“散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています
※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります
史実とは異なる創作の部分があります
第47話 仮面の正体
(陛下 アユが皇太子になった今 陛下はもう用済みです)
(ど…どういう意味だ! その矢を下ろすのだ!!!)
(亡き父と ワン・ユ殿の敵!!!)
(やめてくれーーーっ!!!)
タファンの悪夢の中に 今度は皇太后が現れる
(なんて無様なお姿なのです陛下!
あれほど申し上げました 玉座とは 肉親同士が殺し合う修羅場!)
(やめよ! やめるのだ…!)
(今度は陛下が! キ・ヤンに殺される番です…!!!)
(やめるのだヤン!弓を下ろせ! …皇太后様 もうおやめください!!!)
うなされるタファンを起こしたのは 貴妃キ・ヤン
タファンは 夢と現実の区別がつかず 狂気のままヤンの首を絞めた!
やがて正気を取り戻すと ようやくその手を放しヤンを解放する
そこへ 侍従コルタが慌てて駆け込んでくる
長官たちが 丞相ペガンの罷免を求めて集まっているのだと…!
キ・ヤンに付き添われ 大明殿に向かうタファン
皇后であったバヤンフトは マハ皇子を殺そうとし キ・ヤンを陥れようとした
明らかに権力を狙った愚行は謀反に値するという
当然 姪であるバヤンフトを皇后に推したペガンも 罪に問うべきだと!
丞相ペガンは “皇帝の分身”という地位を与えられていた
謀反の企て以外には どのような罪にも問わぬとまで!
しかし今 姪の謀反相当の罪に加担したとみなされ 罷免を求められているのだ
外には 玉璽と同等であるとして賜った印章を差し出し ペガンがひれ伏している
すべての臣下が丞相の罷免を要求したが タファンはこれを退けた
タファンに寄り添いながら じっと目を閉じるキ・ヤン
ペガンを排除する絶好の機会は タファンにより奪われてしまった…
騒動が収まり ペガンは キ・ヤンと対峙する
すべての臣下を意のままに操るとは… まったく大したお方だというペガン
しかし公然の場で 当然裁かれるべき罪から逃れた丞相こそ… というキ・ヤン
『この私まで排除されれば 天下はヤン様の独壇場!』
『この私と闘うと?』
『わたしにかなうとお思いで?』
『たとえ勝てずとも 闘うしかありません』
善業寺では
マハが 体の不調をおして祈りを捧げていた
そのあまりに痛々しい姿に ソ尚宮は もうおやめくださいと涙ぐむ
その善業寺の境内に ワン・ユが現れた
マハが キ・ヤン皇子様と自分との間に授かった我が子と知り 来ずにはいられなかった
ヤンの立場を考えれば やはりワン・ユも父として名乗ることは許されない
祈り続けるマハの隣に立ち 皇帝の子でなければ生きられぬのかと問う
親が誰であれ マハはマハ自身であると…
『たとえ皇子であろうと 相応しき人格者でなければ国が滅びる
市井の民の子に産まれても 偉大な人物ならば国を成す』
『私への哀れみから そのようなことを言うのですか』
『同情されたくなければ 堂々としていることだ』
ヤン様のためにも どうか父だと名乗るのはおやめに…というシヌ
しかし ワン・ユはいずれマハを高麗(コリョ)に連れ帰り 真実を話すという
高麗(コリョ)でならば マハ様に危険も及ばないと納得するシヌとムソンだった
この会話を 偶然通りかかったソ尚宮が聞いていた…!
皇帝タファンは 女たちをはべらせ 再び酒に溺れる日々を送っていた
早急に決定しなければいけない事項について 裁断を仰ぐペガン
しかしタファンは 玉璽そのものをタファンに渡し すべてを任せるという
もはや キ・ヤンのお小言など聞くつもりはない
ペガンとキ・ヤンの闘いは 闘いの土俵にも立てない状況であった
ペガンは その人となりを無視し キ・ヤン側の人間を次々と排除していく
その能力ではなく “忠誠心”を重んじるというペガンは タルタルの諫言も無視する
『私の言葉は 即ち陛下の言葉である!
この玉璽を見よ! 私の意思こそが陛下のご意思なのだ!!!
太師!太保!太傳をはじめ キ・ヤン側の者はすべて排除する!!!』
キ・ヤンがどう抗議しようと ペガンを止められる者は存在しない
賜った玉璽と印章があれば 恐れるものは何ひとつなかった
『この国はヤン様のものですか! この国は私と私の民 モンゴル人のものだ!』
『私は皇帝の側室! この国の貴妃です!』
『しかし高麗(コリョ)の者だ!!! この国の“よそ者”はすべて排除する!』
『それでは… 皇太子のことも“高麗(コリョ)の者”とお考えですか?
いずれ皇帝の座に就く皇太子の… 母であると知っての暴言ですか?』
同じ時 タファンはアユ皇子に 強くあらねばならぬと言い聞かせていた
馬を駆り 剣を取り 天下に力を鼓舞する者でなければと…
『父上 母上は徳をもって国を治めるべきと言います』
『徳を施すには力が無ければならぬ!
強くならねば 高麗(コリョ)をはじめとする隣国に攻め入られてしまうぞ!』
『高麗(コリョ)は 母上の故郷です』
『……母上が 故郷と?』
『母上ではなく 女官たちに聞きました
私が皇帝になれば 高麗(コリョ)の者たちが喜ぶと…』
『やめよ!!! 二度と高麗(コリョ)のことを口にするでない!!!』
タファンの剣幕に驚き アユ皇子は泣き出してしまう
そこへ現れたキ・ヤンの方へ駆け寄り 顔を埋めて泣きじゃくる
『皇太子を外へ!』
キ・ヤンは 丞相の横暴を止めてほしいと懇願する
しかしタファンは 自分の味方を失うのがそんなに怖いのかと答えた
政務に口を出すことより 皇太子の教育に専念しろと
そして皇太子に 二度と高麗(コリョ)のことを話してはならぬと…!
『陛下も… 私を“高麗(コリョ)の者”と思っているのですね』
『そうではない そなたが政務に関わると揉め事が絶えない 自重してくれ!』
『私は国のためを思って…』
『国のためを思いワン・ユを生かしたのか!
そなたは 私の目の前でワン・ユを助けた』
『陛下…』
『とにかく! 政務にはもう関わるな』
メバクの頭は ヨム・ビョンスとチョチャムに ペガンに会えと命じた
会えば即刻殺される!と怯える2人
頭は 2人に文書を渡し それがあれば殺されるどころか信頼を得られるという
信じがたいことではあるが 2人は命令の通りに動くしかなかった
手下を下がらせ 仮面を取る頭
その素顔は… あの侍従コルタであった!!!
『どうやら皇帝の心は完全にキ・ヤンから離れたようだ
闘いの勝者はペガンになるだろう 勝者が誰であれ我々は その力の恩恵を受けるまで』
ビョンスとチョチャムは “メバクの使い”として 丞相ペガンに謁見する
今にも斬り殺されそうになりながら ビョンスは文書を渡した
メバクは かつての丞相ヨンチョルを陰で支えた商団である
高麗(コリョ)の商団を排除してくれれば 今後はペガンを支えるという申し出であった
市場では 高麗(コリョ)の商人らの店が徹底的に襲われた
群衆に紛れ その惨状を目の当たりにするワン・ユ
いずれは高麗(コリョ)の商団が襲われるだろう
キ・ヤンに救いを求めようにも もはや同盟は崩れ去っていた
ワン・ユは かつてヨンビスの部下であったスリに連絡を取る
ビョンスにより潰された店は 今後メバクが管理することとなる
没収された財産は すべてペガンの軍資金となるのだ
このペガンの暴挙に ただひとり異を唱えるタルタル!
商いを潰されたら国の財政が疲弊し やがて国が破綻すると抗議するが
今のペガンには 正論が通じる筈もない
あれほどまでに信頼していたタルタルの首に 剣を突きつけるペガン!
タルタルは 絶対に間違っていると知りつつ 言いなりになるしかない
捕えられた商人たちは 顔に焼き印が押され二度と元で商売をすることは出来ない
そこへ駆けつけたキ・ヤンが 何て惨いことを!!!と抗議する
ペガンの側近でありながら 陰でキ・ヤンを助けていたタルタルが
まさかこのような暴挙に加担するとは…!
タルタルは キ・ヤンに ペガンとの闘いはやめるべきだと諭す
やめなければこれまで築いてきたものすべて そればかりか命も失ってしまうと!
キ・ヤンは たとえ殺されようとも闘い続けると言い放った…!
善業寺に 再びワン・ユが訪れる
憔悴したマハは あの時と変わらず健気に祈り続けている
自分を生んでくれた両親が すでに亡くなっているならその冥福を
今も存命なら… 一度でいいから会いたいと願い 祈り続けるマハであった
『ワン・ユ殿は 何を祈りにこちらへ?』
『そなたの願いが叶うよう祈っている』
ソ尚宮は この2人が父と息子であると知ってしまった
なぜ何度も ワン・ユが会いに来るのかという理由を…!
ある日 貴妃キ・ヤンは 嘘の誘いでタファンを城外へ連れ出す
沿道には 飢え死にした者たちが埋葬する者もなく転がっていた
その光景を見せたい一心で ヤンはタファンを連れ出したのだ
ペガンの暴挙を止めねば さらに状況が悪くなると訴えるヤン
『救済米を買うお金は ワン・ユ殿が出していました』
『な…何?!』
『陛下が民の恨みを買わぬよう尽力していたのです
この民の視線に気づきませんか? 皆 陛下を恨み始めています』
群衆の中に タファンははっきりとワン・ユの姿を見た
また幻影が?というヤン
民の鋭い視線と ワン・ユの薄笑いが あの悪夢と重なりタファンを苦しめる
頭を抱え悶え苦しみながら タファンは落馬し意識を失う…!
善業寺では
祈り続けるマハが とうとう力尽き意識を失ってしまう
その病状をみたパク・ブルファは ソ尚宮に暇を出した
もう世話をする必要はなくなりそうだと…
ワン・ユは マハを高麗(コリョ)へ連れ帰ろうと輿を用意させていた
いよいよマハに真実を告げ 父として接することが出来ると…
しかしマハを迎えに行ったシヌは マハの亡骸と対面することとなる
マハは 自分の出生を知らないまま その短い生涯を終えたのである
パク・ブルファは マハの順調な回復を知らせにキ・ヤンのもとへ
ワン・ユの命により マハが亡くなった事実は伏せられた
『ヤン様はもう十分に傷ついた これ以上苦しめてはならぬ』
トクマンからキ・ヤンへ “皇太后と丞相に用心すべし”との伝言があった
皇太后は 皇帝が意識を取り戻す前に キ・ヤンを排除するつもりなのだ
亀裂が入ったとはいえ 貴妃キ・ヤンの後ろ盾は今も皇帝タファンである
その皇帝が存命の今 意識を失い無力な今こそが好機であると!!!
『謀反の罪を着せましょう』
『謀反?』
『皇帝の病中 キ・ヤンが皇位を狙って挙兵したと…!
我らは“逆賊”を始末し 回復した陛下に報告すればよいのです』
キ・ヤンは トクマンの報告を受け すぐさま臣下たちを大明殿に召集する
そして皇太后が手を下す前に 自らが“摂政”に!!!
皇太后とペガンが駆けつけると 玉座には 皇太子アユとキ・ヤンが座っていた
『これは何事ですか?!!!』
『陛下が病に倒れたのです 皇太子が代理を務めて何が悪いと?』
まだ幼い皇太子のため 母親であるキ・ヤンが摂政を行うのは当然のこと
臣下の誰もが 口を揃えて支持を表明した
『すべては法と手順に従っています』
『国の一大事に法も手順もあるか!!!』
『そうやって 法と手順を無視し暴政を敷いて来たのですね』
『そなたごときが摂政になるなど!!!』
『皇太后様 皇帝の命に背くのですか 罪に問いますよ』
こうなっては 皇太后とペガンは口出しできない
キ・ヤンは 国の財政を管理出来なかった皇太后に全責任を問う
『皇太后様から印章を剥奪せよ! 後任にはトクマン殿を』
『宦官ごときに財政を管理させるのですか!』
キ・ヤンは 皇太后の反論を一切無視した
さらには 都と宮中の軍権を パク・ブルファに一任する
トクマンもブルファも 宦官であり“高麗(コリョ)の者”である
さすがに長官たちも 聞かされていなかった人事に動揺を見せ始めるが
顔色ひとつ変えず ペガンにも玉璽と印章の返還を求めるキ・ヤンであった
『丞相は 過分な権力を与えられて暴走したのです
丞相ごときが持つものではありません!』
トクマンが 皇太后殿より 印章の返還を受ける
そして鎧を身にまとったパク・ブルファが ペガンより玉璽と印章を受け取った
この闘いは 狩りのようなものだというタルタル
先に見つけて仕留めた者が勝っただけだと
『一歩出遅れていれば ヤン様が追い出されていました』
『では 陛下が目覚める前に“狩り”を終えねば 私の申し出をお受けください』
『書庫で「孫子兵法」を見つけてください 返事はそこに』
キ・ヤンは ブルファと共に書庫へ向かう
表紙に「孫子兵法」と書かれた書物には ペガンの側近らの不正が詳細に記されていた
しかし ペガンの不正については何も書かれていない
『タルタル殿は やはり丞相だけは庇ったのでしょうか』
『潔白ということでしょう 振舞いは乱暴だが 昔から不正は嫌う』
不正を行った者たちへの処罰は 皇太子の誕生日に行うというキ・ヤン
そして皇帝タファンを興徳殿に移し ホン尚宮に世話をさせよと
皇太子アユルシリダラの誕生日
キ・ヤンは 不正を働いたペガンの腹心らを大明殿に召集する
それぞれに渡された器には 汲んだばかりの水が入っていた
我々をバカにしているのか!と憤るペガン
この財政難に 皇太子の誕生日といえど贅沢は許されぬ
そう言われてしまえば 何の反論も出来ない
次にキ・ヤンは 例の本を取り出し 不正の内容を1つずつ読み上げた
心当たりのある者の表情が 次第に蒼褪めていく
器には毒が入っていると言われ 思わず器を落としそうになる者もいた
『無実の者はその水を飲み干しなさい
無実の者を死なせた私は その罪滅ぼしにこの座から下りる
但し その水を飲まなければ 罪を認めたとして断罪に処す!』
ペガンは キ・ヤンを退かせたい思いで一気に水を飲み干す!
しかし他の者たちは 誰ひとりとして飲む者はいなかった
ニヤリと笑うキ・ヤン
元々 どの器にも毒など入っていない
何っ!!!といきり立つペガン
キ・ヤンの命令により ペガンとタルタル以外の者たちは全員が捕えられた
同じ時
皇帝タファンの寝所に ソ尚宮の姿があった
侍従コルタが 今は謁見出来る状態ではないと断るが…
そこへ 意識を取り戻したタファンが 中へ通せと命ずる
『陛下に大事なお話が…!』
『何だ… 申して… みよ』
『陛下… マハ様は…!』