ケータイの警報がけたたましく鳴った何度も何度も。レベル4の緊急情報だと言う。雨は強く降り続き、うちの前には水が溜まっている。でも大雨の時はいつものことで、今日の風はまだ強くない。
また、心配しすぎってなるんじゃない?
テレビに浅川橋の様子が映し出される。土手の草むらが消えて奔流となった水が欄干に届こうとしている。
うちの裏を流れる北浅川から何キロもない。支流が流れこんであんなになるのかと危機感もなく画面に見入ったが、10時過ぎには雨も風も静かになり、いつも通り二階へ、読みかけの本を持って。
静かな朝が来た。鳥が鳴き、青空が見える。
待ちきれずに外に出る。昨日も一昨日も雨で散歩に出ていないから。川の様子もみたいし。でもそれ以上に今日は零余子を採りたかったのだ。
橋の上から見る川の様子が違う。中州が無くなって茶色の太い流れになっている。いつも我が家の食卓を豊かにしてくれるクレソンも芹も、土手のススキまで無い。
と、金木犀の香りだ。十月の香り!
思いっきり鼻腔を開いてから、いつも零余子が採れる場所へ一直線だ。
ズボンのポケットに詰め込んだ小石のような零余子は、ご飯二回分くらい。陣馬街道へ戻り、いつもの川原の散歩道へ戻る。
暴れ川の安全を祈願して置かれたという何百年も経つ馬頭観音を横目に川辺に着くと、
道が無くなっちゃったよ!
の声。五、六人がすっかり広くなった水を見つめていた。町会で毎年掛ける手作りの橋は先月の雨で流れているが、再生する為にロープを掛けてある残骸の影さえない。
半世紀も住んでいますが、こんなこと初めてです。
自転車の通学路でもあるので、あの子達、随分、遠回りになるんだろうな、と思いつつ、陣馬街道へ戻り、陵北大橋を渡った。
台風の記憶はいろいろあるが、家の前の道も百年ほど前の出水で動かしたものだそう。あの道も今回の水で変わるのだろうか。
川や道が変わるなんて、自分がまるで歴史の一部を見たみたい!
久しぶりの零余子ご飯に舌鼓をうち、金木犀の香りを愛でながら、暑くも寒くもない十月はやはりいいな、と不謹慎な私なのです。
通学路崩して怒涛の野分かな
また、心配しすぎってなるんじゃない?
テレビに浅川橋の様子が映し出される。土手の草むらが消えて奔流となった水が欄干に届こうとしている。
うちの裏を流れる北浅川から何キロもない。支流が流れこんであんなになるのかと危機感もなく画面に見入ったが、10時過ぎには雨も風も静かになり、いつも通り二階へ、読みかけの本を持って。
静かな朝が来た。鳥が鳴き、青空が見える。
待ちきれずに外に出る。昨日も一昨日も雨で散歩に出ていないから。川の様子もみたいし。でもそれ以上に今日は零余子を採りたかったのだ。
橋の上から見る川の様子が違う。中州が無くなって茶色の太い流れになっている。いつも我が家の食卓を豊かにしてくれるクレソンも芹も、土手のススキまで無い。
と、金木犀の香りだ。十月の香り!
思いっきり鼻腔を開いてから、いつも零余子が採れる場所へ一直線だ。
ズボンのポケットに詰め込んだ小石のような零余子は、ご飯二回分くらい。陣馬街道へ戻り、いつもの川原の散歩道へ戻る。
暴れ川の安全を祈願して置かれたという何百年も経つ馬頭観音を横目に川辺に着くと、
道が無くなっちゃったよ!
の声。五、六人がすっかり広くなった水を見つめていた。町会で毎年掛ける手作りの橋は先月の雨で流れているが、再生する為にロープを掛けてある残骸の影さえない。
半世紀も住んでいますが、こんなこと初めてです。
自転車の通学路でもあるので、あの子達、随分、遠回りになるんだろうな、と思いつつ、陣馬街道へ戻り、陵北大橋を渡った。
台風の記憶はいろいろあるが、家の前の道も百年ほど前の出水で動かしたものだそう。あの道も今回の水で変わるのだろうか。
川や道が変わるなんて、自分がまるで歴史の一部を見たみたい!
久しぶりの零余子ご飯に舌鼓をうち、金木犀の香りを愛でながら、暑くも寒くもない十月はやはりいいな、と不謹慎な私なのです。
通学路崩して怒涛の野分かな