Randonneur旅日記

おじいちゃんの自転車一人旅
輪行サイクリングと
のんびりポタリング

二本木峠、粥仁田峠、そして牛さんに出会った  2018年6月22日 金曜日

2018-06-27 12:38:36 | サイクリング・自転車旅
 梅雨の晴れ間の貴重な一日、昨夜あわただしく支度をして、今朝早く出てきた。
 梅雨の晴れ間の空は、晴れと言ってもこのあいだの堂平山の山頂の空のような青さはない。薄く刷いたような雲が広がっているよ。




 東武東上線の小川町を出発してゆるい上り坂を上っていくと、道はそのまま石の鳥居の下を通って続いているよ。郷社八幡神社の参道になっているんだね。





 神社を過ぎると、次は、小さな古墳の前に出たよ。案内板には穴八幡古墳と書いてある。誰が埋葬されたのかは不明だ。
 石段を上がって入り口を覗いて見たが、鉄の格子で塞がれていたよ。







 車がほとんど通らない道を選んでいくよ。静かな朝だよ。





 県道11号に出ても車はあまり走っていない。





 県道11号からの眺めだよ。山がきれいだ。町並みが静かだ。





 いったん県道を離れ、“和紙の里”のほうへ向かってみた。



 平成28年にオープンしたばかりの、まだ新しい「道の駅 和紙の里ひがしちちぶ」だ。



 バスの待合所がすごい造りだ。



 そのまま槻川の右岸の道を進んでいくよ。空がだいぶ青くなってきたね。



 杉並木の木洩れ日の道だ。いいねえ。



 向堀という小さな集落を抜け、さらに進む。この先でふたたび県道へ出られるのかね。ちょっと心配だね。





 おや、ここから行けそうだよ。



 この橋を渡るのかね。怖いね。もちろん自転車からは降りて渡るよ。それでも怖い。



 川はこんな感じだ。



 渡った先には、花が供えられた二十二夜塔が立っていたよ。



 落合橋を渡り、槻川に沿ってさらに県道11号を行く。





 槻川を渡り、いよいよ林道二本木峠線へ。



 ……ところがどうも様子が変なんだ。





 いつまで上っても林道っぽくならないんだよ???



 あれっ?! 県道361号だって!



 林道二本木峠線への入り口を通り過ぎて、一本先の橋を渡ってしまったんだ。
 ちょっと悔しいが、もうだいぶ上ってきてしまったので、そのまま県道361号を行くことにしたよ。車もほとんど来ないし、まあいいか。



 それにしてもこの県道の斜度は半端じゃないよ。距離4キロ以上、ほぼ10%の勾配が続くんだ。こんな感じの勾配がずっと続くんだよ。





 だいぶ上ってきたね。日差しはかなり暑い。いつものように汗が目にしみるよ。





 やっと上りきったね。山の上からの景色はやっぱりいいなあ。遠くに光って見えるのは西武ドームだろうか。



 “ふれあい牧場”のミルクハウスはしまっているよ。平日で観光客がほとんどいないからだろうね。ソフトクリームを食べたかったんだが残念だ。



 ゲートは開いているよ。入ってみよう。
 ヤギさんたちがいるよ。



 おや、仲がいいね。夫婦だろうか、恋人同士だろうか。(この場合恋ヤギ同士というのかな)見ているだけでホッコリするね。



 今日は本来、二本木峠を目指していたんだから、これから二本木峠へ向かうよ。
 上りきった稜線伝いだからきつい上り坂はほとんどないよ。





 峠には夏のような日差しが降り注いでいる。しかし木陰に入ると、標高のおかげで涼しい。



 タニタのインスタント味噌汁で、お昼のおにぎりを食べる。この味噌汁は結構おいしいよ。



 食事のあとはコーヒーだ。久しぶりの山コーヒーだね。今日は時間に余裕があるのでのんびりできるよ。



 至福の時間だね。



 もともとはこの道を上ってくるつもりだったんだよ。ちょっと惜しいことをした。が、また来ればいいさ。



 道を戻って、“モーモーハウス”へ立ち寄る。営業はしていないようだが、扉は開いていて自由に中へ入ることができる。
 自動販売機で牛乳を買って飲んだ。よく冷えていておいしい。



 テラスからの展望は最高だよ。





 さて、粥仁田峠へ向かうよ。こちらも稜線伝いでほとんど上りはない。



 途中の景色だよ。あんなに高い山の上にも集落があるよ。





 粥仁田峠までは下り坂だね。





 少し上り返すとあっけなく峠に着いたよ。





 峠には粥仁田地蔵尊があったよ。こんな淋しい山の中の峠なのに、お地蔵様の前には瑞々しいきれいな花が供えられている。





 “天空のポピー”のあるふれあい牧場の道のほうが景色がよいのだろうが、みみ爺はあえてマイナーなこちらの牧場道路を選んだ。
 こちらも牧場の中を抜けていくのだが、林道のように狭い道には、車はまったくこない。





 下のほうに牛さんたちが見えるよ。



 さらに道を下っていく。



 自転車を止めると、牛さんたちが挨拶に来てくれたよ。なんだかうれしい。
 牛の目はきれいだなあ。邪悪な心を一切持たない目だ。この牛たちは、人間に乳を搾り取られ、肉にされて食べられてしまう。自分も含め、人間というのはなんと業の深い残酷な生き物だろうね。南無阿弥陀仏。念仏を唱えれば地獄に落ちないですむかな。親鸞が言ってた。信じて念仏すれば、どんな極悪人でも救われると。







 道の舗装が切れて、ダートになったよ。林道みたいでいいねえ。



 しかしダートの区間はそう長くはなかった。



 彼方に武甲山と秩父の町が見えるよ。





 静かな牧場道を下っていく。






 これから向かう曽根坂の山村集落だろうか。素晴らしい景色だ。



 だいぶ下ってきたよ。空気がなんとなく暑くなって来たね。山の上は涼しかったけれど。





 長閑な景色だよ。





 県道82号を横切り、ふたたび上り坂だ。



 県道を隔てた向こうに、粥仁田峠から下ってきた道が見えるよ。





 この道は林道雨乞曽根坂線に合流するはずだ。距離は1キロもないのだが、勾配がとんでもなく急だよ。平均斜度12%ほどだが、20%を超えるところもあるんだよ。



 はじめのうちは、よいしょよいしょと頑張っていたけれど…。
 ああ、もうペダルをこぐのがいやになっちゃったよ。自転車を押すのも辛い。







 この坂を上ってきたんだ。
 向こうに見えるのは、高原牧場のあった山並みだよ。



 曽根坂峠に続く雨乞曽根坂林道だ。林道はやっぱり涼しい。しかも下りだ。





 坂を下った先の集落の中にある峠から、瑞岩寺の方へ下っていくよ。この道も林道っぽいが、林道なのかどうなのかよくわからない。



 一般道に出ると、武甲山が迫ってきた。武甲山を見ると秩父に下りて来たという感じがする。



 県道11号を少し進む。車が少ないね。



 県道82号の横瀬川に架かる高篠橋だよ。



 橋の上からの川の様子だ。



 県道を離れ、常泉寺の方へ向かう。





 これが秩父観音霊場の札所三番・常泉寺なんだね。
 去年の10月に文殊峠を走った帰りに近くの金昌寺へは寄ったが、時間の都合でこちらには寄らなかった。それでとても気になっていたんだ。



 本堂の中には金色の薬師如来像が祀られている。



 蓮池と文殊堂だ。



 文殊堂の中の文殊菩薩像だよ。



 文殊堂脇の六地蔵。



 六地蔵の横に並ぶ石塔と石仏。
 左端の三角にとがった石塔は不睡石という眼病平癒に効能があるという伝説の石だ。



 そして立派な観音堂だよ。こちらには聖観音立像が収められているそうだ。









 金昌寺へ向かう。金昌寺にはもう一度見ておきたい観音像があるんだ。
 横瀬川を渡るこの橋は「ふるさと歩道橋」というそうだ。こんな小さな橋を自転車で渡るのはちょっとワクワクする。



 橋の上からの川の景色だよ。苔むした岩の間を涼しげに水が流れている。





 見覚えのある金昌寺の山門だ。



 境内に一歩足を踏み入れると、たくさんの石仏たちが所狭しと並んだ独特の雰囲気に包まれる。



 みみ爺は早足で石段を昇る。
 現在は本堂となっている観音堂はもうすぐだ。
 観音堂の前まで来て、みみ爺は思わず急ぎ足の足を緩めた。先に観音像の前で祈っている人を見つけたからだよ。ほかには誰もいない。静まり返っている。
 その女性は、正面の階段を上がった回廊の右手の、みみ爺がもう一度見たいと思っていた観音像の前で、手を合わせじっと祈り続けていたんだ。その姿を目にしたときみみ爺は、これは邪魔をしてはいけないと思った。みみ爺はただその観音像を一度拝み、写真を撮らせていただきたいだけだったからね。
 みみ爺は、女性が祈るのを終え立ち去るまでの間、観音堂の周囲に立ち並ぶ石仏たちを所在無く一つ一つ眺めて時間をつぶしていた。
 ときどき回廊に立つ女性の姿を振り返ってみたが、その女性はいつまでも同じように不動の姿勢で祈り続けていたんだ。
 何をそんなに祈ることがあるのだろう。みみ爺はそう思いながらも女性が立ち去るのを待った。みみ爺がここへ来てから、もうかれこれ5分以上は経過しているよ。
 それからしばらくしてふたたび振り返ったとき、女性はようやくそれまで祈り続けていた観音像の前に深々とお辞儀をして、足元のバッグを手に取り、中から白いハンカチを取り出して目頭に押し当てたんだ。みみ爺はなぜかドキッとして目を見張った。女性は祈りながら泣いていたのだ。
 女性は静かに階段を下りると、下に立っていたみみ爺に小さく無言で頭を下げて立ち去っていった。女性は意外と若かった。30前後だったようだよ。
 みみ爺はなんだか複雑な気持ちのまま階段を上り、もう一度見たいと思っていたその観音像の前で手を合わせ、写真を撮らせていただいた。女性が長いこと祈っていたその観音像、金昌寺の慈母観音だよ。





 みみ爺は、心の中に何か重い鉄の玉でも転がり込んだような気持ちだった。女性はあれほど長い時間、涙を流しながら一体何を祈り何を願っていたんだろう。きっと何か複雑な深い事情を抱えていたのだろう。そんな思いがずっと頭の隅に引っかかったまま、一日の旅の終わりの、夕方の穏やかな風景の中を西武秩父駅に向かってのろのろとペダルをこいだ。



 そんなみみ爺の目の前には、巨大な武甲山が立ちはだかっている。戦国時代の武将のように。なんだか、「お前はのんきだ」とでも言っているようだったよ。

コメント (8)
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