rosemary days

アロマテラピー、ハーブを中心にフィトテラピーあれこれ。自然療法全域とフィットネスについて。

『失われた時を求めて』~バラ色のサンザシ

2018-03-14 00:46:33 | 物語の中の植物と香り
『失われた時を求めて』と言えばマドレーヌと紅茶が有名ですが、作中にさまざまな植物が登場します。語り手の少年が母方の祖父母の田舎に滞在している時の話で、娯楽といったら飲み食いのほかには散歩に行くくらいしかないのです。

近所にスワンさんという人が住んでいて、スワンさん自身は時々遊びに来るのですが、奥さんがもともといかがわしい職業の人だっため妻子を連れてくることがありません。そもそもその筋の女の人と結婚したためにスワンさんは社交界から締め出されてしまったようなのです。

語り手の少年はスワンさんに自分と同世代の娘がいることを知って非常に関心を持ちます。会う前から激しく妄想している始末。そしてとうとうスワンさんの娘=ジルベルトの姿を視覚に捉えることができたのです。

お父さんとおじいさんと一緒に散歩に行ってスワンさんの家の前を通った時、生垣のサンザシの前に留まり香りを嗅いでいると、おじいさんが。
「お前はサンザシが好きだから、すこしこのバラ色のも見てごらん。きれいだよ」
とバラ色のサンザシを示してくれました。

サンザシは普通イチゴのような白い花を咲かせます。バラ色=ピンク色の花は珍しく、その美しさに見とれていると、生垣の向こうに思い描いたジルベルトの姿を一瞬眺めることができたのです。この場合も初恋の少女とサンザシの花のたたずまい、それと香りが見事ににリンクして印象深いものにしています。

サンザシは漢字で山査子と書き、漢方薬としても使われています。メディカルハーブの世界ではホーソンと言います。花や葉も薬になりますが、主に実をハーブティーとして飲みます。血圧の上昇を抑えたり血をさらさらにする働きがあるようです。



失われた時を求めて(1)――スワン家のほうへI (岩波文庫)
クリエーター情報なし
岩波書店

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