老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

パレスチナ「国家」格上げ

2012-12-05 20:22:43 | 戦争・平和
「残念!村上春樹氏ノーベル賞成らず」は10月12日の投稿であるが(ブログ未掲載)、先日国連総会でパレスチナが圧倒的な賛成多数でオブザー組織から「オブザーバー国家」として議決承認されただけに、あらためて残念至極である。

おそらくこの国連決議を聞いて一番悔いているのは、今年のノーベル平和賞を決定したスウェーデン・アカデミーであろう。国連決議後に世界のメディアやコメンテイターがイスラエルのオブザーバー国家承認についていろいろ所見を述べているが、すべて結果論であり、村上春樹がかつて、「エルサレム賞受賞スピーチ」で述べた内容に比するものはない。またそれに触れたコメントもないのは残念である。

再度村上春樹の下記スピーチに目を通してみると、国連の議決を左右したのはこのスピーチがあったからではないかと思えてくるのである。中でも「その壁がいくら正しく、卵が正しくないとしても、私は卵サイドに立ちます。他の誰かが、何が正しく、正しくないかを決めることになるでしょう。おそらく時や歴史というものが」という一節である。

『ここで、非常に個人的なメッセージをお話しすることをお許しください。それは小説を書いているときにいつも心に留めていることなのです。紙に書いて壁に貼ろうとまで思ったことはないのですが、私の心の壁に刻まれているものなのです。それはこういうことです。
 高くて、固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ」ということです。
 そうなんです。その壁がいくら正しく、卵が正しくないとしても、私は卵サイドに立ちます。他の誰かが、何が正しく、正しくないかを決めることになるでしょう。おそらく時や歴史というものが。
 しかし、もしどのような理由であれ、壁側に立って作品を書く小説家がいたら、その作品にいかなる価値を見い出せるのでしょうか?この暗喩が何を意味するのでしょうか?いくつかの場合、それはあまりに単純で明白です。爆弾、戦車、ロケット弾、白リン弾は高い壁です。これらによって押しつぶされ、焼かれ、銃撃を受ける非武装の市民たちが卵です。これがこの暗喩の一つの解釈です。』

上記の一節はイスラエルがパレスチナに高い壁を作り、次々に占領地区を広げ、一方でガザ地区への過剰な報復攻撃を繰り返すイスラエルを非難したものだ。オバマ大統領は核廃絶の演説をしただけでノーベル平和賞を受賞したが、おそらくイスラエルに向けてこのようなスピーチはできないだろう。それだけでも村上春樹のスピーチの凄さが分かる。

今回の国連決議を表から見れば、パレスチナが「オブザー組織からオブザーバー国家」として承認されたということであるが、裏から見れば、世界の国々からいかにイスラエルが嫌われているかということと、議決に反対票を投じたオバマ政権はイスラエルの傀儡政権であることが明らかになったということであろう。オバマ大統領のノーベル平和賞もさらに色あせたように見える。

因みに日本は、米国に同調せず賛成票を投じたが、国連に加盟して初めてのことではなかろうか。どのような背景があったのか分からぬが、おそらく中東和平という崇高な視点より、中東から石油を輸入している商業的視点からであろう。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
厚顔の美少年

コメント (1)
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