ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

フリー チベット その3

2010-03-13 02:05:54 | Weblog
いまから約2年前、チベットでは自由を求める大規模な抗議行動が起きた。
日本でも「フリーチベット」の運動が盛んになり、
私の親しい友人も参加したし、私も誘われた。

私はチベットの文化に、とても敬意を抱いている。
これは、自分で実際にチベットへ行き、バックパッカーでぶらぶらして、
一人で、自分の心で感じた敬意だから、私にとって大切な気持ちだ。

でも、私には北京に留学した経験もあって、
中国共産党のやり方というものに、少しは知識があった。

2年前、私は少し新しい仕事を始めようとしていた。
そして、その仕事では、中国へ出張に行く機会があり、それがとても楽しみだった。
だから、私は保身のために、フリーチベットの運動に参加するのをやめた。
署名もできなかった。
見せしめで、どんなお鉢がまわってくるかわからない。
中国への入国ができなくなるかもしれない。
仕事上で、周囲の人にも迷惑をかけてしまうかもしれない。
仕事をするうえでのリスクが大き過ぎる、そう思った。
私があれだけバカにして嫌悪していた「中国のやりかた」というやつに、
いとも簡単に、戦う前に屈した。

私は、それ以来ずっと後悔している。
自分をまぎらわすために、ダラムサラに住む亡命した子どもたちに、
少額の学費補助をしたりしたけど、
そんな自己満足では、自分の気持ちから逃げることはできない。
意気地なしだと思っている。

3月13日、東京では、フリーチベットを訴える行進が行われる。
今年こそは胸を張って参加しようと思っていたのに、
ある仕事が、行進のはじまるのと同時刻に入った。

今回も、自分から仕事を優先した。
その仕事に参加することを、仕事の仲間が喜んでくれるかはわからない。
そんなに悩むのだったら、すべてを放り出して行進に行ってくれた方がよっぽどいい、
と、きっと言われるだろう。
そもそも、明日の仕事では、さほど必要とされてない。
この必要とされていない程度は、仕事もフリーチベットへの参加も同じかもしれない。
私はあまりに卑小だ。

これは、私の臆病さなのだろうか。
臆病だから、また仕事を選んだのだろうか。

そして、眠れない。