“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

アメリカ 黄昏の帝国

2012年04月29日 10時42分49秒 | 臼蔵の呟き
筑波大学 進藤榮一教授が書いた本があります。その中に、レーガン大統領(1980年代)の政治改革について分析されています。

当時のアメリカは、石油危機(2度)で一次産品の急騰、それらによるインフレ、それに連動した社会福祉拡充と財政赤字、労働生産性の低下と成長率低下、国民所得の伸びが鈍化しました。その結果として、財政、貿易収支の赤字、失業率の増大が時代背景としてありました。1970年代初めは1バーレル10ドル以下、1979年イラン革命で4倍に上昇し、30ドルを超えました。(現在は、90~100ドル)
OPECによる価格決定、ベトナム戦争敗退、地域紛争の激化などがアメリカの政治経済の衰退をもたらしました。そこでレーガン大統領は、「共産主義の脅威(ベトナム戦争の敗退、地域紛争の原因をそう見た)によってもたらされたものと見立て」解決策として「アメリカの軍事力増強」「巨大資本と富裕層へのてこ入れ」することで「強いアメリカ国家」を復権しようと考えました。他方で、社会福祉コストの削減、規制緩和を進めることで、効率的で競争力ある「安価な政府」を実現しようとしました。
高すぎる税率が、労働と資本の供給を阻害し、財政赤字の原因となる。それゆえ減税と、減税が生み出す労働と資本の供給――こそが、停滞する国民経済を活性化することが出来る。国民経済の活性化は、減税と財政支出の削減と、自由な民間活動によるべきである。これがレーガン、政権中枢、新自由主義経済学者の対策、考え方でした。このような単純な考え方がアメリカ国民の心を捉え、支持されました。分かりやすかったことが大きな理由とも言われています。

日本の政治経済の閉塞状況、その打開策がこのレーガン政権が行った政策によく似ています。所得税率の最高税率の引き下げ、法人税率の引き下げ、投資、株式収入税率の引き下げ、消費税率を含む社会保障費の税率引き上げ、定率化、軍事費の聖域化と相対的構成比の増加、規制緩和の推進です。その結果、一部富裕層に富が集中し、中間層の没落、急激な貧困化の進行でした。
一部富裕層は収入の約半分は投資、株式配当であり、中間層、低所得者とは収入構造がまったく違っています。したがって、所得税率、消費税率などは彼らの資産形成にはまったく、影響を与えませんでした。そのことが一部の富裕層に富が極端に偏ってゆく要因なりました。これは、現在のアメリカ、日本に共通する税制改正、政策の結果としてもたらされています。これらが、国民の政治経済運営に対する不満、不平等感へとつながっています。

国民目線で安全も報道して

2012年04月29日 06時00分12秒 | 蜂助の呟き
こんにちは。蜂助です。

毎日新聞の生活報道部編集員の小島正美さんは「誤解だらけの放射能ニュース」という本の中で次のように言っています。

ニュースのクセには方程式があり、それを構成するのは「特異的な現象」「物語」「アクション」です。

「ニュースの大きさ・伝播力」=「特異的なこと」×「物語」×「アクション」

とてもうまい表現です。民主党政権が原発を再稼働しようとする、この機会を狙って「民主党と戦う宣言をする」、これは特異的なことです。そして「物語」を作り「アクション」する。実に、うまいことを言います。逆に言えば、この3つに当てはまっているものはウソがあるかもしれないということです。

小島氏は、この本で放射能に関する報道で、先の方程式を説明しています。「放射線医学総合研究所をはじめ公的な研究機関の研究者たちは、まじめな研究者ばかりのせいか、ニュースの3要素に合格する要件を持った人は少ない」「放射線と健康影響に詳しい研究者が御用学者呼ばわれされる一方、大した業績も残さず、素人的な発言を自由に言っている研究者を持ち上げ・・・」

メディアは、放射能の影響を「安全」と言うより、「危ない」と言ったほうが多くの国民の関心を呼ぶことを知っています。

市民運動をやっている小島氏の友人からこうアドバイスされたそうです。「放射能汚染に関する記事を書くなら、低線量でも危ないという記事を書くのが一番いいよ。危険があると書いて警告すれば、だれからも文句は来ない。安全だと書いて、あとで危険だと分かったら、また責められるからね。科学でもわからないことの方が多いので、とにかく危ないという記事を書いておけば、市民から支持されるし、カッコいいよ」

なるほどと思います。原発事故に苦しみ、線量が高く放射性物質に汚染されている地域で生活してる人たちに、こんな姿勢で報道するのは許せません。科学的に裏付けのある正確な情報で、現状を打開するための目的を持って報道してほしいものです。