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【読書感想文】今はもうない

2007年05月23日 10時36分40秒 | 読書感想文
夜勤中に一気に読んでしまった。




『今はもうない』
作者:森博嗣

ストーリー:
西之園家の別荘に向かう犀川と萌絵。その車中、萌絵はとある事件について語る。

西之園家の別荘から5km離れた山中にあるデザイナー・橋爪怜司の別荘にやってきていた笹木。だが婚約者の石野真梨子に誘われて仕方なく来ていた笹木は、散歩中に山中で出会った西之園家の人間を別荘に連れて行くことに。
そしてその夜。橋爪の別荘に泊まりに来ていた女優の朝海姉妹がそれぞれ別荘3Fの娯楽室と、その隣の映写室で遺体となって発見された。2つの部屋を行き来するには廊下に出るか、両室の間の高い場所にある狭い穴を抜けるしかない。そして両方とも密室であった。
おりしも台風が直撃していたその夜は外部からの侵入は不可能と思われ、自然と内部に犯人がいることになる。橋爪、その息子の清太郎、石野、モデルの神谷美鈴、そして使用人の滝本。この誰かが犯人なのだろうか・・・。


感想:
思いっきりヒントになってしまうが、今回は笹木の一人称で語られていて、それには理由がある。これがまず第1の謎。それからもちろん密室トリック。これが第2の謎。
そしてこれが一番重要なのだが、本書は今までのシリーズを読んでないと理解できないトリックがある。この意味が第3の謎。
ミナミは第3の謎については最後の方で真相が暴かれる直前にわかった。が、これはシリーズを読んでる人なら途中で感じる違和感からわかると思う。
第2の密室トリックについては説明されるとあ~なるほど、という感じがする。たしかに伏線も色々張ってあるし相変わらずうまいなぁと思った。
そして第1の謎。笹木の一人称の理由については途中で見破るのはほぼ不可能じゃないかと思う。わかった瞬間、えー!と驚く仕掛け(といったら大げさか)があるのだ。
萌絵と犀川は笹木の話の合間に何回か登場するだけで、事件にはノータッチ。なので出番がほとんどないのだが、以前の萌絵と違い、犀川に対してどこまでも譲歩してしまうことを自覚するところは微笑ましい。腹を立てた時でさえ、犀川が自分の怒った顔を見たくてわざと怒らせているのだろうと曲解しているのだ(しかも頬を膨らませてリクエストに答えてる)。
やはりS&Mシリーズは萌絵を好きになれるかどうかで評価が分かれるだろうなぁ。