18日の通常国会での福田首相の施政方針をラジオで聞いて思ったのは、1年半前には同じ自民党の小泉首相が「改革無くして成長なし」と唱え、米国型のグローバル経済を指向し、競争社会の構築を試み、その挙げ句に各種格差社会の弊害のみを残して退任し、次に登場した安倍首相は「美しい国日本・戦後レジームからの脱却」を唱え、国体の変革を試み、憲法改正の道中場で選挙に惨敗して政権を投げ出したことである。そしてその跡を継いだ福田首相は今回の演説で「生活者や消費者が主役となる社会」へ向けたスタートの年と位置付けると言う。
約1年半の間に自民党から3人の首相が交代して「改革無くして成長なし」・「美しい国日本・戦後レジームからの脱却」・「生活者や消費者が主役となる社会」の大目標が掲げられたが、この3目標はどこでどう繋がるのか国民にはさっぱり分からない。しかも小泉・安倍政権が掲げた目標はいずれも道中場で頓挫しており、福田首相は二人の前首相の目標をどのように総括反省して「生活者や消費者が主役となる社会」の施策を打ち出したのか、国民へ納得の行く説明をして欲しい。国民には自民党の政党政治の一貫性が何も見えず、見えるのは政権を手放したくないために国民の目先を変える政党だということだけである。
ところで18日の朝日の夕刊は、首相の施政方針演説を次のように5つに要約している。
国政の「五つの基本方針」:(1)国民本位の行財政への転換(2)社会保障制度の確立と安全の確保(3)活力ある経済社会の構築(4)平和協力国家日本の実現(5)低炭素社会への転換。
http://www.asahi.com/politics/update/0118/TKY200801180238.html
上記「五つの基本方針」を見ると、具体策はこれからとしても、何れも難題である。更にこれに加えて年金・拉致問題は福田内閣で解決すると言っている。先の薬害C型肝炎問題で裁判所の和解案提示前に政治決断できなかった福田首相の指導力で、果たして「五つの基本方針」が実現できるのか、今から不安に思う国民は多いはずである。
もう一つの不安材料は「五つの基本方針」の内;
(1)国民本位の行財政への転換
(2)社会保障制度の確立と安全の確保
は自民党の政官業の利権構造とは相容れない政策であり、かって小泉首相が「自民党をぶち壊す」と言って利権構造をぶち壊そうとしたことを再現しない限りできるはずはない。今の自民党は小泉政権で壊れかけた政官業のトライアングルを古賀選対本部長が必死に修復行脚している最中であろう。福田政権は国民へ目を向けようとしているが党は業界へ目を向けているのである。しかも限られた予算内でこれら業界票田への予算配分を薄くし、国民や社会保障へ厚くすることは、今の福田政権と自民党主流派にできるとはとても思われない。政府与党内で「五つの基本方針」について、どこまで合意ができているのか疑わしい。
(5)低炭素社会への転換
についても経団連御手洗会長は先般の環境対策会議で鴨下環境相に京都議定書への反対を公然と唱えており、理想と現実の乖離は明らかである。
更に福田政権で実現不可能と思われることは、仮に衆議院を解散せずに任期満了まで現状を維持したとしても、残された期間は約1年10ヶ月程しかなく、これは決定的である。そのうえ今回(20年度)の予算案は既に施政方針演説前に作成されており、「五つの基本方針」との整合性が計られていないことは道路特定財源の存続方針に照らしても明らかであり、「国民本位の行財政への転換」を計るには民主党の言うように道路特定財源の一般財源化は必須条件のはずである。
よって年度予算で「五つの基本方針」の裏付ができるのは再来年度(平成21年度)予算からということになり、下手するとその間、解散か総辞職に追い込まれている可能性も高い。そのように見てくれば、福田内閣の「五つの基本方針」は画餅であり、次の衆議院選挙対策としての国民へのリップサービス・空手形としか思えない。
国民としても、このような画餅をいつまでも見せられていてはたまったものではない。予算成立後に速やかに衆議院を解散してその上で政権を担った政党に新たな絵を描いて貰った方が国民のためであり、これぞ「生活者や消費者が主役となる社会」への第一歩のはずである。
「護憲+BBS」「国会ウォッチング」より
厚顔の美少年
約1年半の間に自民党から3人の首相が交代して「改革無くして成長なし」・「美しい国日本・戦後レジームからの脱却」・「生活者や消費者が主役となる社会」の大目標が掲げられたが、この3目標はどこでどう繋がるのか国民にはさっぱり分からない。しかも小泉・安倍政権が掲げた目標はいずれも道中場で頓挫しており、福田首相は二人の前首相の目標をどのように総括反省して「生活者や消費者が主役となる社会」の施策を打ち出したのか、国民へ納得の行く説明をして欲しい。国民には自民党の政党政治の一貫性が何も見えず、見えるのは政権を手放したくないために国民の目先を変える政党だということだけである。
ところで18日の朝日の夕刊は、首相の施政方針演説を次のように5つに要約している。
国政の「五つの基本方針」:(1)国民本位の行財政への転換(2)社会保障制度の確立と安全の確保(3)活力ある経済社会の構築(4)平和協力国家日本の実現(5)低炭素社会への転換。
http://www.asahi.com/politics/update/0118/TKY200801180238.html
上記「五つの基本方針」を見ると、具体策はこれからとしても、何れも難題である。更にこれに加えて年金・拉致問題は福田内閣で解決すると言っている。先の薬害C型肝炎問題で裁判所の和解案提示前に政治決断できなかった福田首相の指導力で、果たして「五つの基本方針」が実現できるのか、今から不安に思う国民は多いはずである。
もう一つの不安材料は「五つの基本方針」の内;
(1)国民本位の行財政への転換
(2)社会保障制度の確立と安全の確保
は自民党の政官業の利権構造とは相容れない政策であり、かって小泉首相が「自民党をぶち壊す」と言って利権構造をぶち壊そうとしたことを再現しない限りできるはずはない。今の自民党は小泉政権で壊れかけた政官業のトライアングルを古賀選対本部長が必死に修復行脚している最中であろう。福田政権は国民へ目を向けようとしているが党は業界へ目を向けているのである。しかも限られた予算内でこれら業界票田への予算配分を薄くし、国民や社会保障へ厚くすることは、今の福田政権と自民党主流派にできるとはとても思われない。政府与党内で「五つの基本方針」について、どこまで合意ができているのか疑わしい。
(5)低炭素社会への転換
についても経団連御手洗会長は先般の環境対策会議で鴨下環境相に京都議定書への反対を公然と唱えており、理想と現実の乖離は明らかである。
更に福田政権で実現不可能と思われることは、仮に衆議院を解散せずに任期満了まで現状を維持したとしても、残された期間は約1年10ヶ月程しかなく、これは決定的である。そのうえ今回(20年度)の予算案は既に施政方針演説前に作成されており、「五つの基本方針」との整合性が計られていないことは道路特定財源の存続方針に照らしても明らかであり、「国民本位の行財政への転換」を計るには民主党の言うように道路特定財源の一般財源化は必須条件のはずである。
よって年度予算で「五つの基本方針」の裏付ができるのは再来年度(平成21年度)予算からということになり、下手するとその間、解散か総辞職に追い込まれている可能性も高い。そのように見てくれば、福田内閣の「五つの基本方針」は画餅であり、次の衆議院選挙対策としての国民へのリップサービス・空手形としか思えない。
国民としても、このような画餅をいつまでも見せられていてはたまったものではない。予算成立後に速やかに衆議院を解散してその上で政権を担った政党に新たな絵を描いて貰った方が国民のためであり、これぞ「生活者や消費者が主役となる社会」への第一歩のはずである。
「護憲+BBS」「国会ウォッチング」より
厚顔の美少年
