Eos5D写真三昧 格安の海外旅行記と国内旅行のすすめ

海外旅行の情報を旅行記として綴った記録。EOS5Dとiphoneで撮った写真をあげております。

二度目のユングフラウヨッホ(8月29日)

2009年10月29日 05時38分27秒 | スイス旅行記2009年8月
EF24-105mmF4L

今朝のグリンデルワルトはあいにくの雨である。朝起床してTVをつける。これは既に日課になっている。というのも、この地方のTVは、山頂に設置されているカメラをリアルタイムで放映しているチャンネルが存在するのだ。当然、ユングフラウヨッホの山頂の映像も入ってくる。面白いことに、下界は雨だが山頂は快晴になっているようである。
早速、身支度をして、ユングフラウヨッホに向かう。今日は山頂を堪能するために、午後3時ごろまで現地に居座ることにした。

写真は山頂ユングフラウヨッホの展望台からのものだ。全旅程の中で、一番空と空気が綺麗だった日である。



ご覧のように下界は雲につつまれている。丁度3000メートル付近から上が晴れているのだ。



恐ろしく青い。



ちなみに外気温は4℃。風も強く、30分も外にいると凍えそうになる。
展望台はガラス張りの建物で、室内だと風が遮断され、太陽光線が入ってくるのでビニールハウスのように暖かい。30分外に出て、そのあと10分展望台で暖めて、また外へ出る・・・ということを延々と続けるのである。



ユングフラウヨッホは、午前中の景色がとにかく美しい。
この日はさらに水蒸気が下界に落ちているので、山頂は視界がいっそうクリアーに見える。



氷河が太陽光線に反射して、まるで光っているように見える。氷河の日陰の部分が、まるで金属のような光沢を放っているのだ。



一面に広がる雲海と、山の峰。よく見てみると、人が歩いているではないか。



命知らずなオヤジである。ちょっと足を踏み外せば、オシマイだと言うのに・・・。
そこまで峰の先端を歩かなくても良いのに・・・と思うのだが、彼にとっては危険度よりも視界の美しさの法が重要なのだろう。山で事故が起きて、死者が出るのも、この写真を見れば分かるというものである。

8月28日の午後。

2009年10月26日 02時43分29秒 | スイス旅行記2009年8月
EF24-105mmF4L

いささか強行軍をしすぎているきらいがある。午前中と午後1時半頃まではフィルストにいたかと思えば、2時以降にはクライネシャイディックに向かっている。これというのも、27日に買ったユングフラウバーンパスのせいだ。元を取ろうと必死になっている。フィルストまでの往復ロープウェイ運賃は53CHF(4800円前後)。クライネシャイディックまでの往復キップも同じく53CHF。

そういえば昨日からおかしかった。ヴェンゲン~メンリッヒェン(24CHF)。メンリッヒェン~クライネシャイディックまでハイキングの後に、クライネシャイディック~アイガーグレッチャー(13CHF)。そこからミューレンに行き、ヴェンゲンのホテルに戻る(24+32=56CHF)。昨日の合計しめて93CHF。

二日間の合計が103+93=196CHFである。すでに元は取った。だが、優雅ではない。断じて優雅ではない。朝8時に出発し、夜6時にホテルに到着するという行程である。なんだか撮影移動になっているような気がする。急ぎすぎである。この病気はやはり治らないものだ。

写真は、フィルストの後にやって来たアイガーグレッチャー。ここには既に3回以上来ている。この日は天気が良かったので、是非夕方の写真を収めたいと思っていたのである。最終電車はたしか午後5時半か6時くらい。下界には6時半~7時に到着するコースである。現在時刻は2時半頃。



ここがアイガーグレッチャー駅の構内。



この場所から、ユングフラウ三山が順光で見える時間帯は夕方以降である。つまり午後3時半以降からが勝負である。午前中にどんなに晴れていようが、午後になればご覧の通りである。しかも午後4時頃まで粘ると、さすがに肌寒くなってくる。ここは既に2500メートルの高所なのである。だが、いつ雲が晴れるかも分からない。4時以降は震えながら、空が晴れるのを待った。



わずかに顔を覗かせた、午後4時以降のユングフラウ。すでに2000メートル以下の下界は全体的に曇り、晴れ間が見えるのは、3500メートル以上のほんの僅かな地域だけである。撮影しているアイガーグレッチャーでさえも曇っており、影が出来ない。この日の収穫が残念ながらこれまでである。私は5時の電車に乗って下山。この日も終わる。

フィルスト 午後の部

2009年10月25日 04時59分09秒 | スイス旅行記2009年8月
EF24-105mmF4L

鳥の群れがあまりに多いので撮影した。まるで戦闘機の編隊のようにすら見える。




人間が鳥に憧れて発明されたスポーツが行われている。こんな景色の中を飛べるとは羨ましい。



彼らは遊びというものを良く知っている。

フィルスト(8月28日:十日目)

2009年10月24日 03時44分26秒 | スイス旅行記2009年8月
EF24-105mmF4L

この日の朝、ヴェンゲンのホテルをチェックアウトする。今日の予定はロープウェイに乗ってフィルストに向かう。フィルスト行きのロープウェイは、グリンデルワルト駅から15分くらい歩いたところにある。そこで宿も再びグリンデルワルトで取ることにした。

この日の早朝はご覧の通り、曇り気味である。写真はロープウェイの窓から乗り出して撮影したもの。



フィルストは、グリンデルワルトから北側に位置した山(丘)で、アルプスの山々を望むには、南側を向かなくてはならない。ただ、フィルストからの景色はいつも霞んで見える。それは、フィルストからアルプスの山々までの距離が遠いということもあるが、それ以上に重要なのが、太陽の昇るコースに対する位置の関係である。対象までの距離が重要であるのならば、昨日のミューレンからアルプスを望む事についても同じである。しかし、あの日は夕方で順光だった。故に距離は遠くとも、フィルストと比べればクリアーに見えた。

さて、太陽の昇るコースである。小学校の頃、理科で回帰線云々という授業があって、その時に日の出、日没の位置関係について習ったハズなのだが、いまやすっかり忘れてしまっている。とにかく地軸が23度前後ズレているというのが、事態を複雑にしている事は分かっているのだが、それにプラスして「緯度」という問題もあって、いっそうややこしい。

現在に至っても、このメカニズムについての私の理解は不十分だが、どうやらフィルストで、逆光にならない写真を撮るには、日の出直後か、日の入りギリギリの二つの時間帯しかおそらくないのだろう。

スイスの緯度は、北緯45~47度。この緯度になると、もはや見かけ上は太陽は東から昇るというよりも、北側から昇る。正午には天頂かほんの少し南側に傾くだけで、午後からはまた北側に帰っていく。日没もやはり北側である。緯度が高いと、太陽の位置は東西よりも、南北(厳密には北南)のほうの運動のほうが重要になってくる。



写真は、午前9時ごろのフィルスト山頂からの景色である。写真中央に写っている山はアイガー、その北壁である。つまり、写真の構図は北東から南西を望んだものとなっている。牛の影や山の影、雲の影を見ていただければお分かりだと思うが、影は北北西を向いている。夏なので、太陽の角度は高く影の長さも短い。だが、すでに影が北側を向いているということは、日の出で北側から昇った(北北東)太陽の位置が、南側にきてしまったという事を意味する。これから正午にかけて、さらに南に傾くことになる。

となると、この位置からの見どころである南西にあるアルプスは、僅かに逆光である。冒頭の写真などは、北東を向いたものであるから、これは完全に逆光となっている。要するに、このフィルストという場所で、順光が得られる時間帯は、日の出前から日の出直後くらいしかない。日没は、西側の北方面に沈むので、これも写真の右側が逆光状態になってしまう。だが、フィルスト山頂には宿泊施設がない。ということは、フィルストを順光状態で撮影することは、事実上ほぼ不可能なのではないか?
季節が変わればどうだろう?だが、夏で緯度が高いからこそ、日の出日の入りの時間帯に、北から昇る時間帯が発生する事を考えると、冬は絶望的なのかもしれない。冬は太陽が南に傾く時間帯が多いことになり、結局南面して撮影するには逆光だらけになる。……うーん、フィルストは逆光になる運命なのか、と諦めざるを得ない。

写真は作為的な構図。ちょっとワザとらしい感じがする写真である(笑)



こちらはちょっと引いて撮った構図。牛が必死に草を食べています。
この後、この牛どもがとんでもない行動を起こすことになる。



改めて見ても牛は大きい。背中までの高さが人の肩ほどもある。乳牛だと思って甘く見てはいけない。近づけば逃げるかと思いきや、近づいてくる程だ。しつこくすると威嚇してくるほどである。角は伊達でついているわけではない。この牛がなかなか獰猛で、柵の木で角を磨いている。ここで事件は起こったのである。

写真の左上の木のベンチを見てほしい。遠くで小さいカットでしか写っていないが、レンズと水のペットボトルが置いてある。レンズは買ったばかりのEF135mm。ペットボトルは2リットルのものである。その近くで草を食っている白い牛が見えるだろうか。奴がやらかすのである。まず、水のペットボトルに食指を刺激されたのか、クンクンとにおいを嗅ぎ、ペットボトルを倒した。ベンチから転がったペットボトルは、草原の斜面を転がってゆく……、と同時に、その牛はこんどは黒いレンズまで興味を抱いているではないか。奴の鼻はすでにレンズに触れて傾いている。イスから落ちるのも時間の問題である。「まずい!」と駆け出した瞬間に、レンズはベンチから落ちた。幸い地面は土である。ダメージはほとんど無かったのが救いである。
さて、安心したところでペットボトルの水を探してみると、この写真の下側に写っている獰猛な茶色の牛が、ペットボトルに興味を奪われ、それを丸ごと食べているではないか。「グジョ、ベコッ、ボコ」っという音が鳴る。ペットボトルは噛み砕かれても破れてもいないが、牛は噛む事を諦める様子はない。こちらとしても、獰猛な牛なので、ペットボトルを口から引き抜くことも躊躇している。やがて、牛も30秒くらいそれをもてあました後、諦めてペットボトルは解放されるのだが、それはもはや牛の唾液にまみれたおぞましい物体に変わり果てており、ゴミ箱に捨てるしかないモノになってしまった。
今考えると恐ろしい。これがペットボトルではなく、転がったものがレンズだったらどうだったか?そして牛がそれを咥えた時、静観することはたぶんできなかっただろう。牛とバトルするのも怖いが、レンズが唾液まみれになるのはもっと嫌である。
正直、不幸中の幸い。助かった、と心底思った。



時刻は午後になり、こちらは順光状態の方向

8月27日(九日目) ミューレン

2009年10月21日 01時31分37秒 | スイス旅行記2009年8月
EF24-105mmF4L

午前中は、ヴェンゲン~クライネシャイディックまで電車で行き、ヴェンゲンアルプまでハイキング。午後は時間が余ったので、ヴェンゲンから一旦ラウターブルンネンまで戻り、そこからミューレンに向かう。ミューレンの場所はベルナーオーバーラントの西側の方向にある。アイガー、メンヒ、ユングフラウの三山は、ミューレンからは東の方向に望める。
ということは、午後になると太陽は西に傾くので、三山の方向が順光ということになる。午前中は東から西へ、午後は東から西に向くと、綺麗な写真になるというワケである。だが、午後は雲が大量に発生し、山頂は隠れてしまう。実はミューレンからもっと高いところへ行くロープウェイがある。シルトホルンという場所である。ミューレン~シルトホルンのロープウェイは、ユングフラウバーンパスの適用外であり、従ってキップを買わなければならないが、このキップが高いのである。なんと往復で約90CHF。8100円以上もするのだ。シルトホルンの展望台は、映画007でも撮影された場所で有名だが、よほど天気に恵まれないと、ここからユングフラウが望めない。午前中はモロ逆光なので、午後に登るしかないが、午後は前述したように雲が出る。シルトホーンから午後にユングフラウが見られる確率は非常に低いというワケである。事実、私も結局この旅では天候に恵まれず、シルトホーンに行けなかった。
写真はラウターブルーネン~ミューレンの電車内から撮影したもの。



同じ山も、見る角度、見る時間帯によって様々な表情を見せるので面白い。

8月27日(九日目)

2009年10月18日 04時41分12秒 | スイス旅行記2009年8月
EF24-105mmF4L

ついに九日目を迎えた。昨日の休養で体力はバッチリ充電したので、今日も早朝から活動する。朝は雲一つない快晴だったので、散歩に出掛ける。只今の時間は午前6時30分。
ツェルマットのマッタホルンのように、朝焼けが大きく山に写りこむわけではない。山の山頂ギリギリの僅かな面積が赤くなって終わりである。




こちらは朝焼けが既に終わって、数十分経った後の写真。
早朝から、ユングフラウが見えるのは、ヴェンゲンかラウターブルンネンかのいずれかである。グリンデルワルトからは見えない。



ヴェンゲンの町並み。グリンデルワルトと比べれば、小さな集落だが、駅前のキオスクには日本の新聞が置いてある。これはグリンデルワルトでも、またツェルマットでも見当たらなかった。なかなかここのキオスクは品揃えというものが分かっているようである(笑)。値段は7CHF(約630円)と少々高いが、そろそろ日本の情報が欲しいところなので買った。

この日、先日紹介したユングフラウバーンパスを購入した。これで、各線が乗り放題である。早速、私はヴェンゲンからロープウェイに乗って、メンリッヘンに向かうことにした。



メンリッヒェン(maennlichen)は、地図の丁度中心の位置にある。ここから一時間ほどハイキングすると、クライネシャイディックまで行く。メンリッヘンは海抜約2200メートルのところにある。



ロープウェイ乗り場から降りた場所で撮影。朝日が左(東)から登ってきており、やや逆光ぎみになっている。実は、写真の真ん中のやや下に写っている建物はホテルで、なんとここには泊まることが出来る。ロープウェイが運行するのは、午前8時~午後6時ごろまでなので、ここに泊まらなければ、この景色の夜景や朝焼けなどは撮れない。
私はこの日、数日前にツェルマットのホテルの朝食で知り合った日本人夫婦と、この写真の場所で偶然の再会を果たす。その夫妻は山頂のこのホテルに宿泊していたらしく、今日の朝焼けもここから見ていたということだった。なんでも山頂からの朝焼けはとても美しかったらしく、おそらくヴェンゲンからの景色よりも数倍素晴らしかったに違いない。この地方にもし行かれる時には、是非ここに泊まってみるのも良いだろう。(私は泊まらなかったが・・・)



メンリッヒェンから、クライネシャイディックへの道と反対の方角に歩く。ちょっとした山登りになるが、そこからの眺めはご覧のように美しい。ベルナーオーバーラント三山の全てが視界に入る。左から順に、アイガー、メンヒ、ユングフラウである。
写真は逆光で霞がかかったようになっているが、この撮影ポイントは素晴らしい。今度行くことがあれば、是非この山頂のホテルに宿泊して、夕方以降と早朝の写真をおさめたいものである。



メンリッヒェンの山頂から、ラウターブルンネン方向を望んだ写真。写真右下の町がヴェンゲンである。ロープウェイはこの勾配を登ってきたのである。このメンリッヒェンの山頂から、右を見ればヴェンゲン、左を見ればグリンデルワルトが見える。丁度この地点は分水嶺のようになっている。そういえば、クライネシャイディックの「シャイディック」という言葉は、分水嶺という意味だったっけ。



メンリッヒェンからクライネシャイディックまで歩く。このハイキングルートは1時間~1時間半のコースで、比較的なだらかな道なので初心者コースとなっている。この日は日本人ツアー客も沢山おり、人気の高いハンキングコースとなっている。

(午前の部、おわり。午後の部へと続く)

8月26日(八日目) バタンQ

2009年10月17日 02時21分28秒 | スイス旅行記2009年8月
EF24-105mmF4L

これまでの無理が祟ったのか、早朝に起きて写真を撮りに行った後、ホテルで朝食を摂るが、その後疲れてしまい動きたくなくなった。この日の天気も曇りなので、いっそう行動意欲が沸かない。
とにかく歩き疲れた。さすがに今日も同じようには歩けない。3日前からである。キチガイのように歩きだしたのは。3日前は、鍵を落とした日。2日前はマッターホルン3200メートル地点までの登山。昨日はクライネシャイディックからヴェンゲンアルプ。今日は8日目だが、一日として10キロ未満しか歩かなかった日は無いのである。

そこで真に勿体ない限りだが、この日は休養日とした。
というわけで、この日の写真は午前6時~7時ごろと、午後4時ごろのものしかない。

この写真はヴェンゲンからみた、ラウターブルンネンの谷。ラウターブルンネンの町は、やはり上から見下ろす構図にかぎる。緑の野原が絨毯のように見えて、気持ちいい。



30分も経たないうちに、雲は谷を覆いだす。雲がまるで、ドライアイスのモヤのように、谷に重くどっしりと流れ込んでいる。雲もやはり見下ろすにかぎる。



ホテルの玄関付近に飾られた花。スイスの庭先とバルコニーには、必ず花で飾られている。これはホテルだろうと、一般の家だろうと同じである。流石は観光立国。力の入れ方が違う。洗濯物の物干し竿すら見えぬ。生活感のあるものは、一切目に入らないという徹底ぶり。恐れ入りました。

8月25日(七日目) ヴェンゲン到着その2

2009年10月15日 02時00分32秒 | スイス旅行記2009年8月
EF24-105mmF4L

ハイキング帰りの電車の中で撮影。目の前に見える宣伝の掲示物の内容を見て驚愕した。
これによると、6日間有効のフリーパスが存在するらしい。それはこの地方一帯で使えるようで、しかも値段は200CHF(約18200円)であるという事だ。その後、内容について駅の窓口で詳しく聞いたところによると、このパスは登山電車だけではなく、ロープウェイにも適用できるらしい。このパスが効かない区間はわずか二つ。アイガーグレッチャー~ユングフラウヨッホ間の登山電車と、ギンメルワルト~シルトホルン間のロープウェイだけである。しかもアイガーグレッチャー~ユングフラウヨッホ間の値段は、このパスを持っていると50%割引となる。つまり通常では、この区間の往復料金は109CHFするのだが、パスをもっていると53.5CHFになる。



これがパスの写真。日付が二日後の27日になっているのは気にしないで欲しい。私は決断が遅れて、購入したのが27日だったというだけである。
旅行記の最初の方で言及したように、得なパスがあるというのは実はこの事だったのである。このパスがどれだけ得なのか、いまいち実感が沸かない人もいると思うので、以下にちょっとしたシミュレーションの計算を書いてみた。200CHFもするこのパスが、どれだけで元をとれるのか、という計算である。


この地方に旅行に来た人で、ユングフラウヨッホまで登らない人はいないハズである。

○グリンデルワルト~ユングフラウヨッホ 往復運賃162CHF
●パスを買って、同じルートを行けば、初期投資200+52CHF(アイガーグレッチャー~ユングフラウヨッホ往復運賃)合計252CHF。
差額-90CHF。

この時点では、まだパスの方が損である。一日目はこれで終わり。
二日目。

○グリンデルワルト~クライネシャイディック 往復運賃53CHF
●パスの場合。タダ。
-90+52CHF=-38CHF。

となる。つまり三日で十分payできるのだ。極端な話を言えば、二日連続でユングフラウヨッホまで行ったとすると、その時点で回収は終わって、おつりまで来ることになる。

○グリンデルワルト~ユングフラヨッホ(2回) 162×2=324CHF
●パスを買って、同じルート(2回) 200+53.5×2=307CHF
差額17CHF。

・・・・気づくのが遅すぎた。最短でわずか2日でおつりが来るのである。
ちなみに、このパスを発行するのに顔写真などはいらない。駅の窓口で200CHF払えば、ものの30秒たらずで発行してもらえる。
かつては、こんなパスは存在しなかった。スイスのパスといえば、スイスパスくらいしかなかったのだ。恐らく近年に出来たものなのだろう。

もしもスイスに行かれる人がいて、この地方に3日以上滞在するのならば、このパスを買うことを強くお勧めする。絶対後悔しないだろう。



この日の夕方を回った頃から、雷雨に変わった。写真はホテルのバルコニーから撮影したもの。雲が厚い。

クライネシャイディック~ヴェンゲンアルプまで歩く(七日目)

2009年10月14日 04時19分27秒 | スイス旅行記2009年8月
EF24-105mmF4L

この日は生憎の曇天模様。雨雲を避けて移動してきたが、さすがに滞在中全ての日が快晴というわけにはいかない。だが、やや雲がかかった日でも、楽しみ方は沢山ある。快晴の日よりも、すこし雲がある日のほうが面白い。特に山の景色などは、雲の動きの変化をジッと見ていると飽きないものである。この日もハイキングの途中で、30分くらいの休憩を撮りながら、山に架かる雲の動きの変化の景色を楽しんでいた。



クライネシャイディックからのハイキングは本当に飽きないものである。
ここは氷河の崩落が見られる場所でもある。2時間くらい滞在すれば、一度は崩落が見られるだろう。よく崩落する場所は決まっていて、写真中央の迫出した氷河部分がその場所である。



写真は、比較的大きな崩落の瞬間。崩落直前には「ゴゴゴ」という大きな音が鳴るので良く分かる。雷鳴の「ゴロゴロ」という音とよく似ている。






8月25日(七日目) ヴェンゲン到着

2009年10月12日 06時09分39秒 | スイス旅行記2009年8月
早朝6時に起床。ホテルの朝食を滞在客の誰よりも早く摂り、目的地であるヴェンゲンに向かう。つい一週間前までは、地図の左側のグリンデルワルトの町に滞在していた。だが今日は、地図の右側にあるWengen(ヴェンゲン)という町に向かう。
実はヴェンゲンには車では行くことが出来ない。その町よりも下にあるLauterbrunnnen(ラウターブルンネン)という町から登山電車に乗らないと行けないのだ。仕方なく車をラウターブルンネンの有料立体駐車場に停める。つくづく、レンタカーの使い勝手の悪い国である。ラウターブルンネンでホテルを予約して、駐車料金を浮かそうとも考えたが、その案は瞬時に捨てた。理由は移動に時間がかかる事である。この地方の見どころは、やはり頂点のユングフラウヨッホであり、従って、ユングフラウヨッホに近いホテルであればあるほど、早朝に登ることができるのである。その恩恵を、たかが一日1000円程度で放棄するのは、あまりにも惜しい。生涯であと何度ここに来るかも分からない。重要なのは、ケチルところはケチるが、ケチってはいけないところは少々金がかかっても、払うべきだという合理的判断である。



EF24-105mmF4L

写真はラウターブルンネン駅から。登山電車の時刻表である。約20分に一本の間隔で電車はやってくる。グリンデルワルドに戻らず、あえてヴェンゲンに行くことにしたのには理由がある。それは、グリンデルワルドの町からは、ユングフラウ山がまったく見えないからである。だが、ヴェンゲンの町からは、ユングフラウがよく見える。早朝に、その日は頂上のユングフラウヨッホまで登るかどうかの見極めは、ひとえに天候による。それも快晴か、雲がすこしかかっているかの差は大きい。なにしろ往復で約14000円もかかるのである。朝のユングフラウ山の状態を確認できるか出来ないかの差は大きい。
ちなみにグルンデルワルト~クライネシャイディックまでの登山電車の所要時間と、ヴェンゲン~クライネシャイディックまでの登山電車の所要時間はほとんど変わらない。5分くらいだけヴェンゲン~クライネシャイディックの方が速いくらいである。



ヴェンゲンの町は、グリンデルワルトの町と比べると、寂れた感じがする。前回紹介したSaas-Feeの町と似ており、活気がない。町に観光者の姿が少ないのである。だが、違う言い方をすれば、観光地のように現地の人がスレてはいない。スーパーでの店員の態度も、こちらの方が親切に見えた。まぁ人が少ないので、仕事も少ない・・・ともいえるからかもしれないが。私はスイスではドイツ語で会話をしていたのだが、グリンデルワルトの町では、外国人がドイツ語を話すのは珍しくもないのだろう。誰からも何も言われなかった。だが、ツェルマットやここヴェンゲンでは、やたら相手がそのことに反応してくる。これが「スレていない」と私が判断している大きな理由の一つである。あとは、ホテルの受付の人やレストランの給仕の対応が、グリンデルワルトではクールで事務的であったこと。ツェルマットやヴェンゲンではそうではなかった事、などである。
そう考えると、グリンデルワルトという町は、いまや完全に観光地化されてしまった所なのかもしれない。町のある場所は田舎にも係わらず、観光地化が進んでしまい、観光者が多く来訪するので、仕事も事務的になり、都会のようなクールな人間が多くなってしまったのではないか?という想像をしてしまう。

写真は、本日宿泊するヴェンゲンのホテル。朝食・夕食込みで約135CHF。(約12000円)夕食を40CHFで抑えることは難しいことを考えると、非常にリーズナブルである。しかも三ツ星ホテルである。
ちなみに、スイスのホテルには等級がある。最高のホテルは五ツ星。格安ホテルは三ツ星未満である。これまで私が止まってきたホテルは、だいたいが二ツ星。そのレベルのホテルの値段は、朝食付きで85~100CHFである。さらにここの夕食は美味い。部屋もそこそこ広く、なによりもバス付きである。オマケにテレビも日本の放送のチャンネルが一つ見られる。
ヴェンゲンに行かれる方は、一度泊まることをお勧めする。名前と住所は以下の通り。

Hotel Alpenrose
CH-3823 Wengen Tel.033 855 32 16



ヴェンゲンからの眺め。
写真右側の谷になっている所はラウターブルンネンの町である。ヴェンゲンには初めてきてみたが、グリンデルワルトとは一味違った魅力がある。なによりも正面にユングフラウの山が見えるのが素晴らしい。

午後3時半以降

2009年10月09日 21時32分47秒 | スイス旅行記2009年8月
Saas-Feeという町がある。ここも4000メートル級の山々に囲まれた町だ。ツェルマットを後にした私は、早速ここに向かう。一時間も経たずに到着する。・・・しかしである。Saas-Feeの町は、車で乗り入れることが出来ない。町のすぐ手前でパーキングによって行く手を阻まれている。つまり駐車しなければならないワケだ。この町はツェルマットのように「空気を綺麗に」などという言い訳は通用しない。その証拠に、駐車場から町までは歩いて1分もかからないからだ。
そういえば、ツェルマットからテッシュに向かう電車の中からの風景で、自動車の道路がみえたっけ。そこには明らかにガソリン車が走っていた。住民がガソリン車で入るのはどうやらOKらしい。ツェルマットの街中、あるいはハイキングコースにおいても、工事をする車はガソリン車であった。
住民のガソリン車。工事の車。一般観光客は駐車場に入れて料金を支払わなければならない・・・・・・。つまり、これは観光立国のスイスの政策なのだろう。観光客から金を取る。これが主目的であって、「環境に配慮して」などというのは言い訳に過ぎないのではないか? うーん、いささかあざとい気がする。

Saas-Feeの駐車場から見た山の景色は、なかなかのものだったが、この観光客からボッタクる根性丸出しの有料駐車場に車を停めて、ここに滞在する気にはなれなかった。数分間だけ町に入ってみたが、ツェルマットと比べると、とても寂れた感じがしている。私は、ここでは写真を撮ることもせずに、後にすることにした。



さて、時間は既に午後5時に近い。そろそろ宿を見つけないとマズイのだが、目的地とされていたSaa-Feeを諦めたので、また新たな目的地を決めなければならない。
「そうだ、まだベルナーオーバーラントをくまなく散策したワケではなかった」「残りの日はあそこにあてるか」

というわけで、再びベルナーオーバラントに向かうことになった。今度の行き先はグリンデルワルトではなく、ヴェンゲンである。

午後7時まで車を走らせる。さすがにもうホテルを探さないと、徹夜になってしまう可能性がある。地図上の白い線まで走り、ホテルに滑り込んだ。高速道路のサービスエリアにあるホテルである。



部屋からの眺め。部屋に到着したのが午後7時半。今日の活動はこれまでの中で一番長く、朝7時~夜7時までの12時間は動きっぱなしであった。

ホルンリヒュッテ

2009年10月07日 02時05分56秒 | スイス旅行記2009年8月
EF24-105mmF4L

マッターホルンを、この角度から収めた日本人観光客は、おそらく少ないと思われる。写真の場所は既に標高3000メートルを超えている。勾配のキツさが実感できるだろうか?
だが、このようなキツい場所にもかかわらず、外国人登山客の多いこと。彼らの足腰は只者ではない。女性もパワフルである。日本の女性観光客は、おそらくここを登れまい。いや、登ろうとも思わないかもしれない。すべての旅程の中で、一番大変なハイキングコースがここであった。ここに比べれば、昨日歩いたコースなんて屁みたいなものである。



ついにハイキングの終着点、ホルンリヒュッテに到着した。これより上に登るには、ザイル、ロープなどが必要であり、もはやプロの領域である。所要時間は2時間と10分である。すでに11時半を回っている。ロープウェイの最終乗車時間は16時。つまり、あと5時間である。このコースが如何に過酷であるかが分かるというものだろう。

ホルンリヒュッテでは、食事が摂れる。料理の値段は下界の約1.5倍相当の金額だが、ここをケチるわけにはいかない。体力を回復させるためには絶対食わなければならないのだ。ヒドイのは料理の値段ではなくて、飲み物の値段である。これは下界の約3倍相当である。2リットルのペットボトルの水が600円もする。だが、これもケチるわけにはいかない。水分補給はなによりも重要である。特に高山を登っていると、自分がどれだけ水分を失ったのか気づきにくい。

さて、写真を見ていただければお分かりのことだと思うが、やはりマッターホルンは、ある程度離れたところから見る方が、形としては美しい。経験としては、このような特殊なアングルから見るという事は、何事にも変えがたいが、写真としてはやはり絵葉書のような定番の構図の方が綺麗である。



マッターホルンを背にして撮った下界の写真。写真真ん中の一際高い山がブライトホルン。その右側の小さな黒い山がクラインマッターホルンである。さすがに8月の後半なので、氷河も少ない。おそらく初夏あたりには、このあたり一帯が氷河に覆われるのだろう。

腹ごしらえも済んで、写真を飽きるほど撮ったら、いよいよ下山である。
あたり前と言えば、あたり前なのだが、登るより降りるほうが体力を使わず楽である。時間もかからない。行きは2時間10分かかったが、帰りは1時間20分くらいしか、かからなかった。体力についても、行きは7くらいの力を使ったが、帰りは3もしくは4程度の力であった。登るよりも降りるほうが楽。これは理屈では当然な事なのだが、実体験として、ここまで楽だとは思わなかった。

さて、ロープウェイに乗って、ツェルマットに到着したのが午後3時頃。
この日、ツェルマットを発つことを決めていたので、駅のコインロッカーで荷物を降ろし、そのまま電車に乗って、テッシュの駐車場に向かった。駐車時間は約4日間で4000円程度。レンタカーに乗り、次の目的地に向かうのだが・・・・・・・、はて。ここで私は次の目的地を決めていないことに気づく。さぁ、どうしよう・・・。

現在午後3時半。行き先未定。この日はまだ終わっていない。つづく。

シュヴァルツゼー(黒い湖)

2009年10月05日 03時36分43秒 | スイス旅行記2009年8月
EF24-105mmF4L

この日、ツェルマットを発つ事を決めた。午後の早い時間まで、少し山でハイキングをしてから、それから移動しようと決めていたので、ホテルの確保はしなかった。重いリュックは駅のコインロッカーに入れたままにして、この24-105mmのレンズをつけたカメラだけを持って、シュヴァルツゼーまでロープウェイまで向かったのである。



ロープウェイはこんな感じ。スキー場で見られる個室型リフトである。運賃は正確に覚えてはいないが、往復でたしか40CHF(3600円)くらいだったと思う。ロープウェイ降り場からシュヴァルツゼーが見える。冒頭の写真がそれだ。写真を見ていただければ分かると思うが、ここからだと小山が邪魔をして、マッターホルンの全景が見えない。景色が悪いのである。



さて、ここで結果だけを先に書いておきます。
あなたは、片道二時間歩いた所にある小屋まで行ってやろうと思うだろうか?
ちなみに、そのコースは2583メートルのシュヴァルツゼーから始まり、3260メートルの終着点にある小屋を目指すものである。もはや気分は富士登山である。地図の右側にSchwarzsee Paradiseと書かれた所から水色の線に沿って歩くのである。

最初、私は終着地点まで行くつもりはなかった。なにしろ勾配はキツイし、道のりも長い。それに疲れても戻ってこなければいけないのである。途中にロープウェイの乗り場があれば、限界を目指しても良いのだが、そんなものは地図を見るとお分かりのように無いのである。



終着点ホルンリヒュッテまでの長い道のりが始まった。
途中の道は、ご覧のような所も通る。よく見ると足場に大きな隙間が開いているではないか。縮尺が分かりやすいように、私の靴をそこに置いて撮影した。この靴は革靴である。白くなっているのは、砂の粉が満遍なく付着しているからである。
賢明な諸君なら、お分かりのことと思うが、スイスの山をトレッキングするときは、革靴で行ってはいけない。まず疲れる。次に滑る。そして笑われる。



途中で引き返すという考えを打ち砕いた風景がこの写真である。
登れば、登るほど見事なマッターホルンが拝める。これは、もっと登れば、もっと美しい景色になるのではないか?・・・という思いが脳裏を支配するのである。
よく冬山に登って遭難して死ぬ連中がニュースで取り上げられるが、あの気持ちの一端が分かったような気がする。引き返せないのである。あの地点からの風景はさぞかし絶景に違いないと思い、先を進み、その地点に到達すると、今度はその先地点からの風景がさらに凄そうに見えるのである。そしてそれは延々と頂上まで続くのだ。



少し先の地点の風景がコレである。ここを登る日本人の団体ツアーはいない。個人旅行者の日本人も、結局一人しかすれ違わなかった。しかも、すれ違った場所はここよりも遥か手前の地点である。そう考えると、外国人は歩くことについてはパワフルである。私はこのあたりで引き返そうかどうかを逡巡していたのだが、彼らは迷うことなく終着地点を目指して歩いてゆく。それも老いも若きも差が無いようだ。明らかに50代と思われる人も登っていくのには驚いた。ご覧のように、写真には人が写っている。これは、意図的に人を入れて撮影したというワケではなく、これだけ登る人数が多いという証左である。



マッターホルンの全景である。ツェルマットの町からは見ることが出来ない山の麓まで見える。登山者はスキーのストックを一本持って、杖代わりにして登っている。これは便利だが、日本へ持ち帰れなさそうなので私は買わなかった。・・・が羨ましい。この辺で、片道の半分くらいは歩いたことになる。この地点は、まだ徒歩で一時間くらいの所なのである。



すでに最終地点は見えてきた。写真は上の「マッターホルン全景」の写真の一部を拡大したものである。右上に建っている赤い小屋がホルンリヒュッテ。目指す最終地点である。
ここから先はまさに登山。すでにトレッキングのレベルを超えている。この道を革靴で登るようなバカは、私以外には一切見当たらない。道はスイッチバック方式のギザギザな道。頂上まで、距離的には近そうだが、道のりは・・・・長い。



視点は段々と、マッターホルンを見上げる構図になってゆく。午後になると、マッターホルンは雲に覆われるので、登るのも時間との戦いになっていく。空気が薄いが時間も無い。このジレンマは本当に厄介である。とにかくペースを守って登らないといけない。高山病にかかったらそれまでだからである。登山者には速いペースのものも、遅いペースのものもいるが、肝心なのは自分のペースを守ること。なにしろ帰り道もあるのだ。



振り返ると、今まで登ってきた道が小さく細く伸びているのが見える。ここは既に3000メートルに近い標高がある。



拡大した写真がコレ。黄色い矢印がついている地点が出発地点であるシュヴァルツゼーのロープウェイの発着駅。ずいぶん歩いてきたものである。もうここまで来たら、引き返すなどという勿体無いことは出来ない。

つづく。