一見アインシュタインの顔だが、目を細めたり離したりするとマリリン・モンローに見える。
「ひも」理論の間の双対性の比喩として引用してあった。
10次元の時空を仮定する「ひも」理論は5種類あり、「ひも結合定数」を推定する近似計算法でパラメータの使い方が異なり、2つずつ互いに双対関係にあるが、11次元の時空なら厳密解が有り、1つのM理論として統一できる、と。
制作はMITのAude Olivia:
http://cvcl.mit.edu/aude.htm
画像については:
http://cvcl.mit.edu/hybrid_gallery/monroe_einstein.html
顔の知覚に限ることではないが、計算論からすれば知覚過程は基本的に方程式を解くことに等しい。
一般に知覚は瞬時に成立するが、関係する要素は非常に多く、厳密解を算出しているのではなく、漸近法によって近似解を得ている。
任意のポテンシャル関数(誤差あるいはエネルギー関数)と初期条件から出発し、パラメータの値を少しずつ変化させ、ポテンシャルの形を探りながら、その値の低減が少なくなったら解に到達した、となる。
最適解を算出させるポテンシャルの役割は、宇宙定数やその他の物理定数を求めるためのランドスケープと本質的に異ならない。
パラメータの動かし方でエネルギーが極小になるところが2つある場合も多々あり、2通りの見え方が交代して生じたりもする。
平面図形を立体的に知覚したり、3次元に配置された形態が2次元の配置に見えたりもする。
ひとつの見え方が成立すると、その見え方が安定して持続する傾向がある。
パラメータを動かす幅は周囲の勾配によって変わると思われるが、全く変動が無くなることはない。
極小点の周囲における勾配に比べて変動が小さくなれば、別の極小点へ向かって動くことがないと云うことに他ならない。
量子力学には、トンネル現象が有り、極小点の周囲の山を潜って近くのより低いところへ動く。
宇宙論のランドスケープでも、類似のトンネル現象が有る、と。
人間の知覚や思考で「ひらめき」と呼んだりしているのは、計算過程としては類似の現象かもしれない。
〇ホログラフィック多宇宙
視覚心理学あるいは認知神経科学にとって、人間の視覚システムがどのような情報処理によって平面的画像情報からから立体的画像の知覚を成立させているか、その計算過程の解明は最大の関心事だった。
有力な鍵はホログラフィック原理にあるとするものが少なくない。
以前、このブログで「時空の次元とホログラフィック原理」について述べたのも、その関連からだった。
ホログラムが実際にはそこに無い像をリアルに見せることは、われわれに色々な想像を掻き立てる。
ホログラフィック原理による宇宙論にはオカルト的関心を寄せる人々がいたりする。
研究の発端がブラックホールだったことも余計に曲解を招いたかもしれない。
物理学で、時空が物質やエネルギーでなく情報を持つと云うとき、その情報を日常的概念によって誤解してしまうからかも知れない。
ブラックホールに含まれる情報量(エントロピー)は、その体積でなく、その領域を囲む事象の地平線と呼ばれる球平面の面積に比例する、と。
エントロピーの概念は、19世紀に燃焼機関におけるエネルギーの散逸を定量化するために導入されたが、ボルツマンによってランダムの程度を表すものとされ、シャノンによって情報量の尺度として用いられるようになった。
空間領域の情報容量は、そこにブラックホールがあるかどうかに関わらず、その領域を囲む表面の面積に比例する。
われわれは、この宇宙の内側にあって、この宇宙に含まれる情報量をとらえるが、もし宇宙の外から観測したとすれば、それは宇宙の地平線(地平面)の面積に比例したものになる、と。
内側から見れば3次元的経験だが、外側から見れば2次元的だということから、その2つの世界を称してホログラフィック多宇宙だ、と。
〇シミュレーション多宇宙
宇宙はコンピュータ上でシミュレーションできるという考え方には長い歴史がある、とか。
主な関心はビックバンのシミュレーションらしい。
核爆発もシミュレーションできるようになって、核兵器開発のために核実験をしないで済む時代である。そのような期待も有り得る。
しかし核兵器を造るための物質は所与だが、宇宙の進化を決める素材は分かっていない。インフラトンが何に由来するか、そもそも存在するのか、重力はどのように生じるのか、・・・、それを明らかにするのが目的だから、シミュレーションの意味が違う。
スケールも全く異なる。
シミュレーションが可能だとしても、現在のコンピュータではなく、量子コンピュータが実用化されたら、などの条件が付けられる。
それでも、いつの日かコンピュータは生物の能力をも超え、人間の脳の機能を模倣できるようにもなると確信される、と。
われわれの思考や経験がすべてシミュレ-ションできるようになったとすれば、われわれがシミュレーションの中にいるのではないことは、どうやって論理的に保証できるだろうか、と。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます