今日の女王サマ

映画、本、音楽、お出かけ、思ったことなどズラズラ書き連ねています。

『沈まぬ太陽』-フィクションだけど・・・

2009年11月03日 | 映画&本&音楽&TV
今日11月3日は、作家・山崎豊子さんの85歳の誕生日なのだそうだ。

テレビでは『不毛地帯』が放映され、映画では『沈まぬ太陽』が公開中です。

『沈まぬ太陽』は3時間22分の長尺。あいだに10分間の休憩があります。

今、日航が不振に喘いでいるこの時期、ピッタリすぎるぐらいのタイミングで公開されたことは何かの因縁なのでしょうか。

主人公の恩地元(おんち・はじめ)にはモデルがあるとはいえフィクションと断りを入れているこの映画を、日航が社内報で取り上げ「企業として信頼を損なうばかりか、お客様離れを誘発しかねない」と批判していると時事通信が伝えています。
う~ん、何かピリピリしてますね。時期が時期だからな~。

山崎豊子さんという人は資料に脚色を加えず、そのまま引用することが多かったそうでたびたび盗作騒ぎも起きています。こういったことが「ひょっとしてすべて真実?」と思わせているのかも知れない。
ましてやあの御巣鷹山まで出てくるんですから神経質になるのも無理ないかなと思います。

が、この映画を観た人は「日航ってヒドイ会社だね」というより、「恩地さんは高潔な精神の素晴らしい人だ」という気持ちのほうが強かったんじゃないでしょうかね。そういう人もいるんですよ、日航には(あ、日航って言っちゃいけないか)。

「清濁併せ持て」と上司から言われた恩地のライバル行天も、悪役みたいだけど、世のサラリーマンは共感する部分もあるんじゃないでしょうか。最後はホントの悪に手を染めて失脚するんですが、そこまで行かなくてもある程度の必要悪みたいなものは社会にはあることだし。

恩地元が組合委員長として会社側と激しく闘ったがための懲罰人事で、僻地を転々とさせられたのは9年間。その間にも2度ほど「詫びを入れれば日本に帰してやる」と言われたのに結局スジを通して自分を曲げなかった。自分が詫びを入れてしまえば一緒に闘って同様に閑職に追いやられている仲間たちに顔向けできませんもんね。

そうこうしているうちに、会社側は組合員の分裂を図り、結果いくつもの組合が同一の会社に存在するということになってしまうんです。
大きな会社だから2つぐらいの組合があっても不思議ではないと思うけど『沈まぬ太陽』の中では4つ。実際の日航には8つの組合が存在していると聞くと、これじゃ会社はまとまらんだろうなと思ってしまいます。

いったい何故ここまで傾いてしまったんでしょうかね、この会社は。
本当に会社のこと、社員のこと、お客さんのこと、安全のことを考えた人がなぜトップになれなかったんでしょう。答えはその辺にあるのでしょうか。