本

開くたび頁が増えていく本　
重みを感じる腕　でも負けないんだから

あなたを正確に風のように訳せるのはあたしだけ

恋の途中

天辺は愛だから　
どんなに辛くても　
のぼっていくんだよ

きらきら痛む　
坂の途中　
たったひとりきり　
恋の途中　

朝焼けはもうすぐ　
一度真っ暗になってから　

誓い

手探りでリップクリーム塗る夜更け薔薇咲くまでの乾かぬ誓い

だいすきなひと

かなしいほどまっすぐなひかり　
澄んでいるものの寂しさを　
ずっと抱いていたのね　

やわらかくくちびるの端があがる　
だいすきな微笑みは　
せつない代償のあとに残ったもの　

遠くで君をみつめるよ　
ここでしかできないやさしさを探すよ　
グラスの海ゆれて　
こぼれそうな夕陽　

清らな流れ

あなたの胸は清らな流れが行きつくところ　
憧れのままでいたらいつまでも近づけないから　

星砂になって飛んでいきます。
永遠よりすこし長い時間を過ごしに。

いままで

いくつもの犠牲の上の孤独　
足もとのぐらつく自由　
花の散るような呼吸　

いままでをみわたす　
あたたかいお茶を飲みながら　
ひとりきり勝ち得た微笑みで　

だいじなひとが遠くで瞬く　
神様のした配置を　
こころのどこかでは感謝しつつ