最近テーマが重い映画ばかり観ているような気がする。
今日の『クラッシュ』は、人種の坩堝と言われるロサンゼルスが舞台。
どんな街でも、歩けば人と体が触れたり、ぶつかったりする
でもロスじゃ、触れ合いは皆無
人々は金属やガラスの後ろに隠れている
みんな触れ合いたいのさ
衝突し合い、何かを実感したいんだ
『クラッシュ』は、『ショートカッツ』や『マグノリア』のように、いろいろな人がそれと知らず、触れ合い関係し合い、それと知らず立ち去って行く。
出てくるのは、人種差別主義の警官(マット・ディロン)、孤独で口うるさい地方検事の妻(サンドラ・ブロック)、家庭に問題を抱える警部(ドン・チードル)、裕福な黒人TVディレクター、娘を愛する良き父、ペルシャ人の雑貨店経営者 etc・・・。
人種差別主義の警官は、ある時は黒人を侮蔑し、ある時は黒人を命がけで救う。
孤独で口うるさい地方検事の妻は、あらゆる家政婦が気に入らない。しかし、自宅で事故にあった時、助けてくれたのは親友ではなくその家政婦。
家庭に問題を抱える警部は、母親が自分よりも弟の方を愛しているのに傷ついている。ある現場で見たのはその弟の死体だった。
幼い娘を愛する父親は鍵の修理工。ペルシャ人の雑貨店の鍵を直すよう頼まれるが、扉を直せとアドバイスする。しかし、それは受け入れられない。数日後、強盗にあったペルシャ人は鍵の修理工を逆恨みして、修理工の幼い娘に銃を向けてしまう。
この場面は無音でした。でも父親の「NO---!!」という叫び声は聞こえます。
みなさん、安心して。ペルシャ人は彼の娘が空砲を装填していたので、人を殺さずに済みました。(あ~、ネタバレさせてしまった。楽しみにしていた方、ゴメンなさい)
世の中って、こんなにギスギスしちゃってるんでしょうかね。東京は、いや日本は銃がないだけマシ?
わたくし、この映画で一番感情移入して観たのが、鍵の修理工です。
背中はタトゥーに覆われ、スキンヘッドで見かけはギャングです。実際、鍵の取替えに出かけたある家では「(修理工が帰ったら)違う鍵を取り付けて。今度はギャングを寄こすなと言って」と夫婦喧嘩をする場面があります。彼はきっと前科もあるに違いない。
でも、足を洗い、貧しいながらも家庭を持ち、可愛い娘までいる。まだ人を愛する気持ちが残っているんです。彼はもう悪の道には向かわないでしょう。
ハッピーエンドではありません。いくつかの問題は解決されないまま終わります。そしてこれが人生です。
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