人くらいでした。
この記事を載せた4月14日、アクセスは訪問者6549名、PV1万2千を超えました。
最初にそのカウント数を見たときには、何かの間違いではないかとさえ思いました。
全国の156万7145ブログ中、アクセス数18位という不名誉な記録を頂きました。
マイナーな個人ブログが、ここまで拡散したのは、「ツイッター」の影響によるものです。
この記事は、多くの方のリツイートにより、幅広く拡散していきました。
ツイッターでは、これまでに約10万回引用され、430名の方がコメントしています。
いつのまにか「2チャンネル」や「はてなブックマーク」にも取り上げられています。
ブログに直接コメントを頂いているのは、記事1本目が91件、記事2本目が54件です。
頂いた賛否両論のご意見を、一概に整理分類することなどできませんが。
それでも論調から、記事を擁護する立場、批判する立場、中間的な立場に分けてみると、
擁護派2割、批判派4割、中間派4割となるでしょうか…。
反応はネットの中だけでなく、僕自身のリアルな周辺でも現れています。
先週は、大学院の教務課に、抗議電話がありました。
今週は、大学の学長宛に、抗議のお手紙がありました。
いずれも、このブログを運営している僕に対して、大学側の適切な処置を求める内容です。
僕自身に反省の様子が見られないと判断しての、抗議であると受け止めています。
■2.記事の内容と批判
改めて、問題になった記事の内容を、僕なりに要約すると、次のようなものでした。
1)被災地の避難所に、「マスコミお断り」という貼り紙が貼られている。
2)これに加えて、最近「心理カウンセラーお断り」という貼り紙が登場した。
3)阪神大震災以降、被災地の方のPTSD、心のケアが強調されるようになった。
4)臨床心理士会などが調整し派遣しているが、そうでない「心理カウンセラー」もいる。
5)マニュアル片手に、安直に悲しみの感情を引き出すような相談であってはならない。
6)専門職側が自身の力量を見定めた上で、継続的な支援体制を組む必要がある。
7)貼り紙は、相談支援を生業とする者たちへの、精一杯の抗議と考えるべきである。
8)このことは、対人支援サービスの専門職が、共通して受け止めねばならない。
9)精神保健福祉士も専門職づらをしないで、できることを地道にやっていくしかない。
10)なお「心のケア」に取り組む方々に、不快の念を与えたとしたら、お詫びしたい。
読む方の立場によって、要約の仕方も違ってくるのは当然ですが。
僕としては、上記の7)8)9)が、今回の記事の中心テーマであると考えています。
ひとつの出来事を踏まえて、自分たちの専門職としてのあり方をきちんと振り返ろう。
今後長期にわたる被災地支援に、専門職として襟を正して取り組んでいきましょう。
そういったメッセージを込めたつもりでした。
しかし、僕自身の予測を超えた、ご批判とご意見を多数頂戴することになりました。
この記事を公開した僕への批判は、次のように要約できるでしょうか。
1)伝聞の情報、曖昧な表現で、悪意ある憶測による、デマ記事を書いている。
2)その結果、被災地における「心理カウンセラー」への風評被害を生んでいる。
3)結果として「心理カウンセラー」に対する不信感を、ネット上に拡散させている。
4)各職場における、臨床心理士と精神保健福祉士との感情的対立を煽っている。
5)被災者や、カウンセリングを受けているユーザー、ボランティアを傷つけた。
6)個人ブログとはいえ、大学教員という立場で許されるべきことではない。
7)報道機関サイトからの画像転載は、明らかに著作権法違反の犯罪に当たる。
8)自由な議論と称して、ネガティブな感情の応酬が繰り返される炎上を招いている。
9)その結果として、市民の専門職種に対する信用を失墜させ、名誉を毀損した。
10)これだけ拡散し世間を騒がせているブログの主宰者としての責任が問われている。
上記の批判点のうち、当初は1)~5)が批判の中心軸であったと思います。
ネット上の匿名性という特性もあり、かなり感情的なネガティブな応酬がなされました。
しかし、後半は6)~10)の点が、特に批判を受けるようになりました。
直近のコメントでは、このブログの存廃に関わる責任の取り方が問われています。
それでも、ここに記されたコメントは、僕自身へのメッセージであると考えています。
頂いた真摯なご批判やご意見は、改めて自らの発信の仕方を考えさせられるものでした。
また、ご自身のご体験や、当事者の方からの苦言は、正直、諫言身にしみる想いでした。
あえてこのブログ上に、臆せずコメントを寄せて頂いた方々に、改めて感謝申し上げます。
■3.「風評被害」の責任の取り方
記事を書いた僕の意図とは離れた様相で、このブログは拡散し展開していきました。
コメント上のネガティブな言葉の応酬を通じて、議論は泥沼化していきました。
上に記したように、このブログ「PSW研究室」の存廃が問われてきています。
実は初期の段階から、早期に記事を削除し、公開を停止するよう、忠告も頂きました。
ツイッターでの拡散とブログ炎上を止めるには、そうするべきだったかも知れません。
「風評被害」を撒き散らかした責任の取り方としては、それが一般的な対処なのでしょう。
炎上中のブログ記事の、具体的な訂正の仕方までご教示頂いた方もあり、恐縮至極です。
今からでも、即座にこの記事を削除し、ブログを停止することは、たやすくできます。
職場に届いた抗議文等も、僕に対する大学組織としての対応・処置を求める内容でした。
ただ、僕としては、臭い物に蓋をする問題の隠蔽は、いかがかと考えてしまいます。
今回図らずも露わになった、職場における心理職とワーカーとの意思疎通の悪さ等、
現実にある問題は、むしろ課題として共有していく姿勢が必要だと考えています。
ネットの恐ろしさを知らない、無自覚な甘い認識と、また批判を浴びるかも知れませんが。
僕は、今回の激しい言葉の応酬は、とても貴重であると思っています。
専門職としてないがしろにはできない、大事な価値に関わる議論であると思っています。
ブログは今も炎上してしまっていますが、僕は「荒らされた」という意識はありません。
一見「荒し」のように見えるネガティブなコメントも、ひとつの明快な主張があります。
誰もが読んで我が身を振り返らせられる、冷静で真摯なコメントも多数寄せられています。
コメントを削除したり、記事を非公開にしたり、ブログを停止するのはたやすいのですが。
この炎上中のブログを提示し続けることが、僕の責任の取り方かなと考えています。
そのことで、どんなに悪態をつかれても、悪評を高めることになってしまっても…。
「風評被害」の発信者は、きっと誰しも「そういう意図はなかった」と弁明するでしょう。
僕自身も「心理カウンセラーへの風評被害」を招くという意識はありませんでした。
ネット拡散への無自覚、甘さ等のご批判を受けつつ、今後も接点を模索したいと思います。
僕なりに「風評被害」への対応は、今後も真摯に継続したいと思っています。
一方で、対人支援サービス専門職の被災地支援のあり方については、ぜひ共有して欲しいテーマです。
また、他職種同士の連携協働についても、ぜひポジティブなご意見をお待ちしています。
■4.訂正とお詫び
「『心理カウンセラーお断り』の貼り紙」を、今さら無かったことにはできません。
「PSW研究室」の記事は、なおも当初のまま、ネット上を浮遊しています。
ただ、そのことによる、新たな火種を撒き散らしての類焼は防ぎたいと思っています。
何人もの方からご指摘頂いた、曖昧な字句や表現は、やはり改めるべきと思います。
個人ブログの気安さで、十分な推敲もしないで載せた記事です。
皆さんのご指摘を受けて、表現が練られていない部分も、多々目立ちます。
少なくとも、趣旨を損なわない範囲で、僕なりに反省すべき点は改めたいと思います。
これまでに頂いたコメントと整合性を失わない程度の、最低限の修正をさせて下さい。
近日中に、修正箇所も明示して、本文を少しいじらせて頂くつもりです。
また、ご指摘のあった写真転載の件は、やはり不適切であったと認めざるを得ません。
僕としては、現地の姿を伝える報道機関の方の画像をお借りしてと思ったわけですが。
やはり安直でしたし「自覚に乏しい」「幼い」という批判は当たっていると思います。
今回、「47NEWS」編集部の方とも、直接連絡を取らさせて頂きました。
47NEWSは共同通信をはじめ、47都道府県の52地方新聞社で構成されています。
掲載画像は、各社に著作権があり、一つひとつ了解を得るのは相当な困難を伴います。
記事の文言の修正に先立ち、まず震災関連画像の差し替えをさせて頂きました。
僕がこれまで撮りためた、デジカメや携帯の画像に、すべて差し替えました。
47NEWSの皆様方には、改めてお詫び申し上げ、ご寛恕の程お願いしたいと思います。
■5.感謝とお礼
最後に、この間、個別にメッセージやメールを頂戴した方々に、お礼を申し上げます。
僕自身の心身の状態や立場を気遣い、慰めの言葉を多々頂戴致しました。
わざわざ、研究室までお訪ね頂いた方々にも、心から感謝申し上げます。
今回の炎上で、「PSW研究室」本来の情報発信が、機能不全を起こしていますが。
上記のように、ブログを閉じずに継続することで、責任を取っていきたいと考えています。
今後も多様な記事を掲載していきますので、遠くから見守って頂ければ幸いです。
やや、まとまりに欠ける文章ですが、現時点での率直な見解を記させて頂きました。
お忙しい中、わざわざお越し頂いて、読んで下さっている方々には、感謝申し上げます。
「PSW研究室」炎上の行方は不明ですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。
※記事の一部を訂正させて頂きました。
(→7月1日付「謝罪と訂正と教訓と感謝と」をご参照ください)
抗議がそこまで具体的にあったのならば、「炎上」ではなくてもはや龍先生反動勢力に対する保身だけとみなされていくのでは?
どんなに有用な情報提供を行うブログでも、一旦こうなった以上、従前の目では誰からも見られないでしょうし、精神保健福祉士に関する有益な情報提供だけを行っているブログとはみなされないでしょう。
電話や手紙が来るのはブログの反響としてはよっぽどのことだと受け止めた方がいいと思いますよ。
でも、意思表示をしなければ何もはじまらないですからね!勉強になりましたぁ~。
それにしても全国18位ってすごいですね。眞鍋かおりにも負けないですね。
悪名かな?むーんっ!となっとくさせられた人も多いですよ。
コメントしてくれた人の中に専門職外の人も沢山いましたね、そういう人が興味を持ってくれたってのは嬉しく思えました。やっぱり、先生のブログは良いブログだということだと思ったです。
やっぱり反響すごいっすね
先生がブログを続けることでそういった両職種感の内心の感情の悪化についても考えていただけると幸いです。
私自身はまだまだ若手ですが、いろんな不条理と逃げずに闘いながら、今の精神保健福祉業界を構築してきた先生を尊敬します。
そろそろ、普段のブログに戻してください。炎上の話題より普段の先生の話聞きたいです。
熱~い意見の満場一致は難しいと思われますがいろんな意見があるのが世の常です。私はこれからも今まで通りにブログ更新を楽しみにしています♪
今回のもともとのテーマはカウンセラー、ワーカー問わず、
対人援助職としての警鈴と受け止めていました。
そういう意味では大事な記事だと思います。
たしかに写真の無断転載はよくなかったですが(^^;
このコメントのやりとりも含めて
後に見てもらえるように公開しておくことが
今後の人たちのためにも良いと思います。
ただ、コメントしてる人の中には
心理士やSWについて事実と異なることを書いてる人もいる
ように思うので、それも合わせて注釈を掲載してもらえたらとも思います。