rosemary days

アロマテラピー、ハーブを中心にフィトテラピーあれこれ。自然療法全域とフィットネスについて。

『冬虫夏草』~痛みを和らげたクスノキの香り

2020-01-19 23:50:30 | 物語の中の植物と香り
梨木香歩さんの『冬虫夏草』は、以前紹介した『家守綺譚』の続編になります。前作に続き征四郎は高堂の家の家守(管理人)をやっているのですが、作家としても仕事が増えているようです。大学時代の学友である編集者の山内と同じく大学の研究室に努める南川が本書ではよく顔を出します。

ある日乱雑に積まれた本の山の中から1冊抜き取ろうとしたら、積んでいた本が雪崩を起こし右手の中指と人差し指を強打し、激しい痛みを感じてしまいます。医者に行ったらなにやら黒い膏薬を塗られました。薬臭いには薬臭いがどこか懐かしい気分になりました。

翌日、まだ痛みはあるものの昨日よりは少しよくなったと感じて窓から入ってくる外気の中に、膏薬と同じような匂いを発見します。そしてそれがクスノキの香りだと気づきます。

樟脳だ。虫除けだ。ほう、と思ったが、まあ、何でも効けばいいのであってそれで私のあの膏薬に対する信頼はいささかも揺らぐことはなかった。あの鼻にくるようなクスノキ、樟脳の清新な成分が何かの精油を含んでおり、それが痛みをやわらげるのかも知れなかった。(p13)

征四郎の推測通り、クスノキにはカンファ―と呼ばれる精油成分が含まれていて、それが肩こりや腰痛、筋肉痛の痛みを和らげてくれる働きをしています。捻挫や打撲の痛みにも効果はあるかと思います。

今回も各章のタイトルが植物の名前なのですが、一番最初の章からクスノキとは嬉しいですね。クスノキの仲間は他にもローズウッド、ローレル、シナモン、メイチャンなどさわやかないい香りの精油が取れるものがとても多いんです。


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