薬学部の将来をちょいと考えた2 私の意見

2004年08月23日 13時09分34秒 | シリーズもの
医大生≒医師、看護大生≒看護師(よく士が使われますが間違い)という構図は理解できると思います。もちろん薬大生≒薬剤師ですが、実際に調剤や服薬指導を行なう薬剤師らしい薬剤師(意味合いは違いますが以下、臨床薬剤師と呼びます)となるのは半数程度です。つまりは病院などの医療機関で働く薬大生の割合は医大や看護大と比べ非常に小さいのです。他の薬大生はと言えばMRや研究職として製薬企業へ就職したり、医薬品を扱う卸、さらには食品業界に就職します。このように薬学部卒業生は医療従事者でありながらも他の理系学部のように幅広い進路をあわせ持ちます。
私はこの幅の広さを薬学部の武器にすべきだと考えているのですが、現実は違います。応用の幅が効く分、薬の専門家としての資質が損なわれており、世の中(というよりむしろ医療現場で働く薬剤師)はより高度な専門性を有した薬学部卒業生を望んでいるのです。そこで登場したのが薬学部六年生です。病院実習の期間を増やし、臨床経験を積ませようとしているのです。すなわち薬剤師らしい薬剤師(臨床薬剤師)を増やそうとしているのです。(これに関しては次回)薬学部の応用の広さを歓迎する私にとって臨床薬剤師の育成は少し残念に感じます。もちろん臨床薬剤師への育成が、応用の広さに障害を及ぼすわけではありません。ただ時間の使い方です。病院にばかり行かせるのではなく、企業などへのインターンシップも単位として認め、自分の将来を見合わせたカリキュラムが作れるようにして欲しいと思ってます。臨床薬剤師への育成にはもう一つ、疑問があります。働き口があるのか?という点です。現在、卒業生の病院への就職は非常に難しいのです。まして新設薬学部も急増しており、薬剤師余りが確実視されています。せっかく高度な専門性をもった臨床薬剤師が増えてもそれを生かす場がないのです。大げさに言えば病院で働く為に教育を受けた薬大生が、病院以外で働くという現象が急増するように思えます。それならば、早いうちから非病院の実務経験を勉強するのも有だと私は考えているのですが、私と同じような意見を持つ学生はあまりいません。
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4 コメント

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Unknown (jasmine)
2004-08-31 12:36:05
《ボランティア》と言う言葉を使ったのがちょっと気になってしまったので・・・

もちろん、向上心を持って実習している学生の方が多いんですけど、『単位』だからとか『必修』だから《仕方なく》実習してるという態度の学生が結構いるんです。そんな学生を見ると腹立つんですよね、実際(笑、ごめんね)
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薬局実務実習 (jasmine)
2004-08-31 10:46:02
コメントありがとうございました。

内容が内容なだけに、お返事遅くなってしまいました。

私の勤務する調剤薬局は学生実習を受け入れています。そして、実習生を受け入れた時にいつも思うのは《現場とのギャップ》です。

実務実習をする意味、意義をいろんな観点から考えていただきたいな・・・

こちらも忙しい時間を割いて、ボランティアで学生の相手をしてるんですから。



話すと長くなるのと、私の考えもまだ漠然としていて言葉になりそうにないので、そのうち場を改めて私のblogでコメントしますね。
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outside (wazao)
2004-08-30 20:54:35
こちらのブログへの書き込み、ありがとうございました。

ご返事が遅くなり申し訳ありません・・・。



6年制は確かに意味のあるものだと思います。

臨床系の能力を上げるか、もしくは基礎系の能力を上げるために時間を割くかは、是非とも学生の意見をくみ取って改善してもらいたいと思いますが、基本的には専門性を向上させる良い機会となると思われます。



ただやはり社会の薬剤師に対するイメージが変わらない限り、こちらが専門性を向上させても意味が無いでしょう。

この前知り合いと話をしていたのですが、その中で「薬剤師は国家資格なの?」と言われ、軽くショックを受けてしまいました(笑)



お役所には、是非ともこの辺りも考慮した、トータル的な変革をしてもらいたいと思っています。
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薬学部で学ぶこと (Yoko.A)
2004-08-30 09:48:35
薬学部が六年制になることのメリットとして、大学側が考えているのはやっぱり臨床薬剤師育成がメインなのでしょうね。私は自分が臨床薬剤師志望なのですが、カリキュラムの組み方として病院や薬局に偏ってしまうのは疑問視してます。専門性を高める=臨床経験を積む とは限らないわけで、企業や介護施設など、薬剤師としての職能\をアップさせる内容は他にもあるわけですから。大きな薬学というカテゴリの中で、細い各セクションのどこの専門性を高めるか、あるいは全体を網羅するかなど、学生に選択させるといいでしょうね。
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