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子供たちがまだ義務教育にあったとき、毎年サイエンス・フェアやヒストリーデイと言ったプロジェクトがあり、それぞれがテーマを決めて研究し、発表し、その結果を競ったものだった。その研究は例えば、サイエンス・フェアは、何故剃刀の刃を月光に晒すと、鋭さが劣るのかという「伝説」を実験してみたり、学校の水飲み場の蛇口にはバクテリアがどれほど繁殖しているか、などや、中には実際に農業に役立つような研究を子供たちが行なってきたりしている。毎年一、二件は、音楽を流しながら、植物を栽培し、その成長状態を研究する、というのもあり、ヘビーメタルを流すと、枯れる、クラシック、特にモーツアルトのソナタは逆に成長を促す、などの結果が出るのは、見たことがある。
そうした研究の続きのような面白い研究結果をNature.comの記事で読んだ。モーツァルトをわずか30秒間聞くと、脳のある領域が落ち着き、薬剤耐性てんかんの症状の発作を防ぐことができると、新しい研究が明らかになったと聞いた。
研究者は、2台のピアノのためのソナタ(K 448)が、てんかん症に関連する脳内の電気的活動の上昇を軽減する力を持っている可能性があることを発見したそうである。
クラシック音楽を楽しんだ人々は、その治療効果が大幅に向上していることがわかった。
モーツアルトが1781年に書いた「四つの手」のための作品のソナタを聴くことが空間的推論能力の向上につながったことが1990年代初頭になされた研究の登場で始めて判明したと言う。
これは、「モーツァルト効果」として知られるようになり、この結果は、過去数十年にわたって、てんかんを含むさまざまな分野で研究されてきている。
この研究は、モーツァルトの作品を含む一連の15秒または90秒のクリップを聴かせ、その時の薬剤耐性てんかんの成人16人の脳波図を用いて研究された。
特にモーツアルトの作品K448を聴いて、他のミュージッククリップを聴かずにいる時の脳波検査によると、脳全体のてんかんに関連する電気的活動の上昇数が平均66.5%減少したことが結果として見られた。
この減少は、感情的反応の調節に関与する脳の一部である、左前頭葉と右前頭葉の大半で最も大きく見られた。
モーツァルトの2台のピアノのための唯一のソナタは、彼が25歳のときに、オーストリアを代表する女性演奏ピアニストおよび作曲家の1人となった彼の最も有望な教え子の1人、ヨーゼファ・フォン・アウアンハンマーのために書かれた。
この調査結果は、Nature.comのScientific Reportsサイエンティフィック・リポーツに2021年9月21日公表された。
それでは、そのK448のクリップをどうぞ。