豚も杓子も。

私にすれば上出来じゃん!と開き直って、日々新たに生活しています。

「朧の森に棲む鬼」

2007年10月26日 | Weblog
市川染五郎さんが徹底的な悪者になって壮絶な殺陣を見せる劇団☆新感線の「朧の森に棲む鬼」。その舞台=劇が映画になった「ゲキ×シネ」第4弾が公開中です。

「朧」。
綺麗な言葉ですが、月に龍で、どうしておぼろなのでしょう。


↑は、昨夜の月。漆黒の闇に妖しく輝いておりました。朧月にたなびく雲を見ていると龍を連想するのかもしれません。

染五郎さん扮する主人公ライは、嘘を重ねることで農民から大国の王にまで登りつめていきます。彼の後ろ盾は、朧の森に棲む鬼。交わした契約は、己で己を殺す以外は、死なないこと。霊の宿った剣と巧みな嘘で、欺いた人たちの屍を踏み越えて突き進んでいきます。
血で血を洗う手に汗握る展開。ひたすら悪のヒーローに徹する染さま。
かっこいい~~~!!

劇団☆新感線からのヒロインは、高田聖子さん。
帝であるイチノオオキミの寵愛を受ける美しい妃のシキブを演じます。彼女の友達は女ながらに都を警護する検非違使の隊長のツナ。夫である将軍を戦で失った悲しみをひた隠すツナに、シキブは幼馴染のよしみで私に悲しさをぶちまけなさい・・・と慰めます。が、固い態度を崩さないツナ。彼女が去っていく姿を見送りながら、「あなたって、昔からそうだった。そんなあなたが・・・」と、言葉を区切って「大嫌い・・」と言い放つシキブ。ええええ?こわかった~~~。
残虐なシーンもいっぱい出てくる中で、このシーンがいっちばん怖かったかも。

ツナの夫を密かに愛していたりもするシキブ。イチノオオキミはそんなことはすっかり承知の上で、ある時、命を賭けて最高の愛を示します。うう・・・・・・泣きそう。
このシーンだけでも、2500円の価値があるなあ。

悪をやらせたら、右に出るものはない!古田新太さんは今回は悪の巣窟の頭領マダレ役でエントリー。染さまのライに献身的に尽くすキンタ役の阿部サダヲさんも可愛い!もう、最高のキャストです。この舞台の行われていた時は、まさに次女の受験中。残念ながら生で見ることはできなかったのですが、生の迫力が十分に伝わるゲキ×シネでした。表情をしっかり見ることもでき、音響の工夫もされ、より理解しやすくなっているようでもありました。舞台で醸し出されていたであろう摩訶不思議な空気も濃密に感じられました。これが実写なら絶対に見にこれない題材だと思いました、怖すぎて。

新感線との相性抜群のツナ役の秋山奈津子さん。シキブの高田聖子さんとともに朧の森の精霊?(悪霊?)トリオの一角を担う真木よう子さん。こちらはイチノオオキミの統治する国と戦をしている山の民の首領シュテン役です。少年のような体型に男の子っぽい衣装がとてもよくお似合いでした。まっことお美しい方でした~。

15分の休憩を挟んでの3時間半。
楽しめました。エンターテインメント極れりです。

この「朧の森に棲む鬼」は、これまでのゲキ×シネの実績を踏まえて、全国でかなりの数の映画館で上映されることになったということです。その第1弾が試験的に広島の映画館で上演されたときには、単なる舞台中継以上の迫力に圧倒されたものでした。当時は全部で数回の上映だけでしたが、今回は普通の映画と同じような公開の形式となりました。11月2日頃まで上映されている館もだいぶあるようです。
興味のある方がいらっしゃいましたら、是非お出かけください!
ただし、普通の映画とは少しお値段が高いのが玉に瑕ですね。でも、遠征して舞台を見に行くことに比べれば、ねっ!
どうか、くれぐれもイチノオオキミの例のシーンは、絶対に見逃さないでくださいまし~。田山涼成さんが、本当にはまり役でした。