数学的な宇宙 究極の実在の姿を求めて
マックス・テグマーク著 谷本訳 講談社2016
Max Tegmark 2014
Our Mathematical Universe: My Quest for the Ultimate Nature of Reality.
宇宙は加速度的に膨張しており、やがて光速をも超える、と言われていますが、
アインシュタインの相対性理論に反しないか。
現に、光速を超えて遠ざかる銀河があるとか。
納得いかない疑問でした。
著者はこれに答えて(p61):特殊相対論に反するが、一般相対論には反しない、と言っています。
ハッブルの法則 v=H・d から、140億光年を超えた遠方の銀河は光速を超えて遠ざかっていることになる。
一般相対論は、単に2つの物体が同じところにいるとき、一方が他方に対して光速を超えて運動できない、と言っているのであって、
何物も空間で光速を超えて運動できないが、空間はどんな速度でも膨張できる、と。
ちなみに、140億光年遠方の銀河から届いた光は、その銀河が140億年以前に有ったところから140億年以前に発射されたものだ。
エスカレーターの上を歩くと、例えば10m上がる歩数で20m上がれるようなことだ、と。
似たような構造が余命という時間の概念にも有るように思います。
癌が発見されると、医師は患者に(確率的だが)余命が何年だ、などと告知する。
それは医師個人の多分に主観的なものかも知れないが、
統計の対象になりうるものとすると、癌の有無に関わらず、誰にでも、常に余命があると考えられる。
新生児の余命の平均が俗に平均寿命と定義されているらしい。
癌が発症したとき、その人が平均寿命を超えていようと、超えていない人と同じように、その歳での一般的な平均余命と関係なしに、何年ということが統計的に言えることになる。
因みに2016年発表の簡易生命表の(一般的な)平均余命の表によれば、日本の男性は、0歳で余命80.79歳、80歳で余命8.89歳、85歳で余命6.31歳。
子供の頃から疑問に思ってきたことがもう一つあります。
孫悟空がこの世界から抜けようとして筋斗雲に乗って飛び立ち、世界の果てと思えるところで5本の柱を見つけ、名前を書き込んで帰ってきたら、それが観音様の指だった、と。
それを読んだとき、どうして柱の向こう側へ回らなかったのか不満に思いました。
その頃は光速が有限だと知りませんでしたから、将来に宇宙船で宇宙の果てに到達したとき、もし壁が有ってどんなに硬かったとしても、壁の中も宇宙だから、穴を開けてさらに進めば再び広いところに出る。それを繰り返せば、やがて出発点へ反対側から戻ってくることになるのではないか、と空想していました。
地球を一周するのと違って宇宙空間を一周して戻ってくるとはどんなことか。
そんな幼稚な疑問もテグマークの本は解消してくれているようです。
そのキイワードはビックバンとインフレーション、そして並行宇宙でした。
一言で言えば、宇宙空間は無限大であり、数学的には、その無限大が無限にあるということのようです。
並行宇宙論はいろいろ有り、それを整理してレベルIの多宇宙、レベルIIの多宇宙、レベルIIIの多宇宙、そしてレベルIVの多宇宙までを論じています。
アインシュタインの重力理論によると体積が膨張しても密度が薄くならない物質が存在するらしく(p.123)、その膨張がビックバンを作り出し、インフレーションを引き起こしたという仮説を紹介しています。
彼はそれをインフレーション物質と呼び、放射性物質のように半減期があり、崩壊して普通の物質に代わる、と。
最終的にはインフレーションは終了するが、インフレ―ション膨張の惰性で、インフレーション期よりゆっくりした速度で、重力によって減速されながら、膨張を続けるとしています。
マックス・テグマーク著 谷本訳 講談社2016
Max Tegmark 2014
Our Mathematical Universe: My Quest for the Ultimate Nature of Reality.
宇宙は加速度的に膨張しており、やがて光速をも超える、と言われていますが、
アインシュタインの相対性理論に反しないか。
現に、光速を超えて遠ざかる銀河があるとか。
納得いかない疑問でした。
著者はこれに答えて(p61):特殊相対論に反するが、一般相対論には反しない、と言っています。
ハッブルの法則 v=H・d から、140億光年を超えた遠方の銀河は光速を超えて遠ざかっていることになる。
一般相対論は、単に2つの物体が同じところにいるとき、一方が他方に対して光速を超えて運動できない、と言っているのであって、
何物も空間で光速を超えて運動できないが、空間はどんな速度でも膨張できる、と。
ちなみに、140億光年遠方の銀河から届いた光は、その銀河が140億年以前に有ったところから140億年以前に発射されたものだ。
エスカレーターの上を歩くと、例えば10m上がる歩数で20m上がれるようなことだ、と。
似たような構造が余命という時間の概念にも有るように思います。
癌が発見されると、医師は患者に(確率的だが)余命が何年だ、などと告知する。
それは医師個人の多分に主観的なものかも知れないが、
統計の対象になりうるものとすると、癌の有無に関わらず、誰にでも、常に余命があると考えられる。
新生児の余命の平均が俗に平均寿命と定義されているらしい。
癌が発症したとき、その人が平均寿命を超えていようと、超えていない人と同じように、その歳での一般的な平均余命と関係なしに、何年ということが統計的に言えることになる。
因みに2016年発表の簡易生命表の(一般的な)平均余命の表によれば、日本の男性は、0歳で余命80.79歳、80歳で余命8.89歳、85歳で余命6.31歳。
子供の頃から疑問に思ってきたことがもう一つあります。
孫悟空がこの世界から抜けようとして筋斗雲に乗って飛び立ち、世界の果てと思えるところで5本の柱を見つけ、名前を書き込んで帰ってきたら、それが観音様の指だった、と。
それを読んだとき、どうして柱の向こう側へ回らなかったのか不満に思いました。
その頃は光速が有限だと知りませんでしたから、将来に宇宙船で宇宙の果てに到達したとき、もし壁が有ってどんなに硬かったとしても、壁の中も宇宙だから、穴を開けてさらに進めば再び広いところに出る。それを繰り返せば、やがて出発点へ反対側から戻ってくることになるのではないか、と空想していました。
地球を一周するのと違って宇宙空間を一周して戻ってくるとはどんなことか。
そんな幼稚な疑問もテグマークの本は解消してくれているようです。
そのキイワードはビックバンとインフレーション、そして並行宇宙でした。
一言で言えば、宇宙空間は無限大であり、数学的には、その無限大が無限にあるということのようです。
並行宇宙論はいろいろ有り、それを整理してレベルIの多宇宙、レベルIIの多宇宙、レベルIIIの多宇宙、そしてレベルIVの多宇宙までを論じています。
アインシュタインの重力理論によると体積が膨張しても密度が薄くならない物質が存在するらしく(p.123)、その膨張がビックバンを作り出し、インフレーションを引き起こしたという仮説を紹介しています。
彼はそれをインフレーション物質と呼び、放射性物質のように半減期があり、崩壊して普通の物質に代わる、と。
最終的にはインフレーションは終了するが、インフレ―ション膨張の惰性で、インフレーション期よりゆっくりした速度で、重力によって減速されながら、膨張を続けるとしています。