津波被災地は多くが水産業です。水産業はとる人、冷凍設備、漁船修理屋さん、加工業、それらを売る営業関連者などが集積して初めて機能します。一社だけが立ち上がっても操業できる、フル稼働できるものではありません。ここが復旧、復興との関係で難しい点となってます。また、時間がかかる要因ともなっています。地域の復旧、復興が歩調をあわせて進む必要がある要因です。
<被災地の水産加工復旧遅れ 安定雇用>
東日本大震災で被害が大きかった岩手、宮城、福島3県の沿岸部で、雇用を支えていた地域企業の再建が遅れている。代表的なのが中小企業が多い水産加工業。地盤沈下などで団地被害が大きいことに加え、自社の設備復旧も多くは国の補助金待ちだった。事業を再開した企業も、大半は生産水準が震災前に戻っていない。安定雇用の受け皿となるには、まだ時間がかかりそうだ。
<再開企業わずか>
「石巻漁港周辺の水産加工業は、石巻市の産業の生命線の一つだが、操業を再開できた企業はまだ少ない」。石巻商工会議所の高橋武徳専務理事の話。
石巻市によると、漁港周辺の水産関連は約200社を数える。約5000人の雇用を生んでいたが、大津波で壊滅的な被害を受けた。1月末の調査で事業再開を確認できた企業は、約4分の1にとどまる。
多くの企業が期待していたのは、設備などの復旧費用の最大4分の3を補助する国の「グループ化補助金」。昨年12月下旬、石巻市の水産関連約200社にもようやく総額約370億円の交付が決定。
<事業規模を縮小>
順調に復旧作業が進んだとしても、安定した雇用にすぐ結び付くかどうかは不透明だ。
「解雇した従業員全てを戻したいが、そうはいかないのが現実だ」。グループ化補助金で、約7000万円の交付が決まった山徳平塚水産(石巻市)の平塚隆一郎社長は、打ち明ける。
石巻漁港に水揚げされる魚で、練り製品などを生産していた工場は、津波で全壊。正社員23人、パート社員7人は全員解雇せざるを得なかった。
ことし9月を目標に工場を改修し、自社生産を再開させるが、復旧させる製造ラインは当面1ラインだけ。震災前の6分の1だ。
「再雇用できるのは、事務職を含め正社員十数人が限度だろう」と平塚社長。取引があった近隣の水産会社が、原料となるすり身の生産再開を見合わせており、震災前と同様の生産規模に戻すことは難しいという。
水産関連産業は冷凍・冷蔵、加工、残さい処理など、さまざまな業種が集積して成り立つ。業界全体が歩調を合わせて復旧しなければ、本格再建につながらない難しさがある。
<従業員集め苦労>
操業再開にこぎ着けても、従業員集めに苦労する企業も少なくない。
昨年9月、サンマのかば焼きなどの生産を再開した山田水産石巻事業所。昨年7月からパート社員約10人を募集しているが、応募はほとんどない。大手量販店の協力もあって売り上げは前年より約10%伸びている。新たな販売手法も計画しているが、人手不足で踏み切れない。
岡田賢二所長は「車が流されたりして、通勤できない人が多いのか。長期的な雇用を想定しており、やみくもに時給を上げるわけにはいかない」と戸惑いを隠せない。
求職者が多いとみられる水産加工業の一部でも顕在化する採用難。崩れた需給バランスを戻すのは容易でない。
国と各県は今月、要件を満たす被災地の企業が被災者を1年以上雇用する場合、1人当たり最大で3年間225万円を助成する対策事業を始める。賃金アップなどの待遇改善につながれば、安定雇用確保にも役立つと期待されている。
<被災地の水産加工復旧遅れ 安定雇用>
東日本大震災で被害が大きかった岩手、宮城、福島3県の沿岸部で、雇用を支えていた地域企業の再建が遅れている。代表的なのが中小企業が多い水産加工業。地盤沈下などで団地被害が大きいことに加え、自社の設備復旧も多くは国の補助金待ちだった。事業を再開した企業も、大半は生産水準が震災前に戻っていない。安定雇用の受け皿となるには、まだ時間がかかりそうだ。
<再開企業わずか>
「石巻漁港周辺の水産加工業は、石巻市の産業の生命線の一つだが、操業を再開できた企業はまだ少ない」。石巻商工会議所の高橋武徳専務理事の話。
石巻市によると、漁港周辺の水産関連は約200社を数える。約5000人の雇用を生んでいたが、大津波で壊滅的な被害を受けた。1月末の調査で事業再開を確認できた企業は、約4分の1にとどまる。
多くの企業が期待していたのは、設備などの復旧費用の最大4分の3を補助する国の「グループ化補助金」。昨年12月下旬、石巻市の水産関連約200社にもようやく総額約370億円の交付が決定。
<事業規模を縮小>
順調に復旧作業が進んだとしても、安定した雇用にすぐ結び付くかどうかは不透明だ。
「解雇した従業員全てを戻したいが、そうはいかないのが現実だ」。グループ化補助金で、約7000万円の交付が決まった山徳平塚水産(石巻市)の平塚隆一郎社長は、打ち明ける。
石巻漁港に水揚げされる魚で、練り製品などを生産していた工場は、津波で全壊。正社員23人、パート社員7人は全員解雇せざるを得なかった。
ことし9月を目標に工場を改修し、自社生産を再開させるが、復旧させる製造ラインは当面1ラインだけ。震災前の6分の1だ。
「再雇用できるのは、事務職を含め正社員十数人が限度だろう」と平塚社長。取引があった近隣の水産会社が、原料となるすり身の生産再開を見合わせており、震災前と同様の生産規模に戻すことは難しいという。
水産関連産業は冷凍・冷蔵、加工、残さい処理など、さまざまな業種が集積して成り立つ。業界全体が歩調を合わせて復旧しなければ、本格再建につながらない難しさがある。
<従業員集め苦労>
操業再開にこぎ着けても、従業員集めに苦労する企業も少なくない。
昨年9月、サンマのかば焼きなどの生産を再開した山田水産石巻事業所。昨年7月からパート社員約10人を募集しているが、応募はほとんどない。大手量販店の協力もあって売り上げは前年より約10%伸びている。新たな販売手法も計画しているが、人手不足で踏み切れない。
岡田賢二所長は「車が流されたりして、通勤できない人が多いのか。長期的な雇用を想定しており、やみくもに時給を上げるわけにはいかない」と戸惑いを隠せない。
求職者が多いとみられる水産加工業の一部でも顕在化する採用難。崩れた需給バランスを戻すのは容易でない。
国と各県は今月、要件を満たす被災地の企業が被災者を1年以上雇用する場合、1人当たり最大で3年間225万円を助成する対策事業を始める。賃金アップなどの待遇改善につながれば、安定雇用確保にも役立つと期待されている。