若い作家の本を2冊読みました。
最近は1冊読むのに2週間かかることもあるぐらいで、本当に読書の時間が減ってしまいました。
今回挑戦したのは中村文則『掏摸』(スリ)と有川浩『フリーター、家を買う。』。
新聞の書評にも出たことがあるからご存知の方も多いと思いますが、私はお二人の作品を図書館で立ち読みした際、ピンとくるものがなかったので飛びつくほどではなかったんですね~。
『掏摸』は、金持ちしか狙わないスリが悪に飲み込まれる話で、やりきれないといえばやりきれない。
抗うことは不可能に近く、最悪の結果を感じつつ要求されたことをこなしていくだけ。ラストは読者の想像でどちらにも取れそうだけど、私は「生きる」方を選びます。
なんと言っても掏(す)るシーンが読ませます。それと万引きする少年との関わり合い。久々に夢中になった犯罪小説でした。
『フリーター、家を買う。』は就職したものの3カ月で辞めたお気楽な青年が、母親のうつ病を機に徐々に目覚めちゃう話。
町内のイジメを20年間も一人で受けとめ続けた母親が、ある日とうとう壊れてしまう。そのイジメに気づいていたのは結婚して家を出ている姉の亜矢子だけ。
アルバイトさえ続かぬ誠治は、母の変調に気づいた亜矢子が婚家から戻ってきたとき、町内から自分たちの家族がどんな仕打ちを受けてきたかを知らされ(遅まきながら)愕然とします。
母親にとって今の家に住み続けることが最大のストレスであるとわかった誠治は、お金を貯めて引越しするしかないと強く思い、腰を落ち着けて仕事をしようと決心。夜は父親に母親の面倒を頼み、自分は工事現場で夜間のアルバイトを始めます。
しかし、なかなかスンナリとはいかず、理解のない父親は自分の妻がそんな状況に陥ったのは妻自身が弱いからだと突き放し、逆に悪化させてしまったりします。
誠治は言います。「たった一人で20年以上も近所の嫌がらせに耐えてきた人が、俺たちを守ってとうとう折れてしまったんだ。そんな人を父さんは弱いと言えるのか」と。
キツイ仕事を半年以上も続けた誠治に、上司から「事務職の正社員として採用したい」という申し入れがあります。時を同じくして医療機器メーカーからも面接の通知が・・・。医療機器メーカーの方は、面接の順番を待っているときに、パニックに陥った母親からの電話でキャンセルせざるを得なくなってしまいます。会社側は別の道も考えてくれるという手厚さだったけど、いろいろ悩み考えた挙句に出した結論は正社員として採用したいと申し入れてくれた土木会社に就職すること。
ここから先はちょっと痛快でもあります。
結果として誠治は引越しを実行に移します。不器用ながら恋の芽生えもあったりで、ほぼハッピーエンド。「ほぼ」というのはうつ病が良くなったり悪くなったりを繰り返す波があり、彼の母親が落ち着くまでにはもう少し時間がかかりそうなこと。
中村文則さんは1977年生まれ、有川浩(ヒロシではなくヒロさん。女性です)さんは1972年生まれ。これからが楽しみな作家さんです。
最近は1冊読むのに2週間かかることもあるぐらいで、本当に読書の時間が減ってしまいました。
今回挑戦したのは中村文則『掏摸』(スリ)と有川浩『フリーター、家を買う。』。
新聞の書評にも出たことがあるからご存知の方も多いと思いますが、私はお二人の作品を図書館で立ち読みした際、ピンとくるものがなかったので飛びつくほどではなかったんですね~。
『掏摸』は、金持ちしか狙わないスリが悪に飲み込まれる話で、やりきれないといえばやりきれない。
抗うことは不可能に近く、最悪の結果を感じつつ要求されたことをこなしていくだけ。ラストは読者の想像でどちらにも取れそうだけど、私は「生きる」方を選びます。
なんと言っても掏(す)るシーンが読ませます。それと万引きする少年との関わり合い。久々に夢中になった犯罪小説でした。
『フリーター、家を買う。』は就職したものの3カ月で辞めたお気楽な青年が、母親のうつ病を機に徐々に目覚めちゃう話。
町内のイジメを20年間も一人で受けとめ続けた母親が、ある日とうとう壊れてしまう。そのイジメに気づいていたのは結婚して家を出ている姉の亜矢子だけ。
アルバイトさえ続かぬ誠治は、母の変調に気づいた亜矢子が婚家から戻ってきたとき、町内から自分たちの家族がどんな仕打ちを受けてきたかを知らされ(遅まきながら)愕然とします。
母親にとって今の家に住み続けることが最大のストレスであるとわかった誠治は、お金を貯めて引越しするしかないと強く思い、腰を落ち着けて仕事をしようと決心。夜は父親に母親の面倒を頼み、自分は工事現場で夜間のアルバイトを始めます。
しかし、なかなかスンナリとはいかず、理解のない父親は自分の妻がそんな状況に陥ったのは妻自身が弱いからだと突き放し、逆に悪化させてしまったりします。
誠治は言います。「たった一人で20年以上も近所の嫌がらせに耐えてきた人が、俺たちを守ってとうとう折れてしまったんだ。そんな人を父さんは弱いと言えるのか」と。
キツイ仕事を半年以上も続けた誠治に、上司から「事務職の正社員として採用したい」という申し入れがあります。時を同じくして医療機器メーカーからも面接の通知が・・・。医療機器メーカーの方は、面接の順番を待っているときに、パニックに陥った母親からの電話でキャンセルせざるを得なくなってしまいます。会社側は別の道も考えてくれるという手厚さだったけど、いろいろ悩み考えた挙句に出した結論は正社員として採用したいと申し入れてくれた土木会社に就職すること。
ここから先はちょっと痛快でもあります。
結果として誠治は引越しを実行に移します。不器用ながら恋の芽生えもあったりで、ほぼハッピーエンド。「ほぼ」というのはうつ病が良くなったり悪くなったりを繰り返す波があり、彼の母親が落ち着くまでにはもう少し時間がかかりそうなこと。
中村文則さんは1977年生まれ、有川浩(ヒロシではなくヒロさん。女性です)さんは1972年生まれ。これからが楽しみな作家さんです。