維新の党を除名された大阪系国会議員らが24日、「臨時党大会」で「解党」決議を強行した。来月の大阪ダブル選をにらみ、新党構想へ注目を集めたい橋下徹大阪市長の思惑が透けるが、「無効」を主張する松野頼久代表らとの骨肉の争いが世論離反に直結する焦燥感も付きまとう。膨らむ政治不信が「自民1強」打破を目指す民主党の野党再編構想にも影を落とす。
大会で「代表」に選ばれた馬場伸幸衆院議員は、正統性をアピールしながら維新解党の手続きを進めた。地方議員を含め200人超が出席した大会は2時間余りで終了した。
「仕掛け人」は会場に姿がなかった橋下氏だ。23日夜の会合で「東京をやり込める政治集団でないと、地方分権などできない」と強硬手段に理解を求めた。
橋下氏側は新党結成を起爆剤に大阪府知事選、市長選(11月22日投開票)の勝利に結びつける道筋を描く。周囲は「ダブル戦に勝てば橋下氏の政界復帰に道が開く」と当て込む。だが、「解党決議」や政党交付金の奪い合いが「泥仕合」との印象を広めているのは否めない。
対する松野執行部。「総会屋の手口」(幹部)とする橋下氏側の猛攻に防戦一方だ。交付金が振り込まれる通帳は新党組が押さえ、日々の党運営に支障が出る。執行部側は、新党組が解党を届けたら「偽計業務妨害罪で刑事告訴する」と息巻く。だが、23日には中間派の下地幹郎元郵政民営化担当相らが「党大会」への参加を明言し、分裂は連鎖反応の様相だ。執行部内から「松野氏はお公家さんだ」との不満が漏れる。
一方、民主党の長妻昭代表代行は23日の記者会見で、維新の対立劇に苦言を呈した。野党連携の戦略に狂いが生じかねないためだ。ある幹部は「維新と連携すれば民主党まで沈没する」とぼやいた。
自民、公明両党は冷ややかな視線を送るが、安倍晋三首相は橋下氏の政界復帰に期待をつないでいるとの見方が根強い。9月に大阪入りした際、首相は橋下氏と折り合いが悪い公明党大阪府本部の関係者にささやいた。「橋下さんと仲良くやってください」