EF24-105mmF4L
この日、ツェルマットを発つ事を決めた。午後の早い時間まで、少し山でハイキングをしてから、それから移動しようと決めていたので、ホテルの確保はしなかった。重いリュックは駅のコインロッカーに入れたままにして、この24-105mmのレンズをつけたカメラだけを持って、シュヴァルツゼーまでロープウェイまで向かったのである。
ロープウェイはこんな感じ。スキー場で見られる個室型リフトである。運賃は正確に覚えてはいないが、往復でたしか40CHF(3600円)くらいだったと思う。ロープウェイ降り場からシュヴァルツゼーが見える。冒頭の写真がそれだ。写真を見ていただければ分かると思うが、ここからだと小山が邪魔をして、マッターホルンの全景が見えない。景色が悪いのである。
さて、ここで結果だけを先に書いておきます。
あなたは、片道二時間歩いた所にある小屋まで行ってやろうと思うだろうか?
ちなみに、そのコースは2583メートルのシュヴァルツゼーから始まり、3260メートルの終着点にある小屋を目指すものである。もはや気分は富士登山である。地図の右側にSchwarzsee Paradiseと書かれた所から水色の線に沿って歩くのである。
最初、私は終着地点まで行くつもりはなかった。なにしろ勾配はキツイし、道のりも長い。それに疲れても戻ってこなければいけないのである。途中にロープウェイの乗り場があれば、限界を目指しても良いのだが、そんなものは地図を見るとお分かりのように無いのである。
終着点ホルンリヒュッテまでの長い道のりが始まった。
途中の道は、ご覧のような所も通る。よく見ると足場に大きな隙間が開いているではないか。縮尺が分かりやすいように、私の靴をそこに置いて撮影した。この靴は革靴である。白くなっているのは、砂の粉が満遍なく付着しているからである。
賢明な諸君なら、お分かりのことと思うが、スイスの山をトレッキングするときは、革靴で行ってはいけない。まず疲れる。次に滑る。そして笑われる。
途中で引き返すという考えを打ち砕いた風景がこの写真である。
登れば、登るほど見事なマッターホルンが拝める。これは、もっと登れば、もっと美しい景色になるのではないか?・・・という思いが脳裏を支配するのである。
よく冬山に登って遭難して死ぬ連中がニュースで取り上げられるが、あの気持ちの一端が分かったような気がする。引き返せないのである。あの地点からの風景はさぞかし絶景に違いないと思い、先を進み、その地点に到達すると、今度はその先地点からの風景がさらに凄そうに見えるのである。そしてそれは延々と頂上まで続くのだ。
少し先の地点の風景がコレである。ここを登る日本人の団体ツアーはいない。個人旅行者の日本人も、結局一人しかすれ違わなかった。しかも、すれ違った場所はここよりも遥か手前の地点である。そう考えると、外国人は歩くことについてはパワフルである。私はこのあたりで引き返そうかどうかを逡巡していたのだが、彼らは迷うことなく終着地点を目指して歩いてゆく。それも老いも若きも差が無いようだ。明らかに50代と思われる人も登っていくのには驚いた。ご覧のように、写真には人が写っている。これは、意図的に人を入れて撮影したというワケではなく、これだけ登る人数が多いという証左である。
マッターホルンの全景である。ツェルマットの町からは見ることが出来ない山の麓まで見える。登山者はスキーのストックを一本持って、杖代わりにして登っている。これは便利だが、日本へ持ち帰れなさそうなので私は買わなかった。・・・が羨ましい。この辺で、片道の半分くらいは歩いたことになる。この地点は、まだ徒歩で一時間くらいの所なのである。
すでに最終地点は見えてきた。写真は上の「マッターホルン全景」の写真の一部を拡大したものである。右上に建っている赤い小屋がホルンリヒュッテ。目指す最終地点である。
ここから先はまさに登山。すでにトレッキングのレベルを超えている。この道を革靴で登るようなバカは、私以外には一切見当たらない。道はスイッチバック方式のギザギザな道。頂上まで、距離的には近そうだが、道のりは・・・・長い。
視点は段々と、マッターホルンを見上げる構図になってゆく。午後になると、マッターホルンは雲に覆われるので、登るのも時間との戦いになっていく。空気が薄いが時間も無い。このジレンマは本当に厄介である。とにかくペースを守って登らないといけない。高山病にかかったらそれまでだからである。登山者には速いペースのものも、遅いペースのものもいるが、肝心なのは自分のペースを守ること。なにしろ帰り道もあるのだ。
振り返ると、今まで登ってきた道が小さく細く伸びているのが見える。ここは既に3000メートルに近い標高がある。
拡大した写真がコレ。黄色い矢印がついている地点が出発地点であるシュヴァルツゼーのロープウェイの発着駅。ずいぶん歩いてきたものである。もうここまで来たら、引き返すなどという勿体無いことは出来ない。
つづく。
この日、ツェルマットを発つ事を決めた。午後の早い時間まで、少し山でハイキングをしてから、それから移動しようと決めていたので、ホテルの確保はしなかった。重いリュックは駅のコインロッカーに入れたままにして、この24-105mmのレンズをつけたカメラだけを持って、シュヴァルツゼーまでロープウェイまで向かったのである。
ロープウェイはこんな感じ。スキー場で見られる個室型リフトである。運賃は正確に覚えてはいないが、往復でたしか40CHF(3600円)くらいだったと思う。ロープウェイ降り場からシュヴァルツゼーが見える。冒頭の写真がそれだ。写真を見ていただければ分かると思うが、ここからだと小山が邪魔をして、マッターホルンの全景が見えない。景色が悪いのである。
さて、ここで結果だけを先に書いておきます。
あなたは、片道二時間歩いた所にある小屋まで行ってやろうと思うだろうか?
ちなみに、そのコースは2583メートルのシュヴァルツゼーから始まり、3260メートルの終着点にある小屋を目指すものである。もはや気分は富士登山である。地図の右側にSchwarzsee Paradiseと書かれた所から水色の線に沿って歩くのである。
最初、私は終着地点まで行くつもりはなかった。なにしろ勾配はキツイし、道のりも長い。それに疲れても戻ってこなければいけないのである。途中にロープウェイの乗り場があれば、限界を目指しても良いのだが、そんなものは地図を見るとお分かりのように無いのである。
終着点ホルンリヒュッテまでの長い道のりが始まった。
途中の道は、ご覧のような所も通る。よく見ると足場に大きな隙間が開いているではないか。縮尺が分かりやすいように、私の靴をそこに置いて撮影した。この靴は革靴である。白くなっているのは、砂の粉が満遍なく付着しているからである。
賢明な諸君なら、お分かりのことと思うが、スイスの山をトレッキングするときは、革靴で行ってはいけない。まず疲れる。次に滑る。そして笑われる。
途中で引き返すという考えを打ち砕いた風景がこの写真である。
登れば、登るほど見事なマッターホルンが拝める。これは、もっと登れば、もっと美しい景色になるのではないか?・・・という思いが脳裏を支配するのである。
よく冬山に登って遭難して死ぬ連中がニュースで取り上げられるが、あの気持ちの一端が分かったような気がする。引き返せないのである。あの地点からの風景はさぞかし絶景に違いないと思い、先を進み、その地点に到達すると、今度はその先地点からの風景がさらに凄そうに見えるのである。そしてそれは延々と頂上まで続くのだ。
少し先の地点の風景がコレである。ここを登る日本人の団体ツアーはいない。個人旅行者の日本人も、結局一人しかすれ違わなかった。しかも、すれ違った場所はここよりも遥か手前の地点である。そう考えると、外国人は歩くことについてはパワフルである。私はこのあたりで引き返そうかどうかを逡巡していたのだが、彼らは迷うことなく終着地点を目指して歩いてゆく。それも老いも若きも差が無いようだ。明らかに50代と思われる人も登っていくのには驚いた。ご覧のように、写真には人が写っている。これは、意図的に人を入れて撮影したというワケではなく、これだけ登る人数が多いという証左である。
マッターホルンの全景である。ツェルマットの町からは見ることが出来ない山の麓まで見える。登山者はスキーのストックを一本持って、杖代わりにして登っている。これは便利だが、日本へ持ち帰れなさそうなので私は買わなかった。・・・が羨ましい。この辺で、片道の半分くらいは歩いたことになる。この地点は、まだ徒歩で一時間くらいの所なのである。
すでに最終地点は見えてきた。写真は上の「マッターホルン全景」の写真の一部を拡大したものである。右上に建っている赤い小屋がホルンリヒュッテ。目指す最終地点である。
ここから先はまさに登山。すでにトレッキングのレベルを超えている。この道を革靴で登るようなバカは、私以外には一切見当たらない。道はスイッチバック方式のギザギザな道。頂上まで、距離的には近そうだが、道のりは・・・・長い。
視点は段々と、マッターホルンを見上げる構図になってゆく。午後になると、マッターホルンは雲に覆われるので、登るのも時間との戦いになっていく。空気が薄いが時間も無い。このジレンマは本当に厄介である。とにかくペースを守って登らないといけない。高山病にかかったらそれまでだからである。登山者には速いペースのものも、遅いペースのものもいるが、肝心なのは自分のペースを守ること。なにしろ帰り道もあるのだ。
振り返ると、今まで登ってきた道が小さく細く伸びているのが見える。ここは既に3000メートルに近い標高がある。
拡大した写真がコレ。黄色い矢印がついている地点が出発地点であるシュヴァルツゼーのロープウェイの発着駅。ずいぶん歩いてきたものである。もうここまで来たら、引き返すなどという勿体無いことは出来ない。
つづく。
私にも引き返せない気持ちは良くわかります。むしろ引き返す方が勇気が入りますね。後少し後少しと・・。それに森林限界を超えた登山は振り返れば絶景が広がってますからなおさらです。
しかし、岩肌丸出しのマッターホルンて初めて見たような気がします。靴底を通して岩が足裏を痛めつけませんでしたか?
「絶景かな、絶景かな」の瞬間は全て忘れますが(笑)
自然の雄大さに圧倒されます。
黄色の矢印から、すごい道のりですね~。
これだけ歩いて目的地へ行くなんていうのも
久しぶりですね。ひょっとしたら遠足以来の出来事かもしれませんね。