Handwoven Magazineについて触れました。
世界でも数少ない手織り専門雑誌のひとつです。
Handwovenから、ニュースメールが時々届くのですが、
その中で、読者の質問に編集者が答える、というコーナーがあります。
先日、こんな問いが掲載されていました。
「織り縮みは避けた方がいいのでしょうか?
また、織り縮みに何かメリットはあるのでしょうか?」
織り縮み、というのは、手織りをしたことのある方なら、
誰もが一度は経験しますね。
タテ糸がヨコ糸に引っ張られて内側に入り込んでしまい、
織り幅が元のタテ糸の幅よりも狭くなる、「アレ」のことです。
その縮み幅が常に一定ならば、余り気が付かないときもありますが、
時に、ある部分だけが、
他のところよりも極端に縮んでしまうことがあります。
そんなとき、「耳が吊る」なんて、言ったりもします。
質問者さんは、耳の所だけタテ糸の密度を濃くしているので、
耳が吊ったり、織り縮みしたりした経験がなく、
それが逆におかしいのではないかと思って質問したとのこと。
そんな彼女の問いに対して、
Handwovenの編集者はこのように答えます。
「まず第一に、目指すべきは常に真っ直ぐな耳で、
デコボコした見苦しい耳ではないの。
同時に、耳の部分のタテ糸も、
なるべく他の場所と同じ密度で織るのが理想なのよ。」
続いてツラツラと、どうして織り縮みが起こるのか、
どのようにしたら耳を真っ直ぐに織れるのかを懇切丁寧に説明した上で
最後にこう締めくくります。
「織り縮みのメリット、私にはひとつも思いつかないわ!」
この記事を読んで、私はやっぱりな~~と、
妙に納得させられました。
世界の手織りの主流は、やはりまだコレなのだ、と。
そこには、さをり織りと全く正反対の理論が述べられていました。
同じ質問を、さをりの森のスタッフにしたら、こう答えるでしょう。
「織り縮み?耳が吊る?気にしなくていいですよ。それも味です!」と。
確かに、耳が吊ることで耳のタテ糸が切れやすくなるという
デメリットもありますので、タテ糸が切れる場合や
ご本人が望まずに吊れてしまっている場合には、
耳の吊れない「コツ」をお伝えする場合もあります。
が、逆に、あえて部分的に極端に耳を吊らせて
織り幅を縮めてしまう、なんていう「織りワザ」も、
さをり織りでは楽しんだりするのです。
あえて耳を吊らせたり、飛び出させたりすることで、
耳のデコボコした、織り幅の変化する、
面白い作品が織れるのです。
そして、タテ糸の密度に関しても、
さをり織りでは全く違う発想をします。
時に抜いたり、足したり、自由な発想で密度を変化させます。
でも、それらの面白い「織りワザ」たちは、
先のHandwovenの編集者さんにとっては「あり得ないこと」な訳です。
そしてそれは、世界中の多くの手織り愛好家にとっても同じです。
彼らには、さをり織りの発想はさぞ挑戦的に映っていることでしょう。
そんなことを考えるにつけ、
『Handwoven』にさをり織りの特集記事が載った