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米のミサイル不足、日本が補填へ 企業が受注し共同生産

2024-06-11 16:46:42 | NATO・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


岸田首相㊨とバイデン米大統領の首脳会談で防衛装備に関する協議枠組みの設置を決めた
(4月、米ホワイトハウス)=共同

 

日米両政府は9〜11日、都内で防衛装備に関する会合を開き、具体的な協力策の議論を始めた。ミサイルの共同生産を進め、米軍の武器不足を補うことを想定する。

防衛力を相互に補完する態勢を作り、安全保障環境の変化へ対応する力を高める。日本が防衛協力で担う役割は一層大きくなる。

 

「日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議」(DICAS)は、4月の日米首脳会談で設置を決めた。防衛装備庁の深沢雅貴長官と米国防総省で兵器調達を担当するラプランテ次官が出席した。

①ミサイルの共同生産
②米軍艦船・航空機の日本での補修・整備
③サプライチェーン(供給網)の強化――が当面の協議項目となる。

進捗は日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)に報告する。

 

 

防衛装備を巡る日米の協力はこれまで、日本が米国製のミサイルや戦闘機を購入して自国の防衛力に組み込んでいた。

ロシアによるウクライナ侵略や台湾有事の可能性を踏まえ、これからは日米で互いに支え合う関係構築を急ぐ。

 

ミサイルを巡る連携は米軍が使う防空用の迎撃ミサイル「パトリオット」を日本企業が受注し、日本国内で共同生産する案などが浮上している。

米国は現在、ウクライナに加え、イスラム組織ハマスと交戦するイスラエルへの軍事支援で武器不足に陥りつつある。

 


記者団の質問に答えるエマニュエル駐日米大使(10日、米国大使館)

 

エマニュエル駐日米大使は10日、米国大使館で記者団に「ウクライナ支援で供与した兵器の備蓄を増やすには1年半以上かかる」と述べた。

「体制を立て直すまで米国に危害を与えようとする脅威は待ってくれない。同盟国の力が必要だ」と強調した。

 

パトリオットは三菱重工業が日本国内でライセンスを得て生産している。日本政府は2023年12月に国家安全保障会議(NSC)でパトリオットを米国に輸出すると確認した。米国の在庫不足を埋める役割を担う。

日本も台湾有事で衝突に巻き込まれた場合、今のままでは自衛隊が弾薬・ミサイル不足に陥りかねないといった防衛省内の分析がある。

 

日本の防衛装備の輸出は防衛装備移転三原則に基づいて決めている。パトリオットのように他国企業の特許を使って国内でつくるライセンス生産品は、特許を持つ国に移転できる。

日本から装備を受け取った国が第三国に引き渡す際には日本の事前承認が必要だ。ウクライナのように戦闘中の国や地域に装備を送ることはできない。日本からの装備移転による支援はあくまでも日米同盟や国際貢献の強化が目的だ。

 

10日には両国の防衛産業に関係する企業10社ほどを交えた会合を開催した。

関係者がそろって愛知県にある三菱重工の「F35」戦闘機の組み立て・整備工場も視察した。日本は米国製のF35を部品で調達し、国内で組み立てている。

民間企業を巻き込んで防衛協力の具体策を詰める初の試みとなる。

 


DICASの艦船整備の作業部会(11日、都内)

 

米海軍の艦船や空軍の航空機を日本の民間施設で補修・整備する方針を受け、11日に艦船整備の作業部会を開いた。

インド太平洋地域での米軍の機動力を高める目的がある。8月には航空機整備の作業部会を設ける。

 

これまで米国本土やグアムを母港とする米海軍の艦船は、アジア周辺で展開していても本格的な補修や分解、整備のために定期的に本土の施設に戻る必要があった。

その場合、数カ月間は使えない状況になる。航空機も定期的な大規模整備は韓国にある整備施設に機体を移して実施してきた。

 

エマニュエル氏は11日、都内のホテルで整備の対象について「原子力に関わる艦船は考えていない」との認識を記者団に示した。

中国、北朝鮮に近く東アジアの防衛の最前線である日本で整備ができれば、早期に運用に戻れる利点がある。

 

防衛省幹部は「防衛産業の仕事増につながるだけでなく、米軍がいない期間が減るので抑止力が増す」と指摘する。

中国による海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発の進展で、東アジアの安保環境は厳しさを増している。日本は22年末にまとめた安保関連3文書で敵のミサイル発射拠点をたたく「反撃能力」の保有を決めるなど、防衛力強化の真っ最中にある。

 

1960年に発効した日米安全保障条約に基づく、日本は守りに徹する「盾」で米国が打撃を担う「矛」という役割分担は、徐々に変わってきている。

日本が2015年に安保関連法で集団的自衛権の行使を可能とし、海上自衛隊が米軍艦船を守る「米艦防護」の任務も加わった。

 

22年末の国家安保戦略の改定に沿い、反撃能力を日米で共同で運用する。

自衛隊と米軍の日本周辺での指揮統制を向上させることも検討しており、部隊運用に欠かせない防衛装備での協力は重要な要素となる。

 

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※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

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青山瑠妙
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授

ひとこと解説

アメリカの国力が低下しているなかで、中東などの地域紛争によりインド太平洋への関心の低下と政策の後退が生じないために、軍事産業を含めた日米関係も「相互補完」の日米同盟へと変貌しつつあり、日本に求められる役割は今後さらに大きくなっていくであろう。

こうしたなかで、日本のグローバルな政治的、外交的、そして軍事的な役割の増大はいわば時代の流れとなりつつある。

振り返って日本の対外戦略を見ると、どうしても対中戦略を中心に展開してきているが、グローバル大国的な役割が求められている以上、日本の対外戦略の理念が今後国際的に問われてくるのではないだろうか。

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日米首脳会談

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日経記事2024.06.11より引用
 
 


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