“散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています
※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります
史実とは異なる創作の部分があります
第44話 皇帝の分身
『すべてはあいつの仕業だ!』
『ワン・ユと共謀したキ・ヤンは裏切り者だ!』
ヨム・ビョンスとチョチャムが 群衆の中から叫び民の怒りを煽る!
キ・ヤンは 皇太后と丞相ペガンの策略だと確信するが…
『この状況で私に味方する者は?』
『太師 太保 太傅の三公 そして主要な長官らも!
さらには軍の次官 地方の武将たちもいます!』
『たとえ時期尚早だとしてもやるしかない』
同じ時 タファンもまたヤンを救おうと考えていた
ワン・ユが到着したその時 有無を言わさず斬るしかないと…!
タファンが剣を振り下ろそうとしたその時!
ワン・ユを守るように前に進み出たのは ムソンとシヌだった
将軍タルタルもまた 今はまだ殺してはならないと進言する
駆けつけたキ・ヤンは 無理を承知で殺すべきではないと叫ぶ…!
『陛下 お待ちください!』
意外にも タファンの剣を下ろさせたのは 皇太后の嘆願であった
黒幕の正体を明かさずして殺すわけにはいかぬと…!
『その黒幕が私だと言いたいのですか?』
『それは私でなく民の思いだ!』
『陛下!私が疑われています!事の真相を明らかにしてください!
高麗(コリョ)王の処罰はその後に!!!』
タファンには ヤンがワン・ユをかばっているようにしか見えない
しかし… ヤンへの疑いは晴らしたい
『陛下 なぜ私を疑うのですか』
それは密書のせいだと… タファンは明かすことが出来ない
ならば自分で疑いを晴らすというキ・ヤン
去っていくヤンに タファンは成す術もない…!
またしても酒の力を借りようとするタファン
しかし 酒は断つと約束した
ヤンの心が離れていきそうで タファンは用意させた酒を片付けさせる
ワン・ユを尋問するペガン
誰の協力でこのようなことをしたのか
しかしワン・ユは やってもいないことに協力者などいないと答える
拷問してでも口を割らせたいペガンだが 皇太后がそれを止める
ペガンらを下がらせ ワン・ユと一対一で向き合う皇太后
『もともとこの征服戦争には無理があった そなたの行動は理解できる』
『何を仰りたいので?』
『そなたのことは許す しかし協力者の存在をそのままには出来ぬ
キ・ヤンの協力を認めれば廃位にはしない それが王座を守る唯一の道…!
あの者をかばう理由が? 私と手を組み取引をするのです』
『これは取引ではなく 皇太后様の謀りごとでは?』
『死を前にすれば考えも変わるでしょう その時を待つとしましょう』
キ・ヤンは 長官らに協力を求めるが…
高麗(コリョ)王をかばうことは得策ではないとの声が上がる
保身のためには高麗(コリョ)王を見捨てるしかないと…!
『それは 私を見捨てるという意味ですか!』
ここで 皇室には重大な秘密がある…と切り出すキ・ヤン
マハ皇子が 皇帝の実子ではないという秘密を今こそ明かしたのだ!
『マハ皇子はタナシルリが拾った子であり その証拠と証人は私の手にある
私がなぜ皆さんの後ろ盾になり なぜ皆さんは大金を手に出来たのでしょう
それは私の息子アユルシリダラが皇帝になった時 皆さんの忠誠を望むからです!
今こそ協力してほしいのです! これは頼みごとではなく…命令です!!!』
長官らは 困惑の表情から納得せざるを得ないという表情に変わっていく
今後はキ・ヤンの協力者ではなく キ・ヤンの命令で動く臣下に…!
惨い拷問が行われている牢獄へ向かい ワン・ユの助命嘆願をする長官たち
高麗(コリョ)の高官キム・スンジョより 帳簿はすべて偽物だとの密書が届いたと!
『陛下 その真偽は本人に聞くべきかと!』
『直ちにキム・スンジョを召喚すべきです!』
キ・ヤンの言葉に蒼褪める皇太后とペガン
長官のみならず 高官から軍の武将 隅々の役人まで
キ・ヤンに賛同し ワン・ユを無罪放免にと願い出ているのだ
皇帝タファンは キム・スンジョが到着するまでワン・ユを拘束せよと命じた
そして再び真偽を問うまで 水の一滴たりとも与えてはならぬと!!!
惨い拷問を受けたワン・ユが 命を長らえることが出来るのか…!
タファンは これが自分に出来うるギリギリの恩情だと言い放つ
果たして召喚されたキム・スンジョは秘密を守れるのか…
もしや既に キ・ヤン側へ寝返っているのでは…?
忌々しさを通り越し 皇太后はキ・ヤンに対し恐怖さえ感じていた
ペガンは 召喚される前にキム・スンジョを抹殺すると息巻く!
いつの間にか長官らを取り込んでいたヤンに 不快感を示すタファン
しかしヤンは アユの将来のためだと懇願する
母親が高麗(コリョ)出身だと 肩身の狭い思いをせぬように
ただただ息子を思ってしたことだと 浅はかな母性を主張するキ・ヤン
タファンは もう何も言うなとヤンを下がらせる
愚かな母心と言い張るが それでもこれだけの臣下を従わせられる
皇帝の座にいながら 何一つ思い通りにならない自分に比べ
国を動かすほどの影響力を見せつけたヤン
あれほど断つと誓った酒に 再び溺れるタファンであった
キ・ヤンは キム・スンジョ召喚に際し ヨンビスに密命を下す
行列は 高らかにキム・スンジョを乗せていることを謳い行進していく
ペガンの手下が猛毒の矢でこれを狙い あっけなく死んでしまうキム・スンジョ
『あの刺客は丞相の手の者だというのですか!』
『すべてペガンの腹心たち!』
『なぜ私が丞相に殺されねばならぬのだ!』
囮を立てたからこそ命を守れた
抹殺しようとしたペガンではなく 守ろうとしたキ・ヤン様を信じるべきと
ヨンビスは 囮の死に様を見せつけながらキム・スンジョを説得していく
ワン・ユたちは 一滴の水も与えられず意識さえ朦朧とし始めていた
そこへ現れたのは 意外にもマハ皇子である
水を与えられ感謝の言葉を述べるワン・ユに マハは…
『まだ死んでもらっては困る!死ぬのはキ・ヤンを捕えてからだ!』
『皇太后の指示なのだな!謀で真実を隠すことは出来ぬ!
母の敵を討ちたいなら 皇帝も皇太后も!ペガンとその臣下も殺すことだ!』
これ以上聞かせてはならぬと チャン・スニョンが立ち去ろうと促す
『ワン・ユは何を言っている!』
『お気になさいますな!』
怯える表情でワン・ユを見つめるマハ
ワン・ユが 真実の核心に触れようとしたその時!
皇太后が現れ マハを下がらせるよう命じた
『せっかく機会を与えたのに そなたは無駄にしたな!』
丞相ペガンが 皇帝にキム・スンジョの死を伝える
これでワン・ユを生かしておく理由はなくなったと
酒におぼれ酩酊状態のタファンは 民の前で奴を殺せと命じる…!
キ・ヤンは ヨンビスからの報告がないことに焦りだす
しかし キム・スンジョの死亡が報告されたならば間もなく知らせがあるに違いない
ブルファは 焦るキ・ヤンを鎮めるように希望の言葉を口にする
皇太后は ワン・ユの処刑に群がる民の中に手の者を配し
キ・ヤンも仲間だと叫ばせる そして処刑すべきはキ・ヤンだと煽っていく…!
タファンは ワン・ユさえ亡き者にすればヤンの心を得られると思っていた
しかし… キ・ヤンを殺せ!と叫ぶ群衆を前に成す術もない
その時!
『キ・ヤン様は救済米をくれたぞ!』
『我らは命を助けられた!』
『キ・ヤン様 万歳!!!』
なぜ秘密裏に行ったことを民が知っているのか…
それはキ・ヤンにもブルファにも分からない
心当たりがあるとすれば…
ヤンは 離れて立つ将軍タルタルの方へ視線を移す
キ・ヤンへの罵声は消えたが ワン・ユは処刑台へと引き摺り出された
ワン・ユの視界には ヤンの姿もヨンビスの姿も見えない
『まずは私から殺せーーー!』
『次は私を!!!』
パン・シヌとチェ・ムソンは 少しでもワン・ユの処刑を遅らせようと叫ぶ
たとえ自分たちが死んでも 最後の望みがあるうちはワン・ユを生かしたいと…!
首に縄をかけられ シヌは恐怖に打ち震える
しかし ワン・ユを救いたいという思いには 我が身の命さえ捨てられる覚悟があった
踏み台が外され苦しさに喘ぐパン・シヌ!
白目をむき意識が無くなろうとしたその瞬間 キ・ヤンが矢を放ち縄を切る!
『何をするのだ!』
『今すぐ斬り殺せ!!!』
ペガンの叫びを無視し キ・ヤンは皇帝の前に進み出る
『たった今 キム・スンジョが到着しました』
『何っ?!!! キム・スンジョは死んだのでは?!』
マクセンに護衛され 群衆をかき分けて現れたキム・スンジョ
さらにキ・ヤンは 丞相ペガンがスンジョに宛てた密書を差し出す…!
『密書には 偽の帳簿を作り高麗(コリョ)王の廃位を上奏せよと書かれています!』
蒼白になるペガン
うろたえる皇太后
しかしタファンは…
自分をあざ笑うワン・ユの幻影に怯えだし ワン・ユを殺せと絶叫する
すべてはペガンの謀だったと すべての民衆が知ってしまった
無実の高麗(コリョ)王をこの場で殺せば 民心がタファンを許さない
キ・ヤンは 泥酔状態のタファンを早く中へ!と命ずる
しばらくして 眠りから目覚めたタファンの枕元にはペガンが付き添っていた
『確かに 私は愚かな真似をしました
しかし誰よりワン・ユの死を望んでいたのは 陛下ご自身では?
あの者を殺せていれば 少しでも陛下のご心労を減らせていたものを…』
すべては陛下のために…
その言葉で ペガンは皇帝の心を掴む
しかし 民の知るところとなった罪に対し 処罰しないわけにはいかなかった
一方 ワン・ユの処遇は
ひとつの悪事がペガンの謀だったとしても すべての罪が許されるわけではなかった
元と交流のある臣下を排除し 貢女(コンニョ)や援軍を拒んだことは重罪に値する
これによりワン・ユには 辺境への流罪とする処分が言い渡された
※貢女(コンニョ):高麗(コリョ)は元への貢ぎ物とした女性
謹んで命令書を受け取りながらも ワン・ユはペガンも処罰されるべきだと訴える
承知しているという表情で タファンはペガンを傍らに呼ぶ
コルタに持って来させたのは 1つの印章であった
『今後 重要な書類には玉璽と共にこの印象が押されることになる
また我が国に危機が及べば この印章が玉璽と同等の効力を成す
丞相ペガン この印章を受け取れ!』
その場に居合わせるすべての者が驚き どよめきが広がる
皇太后にも知らされていなかった決定であり ペガン自身も呆然としている
『謀反の企て以外には どのような罪にも問わない
朕の他には 誰も丞相の権限を超えることは出来ぬ!
まさにそなたは 朕の分身そのもである!!!』
ペガンは タファンの父親に取り立てられ武将となることが出来た
その恩義により 丞相ヨンチョルに虐げられるタファンを ずっと守ってきたのだ
その事実を知ったタファンは ペガンの忠誠心に応える形で“分身”としたのだった
牢獄のワン・ユは ムソンとシヌに高麗(コリョ)へ帰るよう命じるが
2人は涙ながらに 流刑地へお供すると訴える
そこへ キ・ヤンが会いに来る
『私を消そうとする皇太后とペガンが ワン・ユ殿を巻き添えに…!』
『強大な力を与えられたペガンが何をするか… ヤン様のことが心配です』
『もっと力をつけ 必ずワン・ユ殿を放免いたします!』
自分こそ謝らねば… と目を伏せるワン・ユ
まさか… と全てを悟り 怒りをあらわにするキ・ヤン…!
ワン・ユが 敵国に硫黄と硝石を売っていたのは事実だったのだ
『この戦は 決して元が勝ってはならなかった』
『だからと言って!!! 私は元の国の皇帝の側室だとお忘れですか!
…もはや同盟は結べません! 終わりです!!!』
キ・ヤンは 虚しさに涙を滲ませる
一体自分はどの国の人間なのだろう
元の者にもなり切れず 今や高麗(コリョ)の者でもない
トクマンによれば 我らはもう自らの力で身を守るしかない存在なのだという
ブルファの言葉を聞き ハラハラと涙を流すキ・ヤンであった
丞相ペガンは ワン・ユの移送を将軍タルタルに命じた
そして自らは途中の山中で待ち伏せ ワン・ユを亡き者にするという…!
『それは皇命なのですか?』
『陛下には始末してから報告すればよい!』
『しかしそれでは…!』
『案ずるな 陛下の望みを叶えるだけだ』
ワン・ユを待ち伏せているのはペガンだけではなかった
タンギセもまた 今こそ敵を討とうとワン・ユを待ち構えていた
ペガンは ワン・ユを亡き者にしようとするが 一方的に命を奪うのではなく
剣を握らせ 同じ武将として 同等に戦い命を奪う選択をした
闘う2人を襲ったのは タンギセの一団だった
共に矢を受け ペガンはタルタルに援護されて退却!
ワン・ユは重症の傷を負いながら山中に倒れているところを ヨンビスらに発見される
執拗に追いかけてくるタンギセの一団!
チョンバギは自ら囮となって敵を引き付ける!
ヨンビスは 瀕死のワン・ユを抱き締めながら死なないで!と泣き叫ぶのだった
同じ時
皇帝タファンは 皇后バヤンフトと側室たちを招き宴を開いていた
そこへ 招かれていないキ・ヤンが現れる
酒を断つと約束したことを持ち出すと タファンは冷たく拒絶した
あんなにも寵愛していたキ・ヤンが これほど冷たくされることはなかった
他の誰かへ寵愛がうつったわけではない
これほどの寵愛も これほどの冷たい仕打ちも 他の側室たちは経験がない
それは 皇后バヤンフトにとっても同じことである
皇帝タファンの心には 良くも悪くもキ・ヤンしか存在していないのであった
皆の前で冷たく追い返されたキ・ヤンは 放心して居所へ向かう
すると目の前に ここにいるはずのない将軍タルタルが立っている…!
『将軍 流刑地に向かわれたのでは? そのお顔の傷は?』
『……』
『…ワン・ユ殿の身に何か?!』
『ワン・ユ殿は… 死にました』
『え? 今なんと? 死んだ…のですか?』
『……』
『誰が… 一体誰がワン・ユ殿を殺したのですか!!!』