この間、家の近くの道沿いの茂みでマイマイガの幼虫を見つけました。以前、蛾の幼虫の刺毛を調べたことがあった(こちらとこちらとこちら)のですが、だいぶ忘れてしまっていたので、復習の意味で調べてみました。
これがマイマイガ Lymantria dispar japonicaの幼虫です。とりあえず、頭部、胸部、腹部に分けてみました。胸部は前胸、中胸、後胸に分けられるのですが、それぞれにI、II、IIIと番号を振っておきました。ついでに、腹部も見える範囲で番号を振ってみました。「原色日本蛾類幼虫図鑑(上)」によると、腹部は10体節とのことですが、背側から番号を振ると9節しかありませんでした。たぶん、第9腹節の下側にもう1節あるのでしょう。
この図鑑にはマイマイガの属するLymantria属とマイマイガについて胸部、腹部に関して詳細な特徴が載っています。それを転載してみます。
Lymantria属
①副前頭の上方に二次刺毛を有する
②第1~4腹節の背上に特殊な毛束を欠くが、各1対の小さい腺状物を有する
③第6、7腹節の背上には背腺を有し、体には二次刺毛を欠く
④各腹節の瘤起SD1とL1は隣接、L2はL1より大きい
⑤D1はD2よりはるかに小さいかあるいは欠く
⑥各瘤起から棘状刺毛および刺毛を多数生じる
マイマイガ Lymantria dispar japonica
⑦前胸の背面は黄色;背楯の瘤起は青色で黒色の短い棘状突起を生じる;気門前瘤起は橙赤色で大きく盛り上がり、黒色の棘と白色の長毛を前外方に突出する
⑧中胸から第4腹節までのD2は青色、第5腹節から後方のD2は赤色、共に黒色の棘を射出し、周辺に短い白色毛を生じる
⑨中・後胸のD1は小さく青色でD2の直上に位し、腹節のD1は赤色で小さく、D2の大きさの約1/8位で、ほとんど背線に沿う高い位置に位する;それぞれ1~2本の黒い棘と数本の白色毛を生じる
⑩第1~4腹節のD1後方の腺状物は非常に小さく橙赤色を帯びる
用語がなかなか難しいのですが、分かる範囲で調べてみることにします。まず、③の「第6、7腹節の背上には背腺」というのはこの写真で示した部分だと思われます。
これは胸部と腹部第1~3節を拡大したものです。刺毛は瘤状突起(瘤起)の上に生えています。瘤起にはそれぞれ名前がついていて、上の図鑑によると、Forbes式、Fracker式、Grerasimov式、Hinton式、それに、この図鑑の筆者である六浦氏の方式が載っています。ただ、本文中で用いられている記号はHinton式でした。刺毛の名称については次の本にも載っています。
N. P. Kristensen, "Lepidoptera, Moths and Butterflies Vol. 2: Morphology, Physiology, and Developement", Handbook of Zoology Volume IV, Walter de Gruyter (2003).
この本ではHasenfussの論文を引用しているのですが、基本的にはHinton式と同じようなので、先ほどの特徴を見ながら記号をつけてみました。いずれにしても、この写真からは②、⑤、⑥、⑦、⑧、⑨、⑩あたりを確かめることができます。(追記2019/05/31:記号の意味は、背面(D)、準背面(SD)、側面(L)、準腹面(SV)、腹面(V)のようです)
この写真からはさらに④を確かめることができました。というので、項目のだいたいは確かめることができました。
これは別の個体のマイマイガの頭部です。頭部も調べればよかったのですが、今回は時間がないのでパスしました。前胸のD2が上の写真の個体では薄色だったのですが、この写真では青いですね。齢と共に、色が変化していくみたいですね。毛虫もこうやって調べてみると、意外に面白いものです。
これがマイマイガ Lymantria dispar japonicaの幼虫です。とりあえず、頭部、胸部、腹部に分けてみました。胸部は前胸、中胸、後胸に分けられるのですが、それぞれにI、II、IIIと番号を振っておきました。ついでに、腹部も見える範囲で番号を振ってみました。「原色日本蛾類幼虫図鑑(上)」によると、腹部は10体節とのことですが、背側から番号を振ると9節しかありませんでした。たぶん、第9腹節の下側にもう1節あるのでしょう。
この図鑑にはマイマイガの属するLymantria属とマイマイガについて胸部、腹部に関して詳細な特徴が載っています。それを転載してみます。
Lymantria属
①副前頭の上方に二次刺毛を有する
②第1~4腹節の背上に特殊な毛束を欠くが、各1対の小さい腺状物を有する
③第6、7腹節の背上には背腺を有し、体には二次刺毛を欠く
④各腹節の瘤起SD1とL1は隣接、L2はL1より大きい
⑤D1はD2よりはるかに小さいかあるいは欠く
⑥各瘤起から棘状刺毛および刺毛を多数生じる
マイマイガ Lymantria dispar japonica
⑦前胸の背面は黄色;背楯の瘤起は青色で黒色の短い棘状突起を生じる;気門前瘤起は橙赤色で大きく盛り上がり、黒色の棘と白色の長毛を前外方に突出する
⑧中胸から第4腹節までのD2は青色、第5腹節から後方のD2は赤色、共に黒色の棘を射出し、周辺に短い白色毛を生じる
⑨中・後胸のD1は小さく青色でD2の直上に位し、腹節のD1は赤色で小さく、D2の大きさの約1/8位で、ほとんど背線に沿う高い位置に位する;それぞれ1~2本の黒い棘と数本の白色毛を生じる
⑩第1~4腹節のD1後方の腺状物は非常に小さく橙赤色を帯びる
用語がなかなか難しいのですが、分かる範囲で調べてみることにします。まず、③の「第6、7腹節の背上には背腺」というのはこの写真で示した部分だと思われます。
これは胸部と腹部第1~3節を拡大したものです。刺毛は瘤状突起(瘤起)の上に生えています。瘤起にはそれぞれ名前がついていて、上の図鑑によると、Forbes式、Fracker式、Grerasimov式、Hinton式、それに、この図鑑の筆者である六浦氏の方式が載っています。ただ、本文中で用いられている記号はHinton式でした。刺毛の名称については次の本にも載っています。
N. P. Kristensen, "Lepidoptera, Moths and Butterflies Vol. 2: Morphology, Physiology, and Developement", Handbook of Zoology Volume IV, Walter de Gruyter (2003).
この本ではHasenfussの論文を引用しているのですが、基本的にはHinton式と同じようなので、先ほどの特徴を見ながら記号をつけてみました。いずれにしても、この写真からは②、⑤、⑥、⑦、⑧、⑨、⑩あたりを確かめることができます。(追記2019/05/31:記号の意味は、背面(D)、準背面(SD)、側面(L)、準腹面(SV)、腹面(V)のようです)
この写真からはさらに④を確かめることができました。というので、項目のだいたいは確かめることができました。
これは別の個体のマイマイガの頭部です。頭部も調べればよかったのですが、今回は時間がないのでパスしました。前胸のD2が上の写真の個体では薄色だったのですが、この写真では青いですね。齢と共に、色が変化していくみたいですね。毛虫もこうやって調べてみると、意外に面白いものです。