この社説は憲法9条を自民党政権と公明党による談合でこんなに簡単に、蹂躙することへの怒りです。
議席を確保できれば何でもできるとする彼らの横暴と傲慢さは許されず、必ず彼らへの反撃と評価として、今後の選挙を通じて反映させなければなりません。
<信濃毎日社説>安保をただす 武力行使法制あまりに性急乱暴だ
これでもう決着なのか。集団的自衛権の行使容認を踏まえた安全保障法制の整備をめぐり、自民、公明両党が政府の素案を大筋で受け入れた。与党協議を再開してから3週間しかたっていない。あまりにも性急な進め方だ。
きのうの協議で政府は、昨年7月に閣議決定した武力行使の新たな3要件に該当する「新事態」を武力攻撃事態法に明記すると説明した。自衛隊法も改め、新事態に伴う集団的自衛権の行使を自衛隊の「主たる任務」に加える。
新3要件では、(1)日本や密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある(2)他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどまる―場合に武力行使できる。
どんな状況を「明白な危険」があるとするのか、閣議決定の言い回しは曖昧だ。政府の判断次第でいくらでも広がり得る危うさがある。法案に恣意(しい)的な解釈の余地が残る不安は、なお消えない。
現にきのうの協議では、集団的自衛権の行使例として、シーレーン(海上交通路)にまかれた機雷の掃海を想定していることが示された。自衛隊の活動は地理的な制約を受けず、中東でも武力行使できることになる。
ブレーキ役を自任する公明党は閣議決定について「厳格な歯止めをかけた」としてきた。政府の素案や考え方を見る限り、そうは言えない。中東での機雷掃海にも慎重姿勢を見せていた。これでなぜ受け入れられるのだろう。
新事態と、既に法律で定められている事態との関係も分かりにくい。日本への武力攻撃が予測されるに至った場合の「武力攻撃予測事態」や、そのまま放置すれば日本の平和や安全に重要な影響を与える「周辺事態」がある。どう線引きできるのか。
集団的自衛権のほか、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態への対応や、海外派遣の恒久法などを含めた法制の骨格について、自公両党は20日までに方向性を確認することで一致した。
これまでの協議で政府は、自衛隊の海外での任務拡大を次々に打ち出している。疑問や問題点が多すぎる。国民にとって意味不明な状況ではないか。わずか1カ月余りの協議で取りまとめようというのは乱暴だ。