rosemary days

アロマテラピー、ハーブを中心にフィトテラピーあれこれ。自然療法全域とフィットネスについて。

『失われた時を求めて』~マドレーヌとシナノキのお茶

2018-03-11 08:44:48 | 物語の中の植物と香り
アロマをやっている人にはもはや常識となったプルースト効果の元になった小説『失われた時を求めて』のマドレーヌのシーンです。プルースト効果とはある香りから昔の記憶、もしくは過去に味わった感情が甦るという心理学のことばです。

例えば桜の香りを嗅ぐと幸せな気分になる‥‥という人は、桜の香りそのものも好きかもしれませんが、子どもの頃家族で過ごした楽しい記憶を呼び起こすためとも言えます。

反対に薔薇の香りを嗅ぐとなんだか嫌な気分になる‥‥という人はかつて意地悪な上司が薔薇の香水をいつもつけていて、その頃の不快感が甦る‥‥などという個人の記憶や感情を呼び起こすことを意味します。

この本の語り手はお母さんが紅茶とマドレーヌをおやつに出してくれると、幼少期に過ごしたレオニ叔母の部屋の光景を思い出します。レオニ叔母さんは病気で寝たきりの生活を送っていました。語り手の少年は長期休暇を祖父母の家で過ごす間、毎朝レオニ叔母さんの部屋に挨拶に行きます。その時叔母さんが紅茶に浸したマドレーヌを食べさせてくれたのです。

叔母さんは特に気分の優れない時は紅茶の代わりにシナノキのハーブティーを飲んでいました。シナノキは別名菩提樹、またはリンデンです。シナノキと言うと普通は日本特有の樹木になってしまうので、正式には西洋シナノキですね。

リンデンは高血圧のケアや心臓の疾患がある人などに飲まれてきました。おそらくレオニ叔母さんは心臓が弱かったのかなと思われます。興奮を鎮める働きがあるので不眠気味の人などにも飲まれています。

さて、私も真似してマドレーヌにリンデンのハーブティーを浸して食べてみましたが‥‥別々に食べたほうが美味しいですね(笑)






失われた時を求めて(1)――スワン家のほうへI (岩波文庫)
クリエーター情報なし
岩波書店

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