Eos5D写真三昧 格安の海外旅行記と国内旅行のすすめ

海外旅行の情報を旅行記として綴った記録。EOS5Dとiphoneで撮った写真をあげております。

ギリシャデフォルト間近

2012年06月03日 23時43分05秒 | Eos5D

 ユーロ問題も佳境に迫っている。いや、これから問題はさらに深くなるのかもしれない。EUという社会実験は、ヨーロッパ各国が通貨発行権と関税自主権を互いに制限し、欧州中央銀行による統制のもとに文字通り経済一体化を目指したところに本質があった。

 中世以来、数々の戦乱とそれによる疲弊をこの地域ほど多く経験した地域も少ないであろう。その反省からか、はたまたローマ共和制へのロマンからか、現代ヨーロッパは「統一」というものを望んでいたとは思う。このままEUが問題なく成長発展へと突き進んでいたのなら、統一はその経済だけに留まらず国境すらなくなって統一国家(共同体)の出現もあるのではないかと私もかつては思っていた。

 EUの加盟をめぐって、ヨーロッパ諸国は「ヨーロッパとは何か?どこまでの地域を指すのか?」ということを考えたこともあったろう。地理・歴史的には東はトルコの手前まで。トルコのあるアナトリア半島は小アジアと呼ばれる。しかし歴史的には東ローマ帝国の領土は小アジアも含んでいた。また北方に目を転じるとロシアがある。ロシアはギリシャ正教の守護者を自称?しており、いわば第三のローマ帝国ともいえなくもない。我々はヨーロッパ人ではないので、彼らの「ヨーロッパ」の観念は推測するしかないが、恐らく彼らにとってヨーロッパとは、「キリスト教」と「ローマ」という二つの巨大な共同体を大いに意識しているハズである。

 さて、このたびのギリシャ危機であるが、ヨーロッパに大きな影を落とすことになるだろう。それは、経済もあるが、もっと大きな問題もかかえている。今回EUで発言権を強く持つドイツとフランスは、ギリシャの緊縮財政を強要した。ギリシャが破綻する責任は、まぎれもなくギリシャ自身の失政のせいではある。しかしそもそもEUとは、各国の通貨発行権と関税自主権を互いに制限し、ヨーロッパの経済を統一してその恩恵も損失も共に共有するというのが当初理念であったと思われる。しかし現実にはどうか?いくら怠惰なギリシャとはいえ、EUはギリシャのGDPを奈落に突き落とす政策に踏み切った。この流れはギリシャだけに留まらず、今後スペイン、ポルトガル、イタリア、アイルランドに広がっていくだろう。ギリシャの国民の判断は、緊縮策に反対。民主主義において、EU中央の決定に真っ向から反対しているのである。

 ヨーロッパ各国、とくにスペイン、ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャは「主権」というものと「経済」というものをどう両立させるかを考えざるをえなくなるだろう。違う言い方をすれば「グローバリゼーション」と「主権」が両立されざる側面がハッキリ見えてきたのである。これからヨーロッパはまたもや民族と国家について考えることになるであろう。

 「なんで俺たちドイツ人が、あんなに働かないギリシャ人に金を注入しなければならないのか!」と多くのドイツ人は思っているだろう。これはまさに民族と国家に対するある方向性の考え方に基づいた発言だが、それはギリシャの側でも同じことが言えるだろう。だがEUという社会実験は、そういう民族、国家の考え方とは違う方向性に理想をもって建設されたものであったハズだ。

 まぁそんな難しい問題はさておき、写真はギリシャのアテネの町並み。この写真は2008年のもの。リーマンショックの直前の8月末日である。リーマンブラザーズは9月15日に破綻した。まさにこの写真の頃のヨーロッパは金融バブルの真っ最中を謳歌していたのである。この頃の物価は本当におかしいほど高かった。パルテノン神殿への入場料はなんと2500円。昼飯をレストランでとっても2000円以上とられる。1ユーロは180円ほどまで上がっていた頃である。バブルを外側から観光者としてみていた私にとっては、ヨーロッパはまさに「高い」地域であった。何をするにしても高い。当時もオカシイとは思っていたが、どうオカシイのかまでは分からなかった。しかし今となってみれば、なるほどなぁ、である。