里山の山野草

里山と山野草の復活日記。

ミステリードラマに登場した植物や動物達

2007年10月09日 | 山野草
先日、山村美紗さんのミステリードラマで、自然染色家が絡む殺人事件にスズラン
の毒が使われていた。
スズランの毒はコンバラトキシンと言い、切花を生けておくだけで容易に水に溶け
出し、その水を誤って多量に飲むと心不全を起こして死ぬのだそうだ。

ドラマは、スズランの毒が溶け出した水を飲ませて殺すと言う設定で、可愛いスズ
ランが悪いイメージを持たれるのは少し気の毒な感じがしなくもなかったが、毒性
が強い事を視聴者に知らしめると言う点では大いに役立ったのではないか?
くれぐれも注意したいものだ!

他にも興味深い話が登場した。
一つは丁字。
それを用いて染めた布で香袋を作ると、それ自体が弱いながらも甘い匂いがすると
言う。
クローブ(和名:丁字)はインドネシア原産の高さが10mを越す常緑樹で、開花
直前の蕾とガクを摘み取り乾燥させた物を香辛料として使っているので、染色した
後に匂ったとしても不思議では無い。 いかにも日本人らしい奥床しい話だ。

もう一つは、コチニールカイガラムシ(和名はエンジムシ)。
これを乾燥して、水又はアルコールで抽出すると赤色のコチニール色素が得られ、
衣服の染色や食品(清涼飲料水、アルコール飲料、菓子、蒲鉾など)の着色にも使
われると言う。 染色は兎も角、食品に使われまさか食べさせられているのではな
いかと考えるといささか気持ちが悪い。

それにつけても、
このドラマの話だけではなく、最近でも牛のウンチからバニラの香り成分バニリン
を抽出する技術を確立してイグノーベル賞を授与された日本人も居る。
人間と言うのは、どんな物でも活用してしまう逞しい生き物だとつくづく感じる!

因みにこのドラマ、
持病の心臓病で死亡したとして葬られてしまった死者の口の中から、葬儀屋である
素人探偵がスズランの花を1個見つけて殺人ではないか?と疑う事からストーリー
が展開するのだが、まさか殺人者がそんなミスを犯すとは考えられず、かと言って
そのまま持病で死亡したでは話が進まず、作家の苦肉の策の口中の花となるのだが、
この点はいささか工夫が足らなかった感じだ。

しかし、その後の展開は興味を逸らさせず、最後にはドンデン返しも用意してあり
流石にプロはそつが無い!