里山の山野草

里山と山野草の復活日記。

メルトダウンの恐怖!

2011年03月13日 | 天変地異
3月12日の15時過ぎに福島第1原子力発電所の1号機で爆発が起き、建屋の屋根や
外壁が無くなってしまい、正門付近で1015マイクロシーベルト/hr の放射線を観測した
と言う。

18時前の官房長官の記者会見では、
 ・原子炉の爆発ではない。
 ・観測された放射線の濃度も、圧力容器の圧力を下げる為に溜まったガスを放出する
  作業や、減った冷却水を増やす対策を実施している事に伴う想定された値である。
と発表した。

更に、20時半過ぎの官房長官の記者会見では、
 ・1号機については、漏れた水蒸気から発生した水素ガスが格納容器の外で爆発して、
  建屋の壁が崩壊したものであり、
 ・格納容器が爆発したものでは無く、格納容器自体に損傷は認められない。
 ・外部の放射性物質も爆発前よりも、むしろ爆発後の方が低下している。
 ・海江田経済産業相が東京電力に対して圧力容器を海水で満たすよう命じた。
 ・又、第1原発周辺の避難区域を、万全を期する為に、これまでの半径10km圏内から、
  20km圏内に拡大する事を決めた。
と発表した。

どうやら、中性子を吸収して核分裂を抑える働きのある、ホウ素やカドミウムなどで出来た
制御棒は挿入出来て核分裂反応は停止しているものの、冷却材が減って燃料棒の露出し
た部分の冷却をする事が出来ず、温度が上がって炉心熔融(メルトダウン)が起きている
ようで、ここまではアメリカのスリーマイル島の原発事故に似たパターンだ。

今後、圧力容器の温度が上がって内圧が高まり圧力容器が破壊されたり、或いは、底に
溜まった熔融物の熱により圧力容器の熔融、ひいては格納容器の熔融を起こす事がない
ように、圧力容器の中を核分裂を抑える働きのあるホウ素を加えた海水で満たして冷却す
る処置を取る事にしたらしい。

アメリカの場合は、幸いな事に圧力容器の爆発も無く、格納容器が持ち堪えた為に核燃料
や放射性物質が漏れずに済んだと言うが、アメリカの場合と違って、日本では今もって地
震が続いていて予断を許さない。
日本でも何とか圧力容器内で収束してくれる事を願っている!

〔炉心熔融(メルトダウン)〕
原子炉内の水位が下がり炉心が露出すると、炉心を冷却して温度を下げる事が出来な
くなる為に、燃料が高温となって被覆管や燃料が熔けてしまう。 
これを炉心熔解(メルトダウン)と言う。

熔けた被覆管や燃料などの熔融物は圧力容器の底へ落下するが、そうなると核分裂を制
御出来なくなるので核分裂が連続して起き、やがて格納容器や建屋までも熔けて大気中へ
放射性物質を放出するなどの大惨事を起こす。

又、高温の熔融物が冷却水中へ落下した時や、高温の熔融物へ急に冷却水を注入した
時は、冷却水が急激に気化するので水蒸気爆発を起こす恐れがある。
その上、高温の状態で注入した冷却水が被覆管に触れると、被覆管が急速に酸化されて
水素が発生して爆発する恐れがあり、いずれの場合も大量の放射性物質が環境に放出
されて深刻な状態となる。

沸騰水型軽水炉の仕組み〕…Wikipedia から引用
核分裂反応によって生じた熱エネルギーで軽水を沸騰させ、高温・高圧の蒸気として取り
出し、その蒸気でタービン発電機を回して発電するタイプ。
核分裂で放出された中性子は高速過ぎて次のウラン原子に上手く当たらず、その為に核
分裂を起こし続ける事が出来ないので、軽水(普通の純水)を用いて中性子の速度を落
として次々に核分裂を起こさせる必要があり、その役割から軽水を減速材と呼ぶ。
又、軽水は核分裂で得た熱を原子炉の外に取り出す、冷却材としての役割も果たす。


スリーマイル島原子力発電所事故〕…Wikipedia から引用
1979年に、アメリカのスリーマイル島原子力発電所で発生した重大な原子力事故。
色々な原因が重なり、原子炉圧力容器の圧力を下げる為の安全弁が開いたままとなった
為に安全弁から冷却水が逃げ、炉心上部3分の2が蒸気中にむき出しとなり、崩壊熱に
よって燃料棒が破損し、燃料の45%、62トンが原子炉圧力容器の底に溜まる、いわゆる
炉心溶融(メルトダウン)となった。
運転員による給水回復措置により事故は終息したが、その後の調査で圧力容器に亀裂
が入っていた事が判明し、異常事態が更に長引いていたならば、チェルノブイリ原子力発
電所事故と同様の規模になっていたと言われている。
当初、周辺住民は原子炉内で発生する水素が爆発し、放射性物質が飛散するのではな
いかと恐れ、大規模避難が行われたが、放出された放射性物質(希ガス、ヨウ素)による
周辺住民の被曝は低く、住民や環境への影響はほとんど無かった。

チェルノブイリ事故〕…Wikipedia から引用
1986年に、旧ソ連(現在のウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所で発生した重大な
原子力事故。
事故は、原子炉を低出力で運転する実験をしていた時のミスで出力が増し、急遽制御棒
を挿入しようとしたが制御棒経ガイドの変形を起こした為に、制御棒は3分の1だけ差し込
まれたところで動かなくなり、原子炉は炉心溶解(メルトダウン)を起こした。
その後、蒸気爆発を起こして原子炉の蓋が破壊され、更に原子炉の構造材に使用されて
いたジルカロイと水が高温で反応した事によって発生した水素による水素爆発も起き、
広島に投下された原子爆弾に換算して約500発分の原爆投下に相当する量の放射性
物質が撒き散らされた

更に、黒鉛減速材が火災を起こした事も、放射性物質の拡散と周辺地域の汚染の大きな
一因になった。
その結果、事故の収束に従事した31人が急性放射線障害で死亡したほか、その後も各種
の放射線障害が起きているのではないかと疑われているが、明確な因果関係は無いとさ
れている。